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第9話 知らない天井

「うん。知らない天井だ。明日香さん~明日香さん~起きて~起きて~」


「ビクッ。うん。夢ね、さあ寝ようかしら。」


「明日香さん~どんなに現実逃避してもいつもの知らない天井ですよ~」


「ううっ起きたくない。自分がどこにいるのか考えたくない。」


「はい~起きましょうね~もうすでにろくでもないことが起きてるので起きた方がいいですよ~そのまま眠ったらまた世界ロシアンルーレットが開始されるから!」


「うう~そうね。もうすでにろくでもないことが起きてるのね。これ以上は・・・」


「いつも思うんだけどこれ布団ごと運んでるのかな?これ旅館で眠ってた布団だよね?」


「そうね。ゆうくん。わたしもいつも思うんだけど輸送中二人とも起きたことないよね?どんな運ばれ方されてるんだろうか考えたら眠れなくなるわ。」


「さて・・・ここはどこだと思う?部屋の内装みるとヨーロッパかな?」


「前に内装はヨーロッパだったのにアメリカだったことがあるよね。そのパターンじゃない?」


「うーむ。昨夜、どっかに行きたいとか話したっけ?」


「それは警戒しててあえて口に出さなかったはずよ。ゆうくんはなにか心当たりない?」


「うーん。場所は言ってないね・・・ん-・・昨夜はお風呂入って母ちゃんに夕飯勘弁してもらって。旅館でご飯食べて・・ああ、昨日のデザートのブルガリアヨーグルト美味しかったね~」


「うん。あのヨーグルト美味しかったわ。本場はもっと美味しいんだろうね・・・・あーーーーーーーーここブルガリア共和国だ!!!」


「あーーーーーそのパターンか!さあ、ヨーグルト食って、さっさと日本に戻ろう!さて手配、手配・・・・・あーこの電話久しぶりだな!お久しぶりです!衛星電話さん!」


「うっ。その電話。本当に久しぶりなんだけど!あー私のスマホも衛星電話になってる!ご丁寧にメール、LAINアプリ入りだああああ。久代にLAINコメント返しとこ。」


「私、目が覚めたらブルガリア共和国だったの。えへ。意味わからないでしょ?私もわかんなーいって返すの?」


「それ亜紀だよね?あー亜紀に調教されてるのね?汚らわしい。」


「うっ。反論できないのがつらい。」


「ねえ。ゆうくん。ちょっと聞きたいことができたんだけど。もしかして未だに亜紀とLAINでやりとりしてる?正直に答えて。」


「えと。明日香と恋人になってからはやりとりしてないよ。信じて!キラーン。」


「ふーん。恋人になったの昨日じゃない・・・一昨日までやりとりしてたのね?吐きなさい。吐いて楽になりなさい。」


明日香の手のスピードは異常だった。佑介の衛星電話を素早く奪い取るとLAINのコメントを見た。


「ふーん。エロ写メ厨乙。うん。これ完全にアウトね。別れたんだよね?なんで最近のエロ写メがここにあるの?きびきび吐きなさい。洗いざらい吐きなさい。」


「うっ。僕のコメント見てよ。ずっと止めてって送ってるんだよ。だけど1週間に2~3回送ってくるんだよ・・・あ!はい。ただいま全消去してブロックしますね。」


「もうしたわよ。最後に私の彼氏へへんな写メ送るな泥棒猫って送っておいたわ。しばらくは大丈夫だろうけど亜紀はしぶといからねあのみんなの嫌われ者の黒い憎い奴と同じだから。」


「あ。はい。なんかいろいろすみません。」


「そんなにエロい写メ欲しいなら私の送るからそれで我慢しなさい。」


「そんなに真っ赤になって・・・なんか本当にごめん。写メは普通の写メ送ってよ。正直、欲しいな。」


「もう・・・今、送ったわよ。あんまり人に見せないでね。」


佑介はその明日香の笑顔全快の写メを見てすぐにロックを掛け永久保存することに決定した。


「明日香。本当に日本に帰ろうか。午後からカウセリングだよ。嫌だろうけど僕も一緒に受けるから二人で乗り越えていこう。」


佑介は明日香が無理して明るく振舞っていることに気づいていた。空き時間にはボーとして震えている手を抑えている姿も見ている。なんとかしてあげたい気持ちがこみ上げていた。


二人はヨーグルトを堪能した後、すぐに日本へ帰国した。


その後、二人でカウセリングを受けた。明日香がやはり心に傷を負ってることが確認され薬も処方された。やはりゆっくり過ごすことを勧められた為に母親へ世界ロシアンルーレットを中止させ自宅の佑介のの部屋でゆっくりし、時々近くの公園へ散歩したり室内で筋トレしたり、明日香の気がまぎれそうなことを全てやった。


そんな生活も1か月続きカウセリングを受けていた。


「姫野さん。もう症状は治まったようです。薬も止めて2週間何もないので、もう大丈夫だと思います。今日のカウセリングで最後になります。ただ、この病気は治ってもぶり返す可能性があります。その時は素直に東川さんを頼ってください。彼にならあなたの全てを言えるでしょ?私から見ても彼の存在は大きいと思いますので。本当に今までお疲れさまでした。」


「先生。ありがとうございました。本当にお世話になりました。なにかあったら彼に頼ります。お疲れさまでした。」


なぜ僕がこの会話にでてこないかって?僕は感動して号泣してたんだよ。言葉が出ないくらい泣いていたんだよ。悪いか!


「ゆうくん・・・ありがとう。もう大丈夫だと思うわ・・・。」


「そうか・・・じゃ行くか!学校に!」

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