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死神さんと魔法使い(仮)  作者: そらのうみ
3/3

第三話

遅くなりました。第三話です。

よろしくお願いします。

目を覚ますと、どこかの家の屋根が見えた。

「ここは・・・」

辺りを見渡そうと体を動かすと、首に激痛が走った。

「った!」

「・・・まだ、体は動かさない方がいい。」

見知らぬ声が横から聞こえた。声がした方へゆっくり顔を向けると、そこには先ほどの黒ずくめの男が本を読みながら座っていた。朦朧とする意識の中、律夏は男に問った。

「・・誰?」

沢渡廉也さわたりれんや。・・・お前の名は?」

「わ、若宮律夏。」

「律夏か。」

廉也と名乗った男はそのまま何事もなかったかのように静かに本を読み進めた。律夏はあたりを見渡せる範囲で見渡すとデスサイズが目に入った。立夏の両親も家に鎌を置いていたので見慣れている。ということはこの人は。

「死神?」

律夏がそういうと廉也は少し驚いたように顔を上げた。そして細く笑いながら言った。

「そうだよ。」

「・・・」

目の前にいるのは死神だ。そう思うと律夏は逃げ出したくなりベットから出ようと体を動かした。すると再び首辻に鈍い痛みを感じ、死神の方へ倒れた。

「離せ!」

「動くと傷に触る。」

「優しくなんてするな!私は死神なんて大っ嫌いだ!」

「・・・なぜ?」

「言うわけない・・・あんたなんかに」

「それは困る。若宮律夏はもう俺のものなんだから。」

「は?・・・私はあんたのものになった覚えなんてない!」

話がまるで通じない。律夏の両親と同じだと感じていた。

「俺は魔女のあの力が欲しいんだ。そのために契約をさせてほしい。」

「なんであんたなんかと契約をしなくちゃならないのよ!」

契約とは「終の誓い」といい、魔女と死神が命を懸けて行う契約の事である。契約内容は魔女を魔女狩りから守ること、死神の仕事に協力することなど様々だが、一番の契約は裏切ってはならないということだ。その誓いをお互いのクロス(十字架)にかけ、身に着けるというものである。もしもこの誓いが破れられたとき、首に下げたクロスがその者の首を絞め、殺めるというものだ。

「・・・そんな誓いに私にどんなメリットがあるっていうの?」

「お前を守ってやれる。」

「は?そんなもの別に必要ない。私は魔法使いなんだから。」

「それ以前にお前は女だろ。」

「え?」

「さっきみたいな男の集団には勝てない。」

律夏は首筋に当てられたガーゼを触った。軽く触るだけでも痛みを感じる。怖かった。思い返してみても少し体が震えてしまう。本当に怖かった。魔法だけは人よりも使える。でも、それでも力は男の人にはかなわない、それを実感させられた。

「怖かったな。」

そう言って廉也は頭を優しくなでた。下を向いている律夏に彼の表情は見えないが優しい顔をしていると思う。死神にもこのような一面があるのかと考えた。それならば、なぜ律夏の両親は律夏に優しくなかったのだろう。その自分が両親にしてほしかったことをこのわけもわからない男にされていることにいら立ちを覚えた。

「優しくなんてするな!」

「俺が・・・信じられないのか。」

「当たり前じゃん!昨日今日あったような奴の事信用しろっていう方がおかしいんじゃない?」

そういうと死神はきょとんとした顔をした後、静かに笑った。

「違いない。」

「は?」

あんなに話が通じなかった廉也が素直に律夏の言葉を受け止めたことに驚きを覚えた。

「律夏。その体じゃ1週間ぐらいは満足に動けないだろう。牙がかなり深いところまで指しているからな・・・。ここにいるといい。なに、不自由はさせない、不満があったら言え。」

「はぁ!?」

「お前が気に入った。どんな手を使おうとも手に入れてみせる。」

「はぁ!!??」

電話の着信音が鳴り響く。

「あ、本部だ。ちょっと電話してくる。ゆっくりしてろ。」

そう言って死神は席を立ち部屋を出ていった。

「ちょ!意味わかんないし!死神なんて・・・死神なんて大嫌いだ!!あんたなんて、あんたなんて人間じゃない!!・・・っ」

去りゆく背中に今出せる精一杯の声を出すと、首筋が痛むのが分かった。

「俺は死神だから人間じゃない。よくわかっているな。」

冷たくドアの閉まる音がした。律夏の必死の言葉も冷たくあしらわれ、話も通じない死神に再びいら立ちを覚えた。同時に本当に死神の言う通り1週間は動けないのだろうかと考えると、あの出来事が再び律夏に恐怖を植え付けた。


閲覧ありがとうございます。

誤字脱字ありましたら申し訳ありません。

感想等ありましたら書いていただけると嬉しいです。

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