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竜人たちの喜び

「エドワード様が戻ってこられた!」


「本当だ! テムもいっしょだ!」


「ということはまさかっ……」


 俺たちが山を下りて里に戻ると、大勢の竜人たちが集まり出した。


「エドワード様がやってくださった。もう脅威は去った。里は救われたんだ」


 テムが言うと竜人たちは喜びをあらわにした。


「おお、奇跡だ。このような奇跡が起ころうとは!」


「やつを倒せるお方がこの世に存在していたなんて。魔王様! いや 竜神様か!」


「竜の神の生まれ変わりじゃ……エドワード様は。おおぉ、ありがたや」


「あ、あああ……信じられない! ありがとうございますエドワード様ぁ! あああああぁぁーーーーっ!」


 ただの人間だと言ってあるはずなのだが。

 人のことを勝手に魔王だ竜神だなどと、忙しい連中である。


 ガダックが竜人全員に呪いをかけてリムネ姫を脅すつもりだったとテムが説明すると、彼らは怒りに震えた。


「おのれガダックめ……。姫を強引に我が物とするだけでなく、そのような……里を滅ぼすつもりであったか!」


「信じられんやつだ! 愚か者に竜の神の裁きを!」


 それからまた喝采。


「エドワード様は姫の命をお救いくださっただけではない。我ら竜人族の救世主だ!!」


「エドワード様ばんざい!」


「我らが救世主に竜の神の祝福あれ!!」


「里を救ったエドワード様に竜人族、未来永劫の忠誠を!」


 やれやれ、ここでもはじまってしまったか。

 おや。


 感涙にむせび泣く竜人たちの人垣の中から、進み出てくる者がいた。

 リムネ姫だ。


「もう立ってもいいのか?」


「はい。エドワード様が呪いを解いてくださったおかげで、もうすっかり良くなりました。エドワード様には呪いで命を落とした私を生き返らせてくれたばかりでなく、呪いまで解いていただけるとは。さらには愚かなガダックを打ち倒し、里を救ってくださり、お礼のしようもありません」


 リムネは穏やかな微笑みを浮かべて、俺を見つめる。


「いや、恩に着る必要はない。これもある意味、自分のためにしたことなのだ。我が国は魔の森では新参者。竜人族とは、よい関係を築きたいと思っている。これも我が国と竜人族との友好のため」


「ああぁ……、なんと謙虚な……。エドワード様こそ、私が夢に見る、まさに理想の王そのものですわ」


「ん?」


 リムネの、俺を見る目がなにかおかしい。


「エドワード様のような立派な国王様が自ら、友好を深めるためにわざわざこのような森の奥地に足を運ぶ。しかもそれまで国交のなかった他種族を相手にです。さらに、神に近いまでの力を持ったガダックと、自らの危険をかえりみず戦ってくれました。私の呪いを解くために。エドワード様は偉大な王と呼ぶにとどまりません。まさに神話の英雄ですわ。私、心の底からエドワード様に心酔いたしました」


 ぽうっとした、熱っぽい眼差しで俺を見つめながら、そんなことを言う。

 褐色の肌の上からでも分かるほど、彼女の頬は赤くなっていた。


「リムネよ、呪いが解けてよくなったと言っていたが、まだ体調は完全には戻っていないのではないか? 熱があるように見えるが」


 リムネが俺の手を取る。

 両手でしっかりと。


「エドワード様、竜人族とエドワード様の国、友好を結びたいとおっしゃいましたね?」


「そうだが?」


「私も、その考えに賛成です」


 キラキラと目を輝かせて俺を見つめるリムネ。

 至近距離で男の目を覗き込むものではない。リムネのような美少女であれば、普通の男ならすぐに勘違いを起こしてしまうだろう。


 竜人族の姫ともあろう者が、このように安易に男に距離を詰めてはいけないのだ。

 さすがに指摘しておいたほうがいいか。


「あのな、リムネよ。距離が――」


「私によい考えがあります!」


 リムネは俺の言葉をさえぎって、熱を込めた声で言った。


「それは?」


「竜人族からエドワード様の国に、人を住まわせてはいかがでしょうか?」


 大使か。なるほど。

 それはいい考えに思える。

 我が国に竜人を住まわせることは、何よりの友好の証となるだろう。


「分かった。もちろん受け入れよう」


「ありがとうございます。これからのエドワード様の国の発展を願って」


「竜人の里に、末永い平和と繁栄を」


 竜人の里と正式に友好関係が結ばれた。


ここまで読んでくれてありがとうございます

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