吸血鬼
何かに鉄の装備ごと八つ裂きにされた
死体を端に寄せて手を合わせて黙祷し終わって
「ニコラ」
「ん」「わん」
紛らわしいぞコレは
「ニコラ、お前じゃないぞ。白髪ニコラの方だ。茶毛ニコラの方じゃない」
まあこの問題は後回しにするか
「その首輪は?」
「奴隷、くびわ」
そう言いながら首輪を外した
それ外せるのか
「とれるのか?」
「主人、死んだ」
あぁ、その商人が契約主的なものだったのか。
主人が死んだから奴隷にする魔法が解けた?的な感じか
質問するのが心苦しいが聞くしかないか
「ニコラ、家族は居るか?」
「殺された。捕まって、うられた」
両親殺されて自分は奴隷として売られたってことか
普通は両親の方が働き手として売られるんじゃないか?
そう思っていると
「稀少、らしい」
「お前がってことか?」
縦に首を振った
「先祖返りで、しろいろ、でいうぉーかー」
「デイウォーカーって・・吸血鬼か・・」
ニコラはまた縦に首を振った
なるほど高く売れるからこいつだけ残されたのか
普通だったら馬車の中に他の奴隷も居ても良いのにニコラしかいなかったのも納得した。
「なんで会ったばかりの俺に教えてくれたんだ?俺が悪いやつかもしれなかっただろ?」
「ニコラ、同じなまえ、」
「それだけか?」
「うん、」
ずっこけそうになった。
まぁ当の本犬のニコラは寝ているが
さあどうするかなこの死体とか馬車とか
「食料と剣を拝借していくか」
けどニコラがそんなに高いのなら護衛も狼を倒せるくらいの護衛をつければ良かったのに
何故だろう?
「お前はどうするんだ?」
「・・・」
「俺達と来るか?まぁ当ても無いし行き当たりばったりの旅になるが、」
ニコラは少し戸惑って
「うん」
とだけ呟いた。