最強の吸血鬼が依頼を受けるそうですよ?
日曜日に何もないっていいね…!
非常に遅れました!すみません…そして、シリアスな話は次の話では出来なかったです…もう一話挟んでからになります。すみませんでした…
「はい、冒険者カードと木級である事を示すタグよ。落ちないように一緒くたにしてネックレスにしといたからくれぐれも、く、れ、ぐ、れ、も!引き千切るとかしないでね?」
アンナが疲れてタメ語になったのはともかく、こうして冒険者になったアルス。ギルドの規定もアンナから丁寧に教えてもらい、ようやく冒険者として初依頼を受ける···といったところでアンナに止められた。
「何だアンナよ?我はこれから依頼を受けようとしておるのだが?」
「あなた、文字読めないから適当に持ってこようとしてるわよね?」
アルスは目をそらす。実際に依頼表を適当に取って成し遂げれば良いと思っていた。
だがアルスも珍しく頭を使って考えていた。自分の実力があればどんな依頼であろうと成功させる自信がある。故に自分以外の冒険者がいない今、ランクを問わずに依頼を受けても構わないだろう?と。
「···はあ、何を受けるつもりだったのよ?依頼の受理は私達の仕事だから結局持ってきた時点でわかるんだけど」
「んー···これとかどうだ?」
アルスがそう言って一枚の依頼表をひっぺはがす。
〜店の売り上げを計算してほしい!〜
私達は「白銀の鳥」という宿を家族で経営してるんですけど、どうにも私達は計算が出来なくて···
飲食のお金はぴったりで払ってもらってるので大丈夫なのですが、「りえき」?とか「ししゅつ」?とかがさっぱりでなんです。
計算が出来る冒険者さん!どうか家計簿をつけてもらえないでしょうか?
必要ランク:木級以上
報酬:銀貨2枚
依頼者:「白銀の鳥」看板娘シャロッタ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ああ···これですね」
「なぜいきなり敬語?まあいい、んでどうだ?なんて書いてるのだ?」
突如お仕事モードに入ったアンナを不思議に思いながらアルスは何が書いてあるのかを聞く。
「宿の売り上げを計算して欲しいそうです。報酬は銀貨2枚、計算できる冒険者さんを探しているそうですよ?」
「銀貨2枚?高いのか?」
アルスが首を傾げるとアンナは「どんだけ常識ないのよ···」と呟いてからアルスに言った。
「正直言うと、安すぎます。銀貨2枚なんて宿で一泊すれば消えますね。あ、もちろんご飯無しでですよ?薬草採集でも歩合制で一株銅貨40枚なのに···」
「つまりこの依頼は受けないほうが良い、と?」
「それは自由ですね。一応言わせてもらえば、銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚といえばこの依頼の報酬がどれだけ安すぎるのかわかりやすいかと」
アンナがそう言ってアルスを見る。この依頼は一ヶ月前に貼り出されてから誰も見向きもされなかった依頼だ。普通、計算が出来る冒険者はまれで指名するなら最低でも銀貨10枚は提示しなければ、まず相手にされない。
だがアンナはロザーナの街で育ったからこそ知っている。「白銀の鳥」の経営が厳しいことを。
ご飯は美味しいし、サービスも良い。価格も安くアンナも冒険者ギルドの受付嬢になる前は一時期利用していた。しかし、経営はサービスが良いだけで上手く行くほど簡単ではない。教養の無い一家が宿を経営するのは至難の技だった。この銀貨2枚というのも、それが「白銀の鳥」から出せるギリギリのラインなのだろう。
何とかしてあげたい、そう思っていた時に「常識の無い」アルスが来た。
だからアンナはアルスに嘘をついた。本来、宿を取るには一泊銀貨10枚からが基本であり、銀貨2枚は一日の食費で消えるほどの金額なのである。
薬草を100株集めれば銀貨40枚、群生地帯を見つければニ時間で集まる。手間も報酬も段違いだ。
一応、受けないほうが良いと遠回しに言っておいた。それで止めればアルスに別の依頼を受けさせ、泊まるところとして「白銀の鳥」を紹介しよう···とアンナが考えていたところでアルスが口を開いた。
「よし、受けるか。一日机に張り付くだけで一泊の宿代が稼げるならこれは良い依頼だ。今夜の宿も決まっておらぬしな。アンナよ、これを受けるぞ!」
(ごめんなさいアルスさん!騙して···やめて!そんな純粋な目でこっちを見ないで!罪悪感がひしひしと感じるから!)
