雪の日のぬくもり
「雪」テーマで物語を書こうと意識して書きました。読んでいただけたら幸いです。
寒い冬の日、雪が降る道を彼女と一緒に歩いていた。
「ねえ彰人、やっぱ結納ってした方がいいのかな」
幼馴染でもあり婚約を決めた彼女でもある陽香が俺のとなりを歩きながらそんなことを聞く。
「うーんやっぱりした方がいいと思うよ。いくら幼馴染でどっちの家族も顔見知りとはいえさ」
「やっぱり必要かーなんか変な感じじゃない?昔からずっと仲良かったのに改めて挨拶なんて」
たしかにそうかもしれないと思った。こいつとは昔から遊んだりしてたし家にお邪魔してご飯を一緒に食べたことも数えきれないぐらいある。俺とこいつが付き合っていることはどちらの親も知っているし結婚することも既に知っているだろう。それなのに改まって「娘さんをください」だなんて言いに行くのも少しおかしな話かもしれない。
「私たちって昔から何か変わったのかな」
「そりゃあお前はおとなしくなっただろ。昔はおてんばでなぁ」
「なにそれ!そんなこと思ってたの!ひどい!」
寒さのせいか恥ずかしさか少し頬を赤らめた陽香がプンプンしている。
「だってお前覚えてるか?子どもの頃に雪が積もった日にさ。お前はしゃいで部屋着のまま俺を連れて公園まで遊びに行っただろ。で、そのあと雪で遊んでたら寒いって言って泣きだして」
「そんな昔のこと覚えてなくていいよ!てかもうやめてよ恥ずかしい!」
俺の言葉を遮りながら恥ずかしさで赤くなった顔でポカポカ叩いてくる。そんなことをされるとこんなに可愛い彼女をからかいたくなってしまうじゃないか。そうこれは不可抗力だ。
「泣き出してさ、もう顔も手も霜焼けで真っ赤になってるところにお前の母親が迎えにいてギャン泣きしながら風呂に入れられてたよな」
「わーわーきーこーえーなーいー!」
陽香は耳をふさいでその場にうずくまってしまった。
「うぅ・・・もう彰人のことなんて嫌い・・・私にひどいことする・・・」
「悪かったって、もう昔のことだろ?」
「私そんなにおてんばじゃないもん、雪見てはしゃいだりしないもん・・・」
流石に少しやり過ぎたかな。ちょっと反省しよう。
「ほら、とりあえず立ってよ。謝るからさ」
「許しません、私をいじめる人は絶対に許しません」
・・・昔からわがままなところは変わってないのかな。実のところ俺にとってもさっきの話は少し恥ずかしい。陽香は知らないだろうが陽香が泣いている横で俺もめちゃくちゃ泣いていたのだ、泣いている陽香に何もしてやれず。
「じゃあこうしてやるよっと」
うずくまっている彼女を一息に抱きかかえる。
「え、ちょ、何してんの⁉」
「何ってお前が泣き止まないから昔みたいに抱きかかえて家まで送ってやろうと思ったんだよ。ま、今回は母親じゃなくて俺だけどな」
抱きかかえた陽香と目が合った。その顔に涙はなくとても驚いた顔をしている。昔の俺は何もできなかったが今の俺は陽香を抱きかかえることができる。
「泣き止んだか?」
彼女は顔をうつむかせがちにうなずいた。俺も昔から少しは変われたのだろうか
「雪」というテーマで書きました。物語を書くように意識して書きました。長編を書くための練習としてこれからも短編物語をあげていけたらと思ってます。