アンナが心の中で絶叫しているとは露知らず、やれ何処に行けばよいのか、やれまかないは出るのかとアンナに聞くアルス。アンナはここから3軒隣の宿ですよとかそこは宿主さんと話してくださいとか言いながら受理を進める。アルスの気が変わらないうちに。
「はい、受理されましたよ。頑張ってくださいね」
「わかった···あ、そういえばギルドでも素材の買い取りをしているのだったな」
「?ええ、そうですが···まさか持ってきていると?」
「ああ、この依頼をしている間にしておいて欲しい」
それは構いませんがあなた手ぶらですよね?とアンナが言う前にアルスの影から一匹の魔物が出てくる。そう、魔の森の中でアルスが10円と引き換えに倒したキラータイガーの死体である。
「今影からって、え?あのこれって···え?」
「よろしく頼むぞ!」
混乱するアンナを放置して、アルスは依頼主がいる「白銀の鳥」へと向かった。
閑話休題
アルスは一軒の宿についた。・・・30分かかって。目当ての宿とは逆方向の3軒隣へ行ってしまったのだ。そこはガチムチなおじさん達がいるお店。アルスは彼らにお尻を触られて直感的にヤバいと感じて逃げてきた。
「は・く・ぎ・ん・の・と・り、なるほど、さっきの冒険者ギルドの看板も含めて考えるとまだ確定したわけではないが『ぎ』の文字が一緒であるのと、文字数も含めてひらがなの置き換えの可能性が高いな・・・」
一応言っておくが、この世界の文字は50音ではない。たまたま白銀の鳥の文字数がひらがな表記の時と一致しただけである。アルスよ、『ぎ』の文字が3軒隣で違うわけないだろ。
「邪魔するぞ」と一言いって宿の中に入るアルス。その瞬間、フライパンが飛んできた。
「帰れ!貴様なんぞに娘は売らん!」
「何、言って、おる、のか、わから、ん、が、我は、依頼、を、受けに、きた、冒、険者、だ」
「あ?言葉が細切れで聞こえねぇな!」
「だったらものを投げるでないわ!あだ!」
頭に寸胴鍋がうまい具合にはまって後ろに倒れるアルス。そう、気分はモルゲッソヨ···
「我はオリンピックの像だったのか···」
「何言ってんのかわかんねえよ!声がくぐもって聞こえん!」
「ぷはっ!貴様のせいだ、貴様の!こっちは依頼を受けに来たのにこの仕打ちは何だ!いい加減泣くぞ!いいのか!?泣いて転がりまわるぞ!?見苦しい男が床でのたうち回るんだぞ!?」
「なんだその新しい脅迫の仕方は···すまん、俺の娘が出した依頼を受けた冒険者か。ようこそ「白銀の鳥」へって、よく受けたなあんな依頼」
「ん?まあ、今夜の宿も決まってなかったしな。(宿代も稼げて)良い依頼であると思ったのだ」
「(困っている人を助けるのに)良い依頼か···おめぇさん、案外いいやつじゃねえか。顔はブサイクだが」
「ブサイクは余計だ!」
「いや···現実見ようぜ?な?」
閑話休題
宿の主人であろう男と共に表通りに散らばった調理器具を拾うアルス。頭に帽子感覚で寸胴鍋を被りつつ地面に刺さった包丁を抜く。屈んだ際に寸胴鍋がズリ落ちて再びモルゲッソヨ化したアルスを横目に男は自己紹介を始めた。
「俺は『白銀の鳥』の主人であるマックス•ロナウドだ。プロウナルドっつー白銀の鳥の名前と俺らの家名が似てるから、それにあやかって俺の祖母が付けたのが始まり。宿と食堂どっちもやってるから飯食うためだけに来るやつも···って、いい加減に鍋脱げよ!初めてだわ人に向かって鍋脱げとか言うの!」
「あああああああああい!」
持ってるお玉でマックスがアルスの被ってる鍋を叩く。寸胴鍋は硬いのでダメージは無い···と思っていたら、カーンッ!という甲高い音が鍋の中で反響しアルスの頭に攻撃を加える!慌ててアルスは鍋を投げ捨てた。ひしゃげた。
「何をするのだ!」
「こっちが何をしてるって言いたいんだが!?」
「···調理器具を拾ってる?」
「鍋を被ってる方だ!」
「お父さん!またあの人が来たの!?」
アルスとマックスのもとに一人の少女が走ってきた。アルスは彼女が依頼主であるシャロッタであろうと考える。もし異世界に来て数時間のアルスがお父さんと呼ばれたら事件である。
マックスは勘違いであることと依頼を受けたアルスのことをシャロッタに話した。
「あー、こいつはお前の依頼を受けた・・・そういや名前聞いてなかったな。おめえさんなんて名前だ?」
「ん?アルスだ」
「アルスらしいぞ」
「お父さん···この人大丈夫なの?私達売り上げ誤魔化されてもわからないよ?」
「まあ、客が注文した料理を記録した纏め帳を渡すだけで実際に金は触れさせねぇから最悪の事態はないさ。つーわけでアンちゃん、今日は宜しく頼むぜ」
「任せておくがいい!このアルスが完璧に!完全に!パーフェクトに!依頼を遂行しようではないか!」
アルスが胸を張って言う。完全も完璧もパーフェクトも全て同じ意味であることはツッコまないであげるのが優しさというものだろう。
「うん···お父さん、やっぱりこの人大丈夫?態度めちゃくちゃでかいんだけど」
「何とかなるだろ···態度めちゃくちゃでかいけど」
二人は高笑いするアルスを見て溜め息をつくのだった。取り敢えずシャロッタは仕事の説明をする為にアルスに向き合う。それに気付いたアルスはキリッと顔を決めてみた。
「···ぷっ」
「あー!今笑いおったな!我の渾身のキメ顔を笑いおったな!」
「ガハハ!ア、アンちゃんフヒヒ、不細工なのにクククッ、あー腹いてぇ!ヒーッ!ガハハハハ!」
シャロッタは噴き出し、マックスは腹を抱えて笑う。ムカついたアルスはマックスに人生の中で自分で一番格好いいと思ったキメ顔を放った!
「ふっ···!」
顔を45度右に向け、流し目をマックスに送る。前髪をかきあげクールな感じを醸し出す鉄板コンボをアルスは使った!
「ッ······!」
「お父さん?お、お父さーん!ダメ、笑い過ぎて呼吸困難になってる!」
「えぇ···そこまでなるのか?」
ちょっとした仕返しのつもりだった。だが、そのキメ顔が一人の罪の無い人間を殺めてしまうとは···アルスは誓う。二度と田中実の格好でキメ顔はしないと。
閑話休題
「フンッ!」
「アダッ!···はっ!俺は一体何を?確か死んだお袋が際どい水着着てて発狂してたような···」
アルスの超手加減デコピンをくらって起きるマックス。どうやらマックスの母親は三途の川で泳いでいたらしい。···際どい水着を着て。
マックスの母親の事は置いておいて、死の縁から生還した父を見てシャロッタは、ほっと一息ついていた。
「お父さん良かった···笑い過ぎて死にかけてたんだよ···」
「そうだったぜ···確かアンちゃんのキメ顔を見てブフゥ!」
マックスが思い出し笑いで再度死にかける。そんなに面白いのかアルスのキメ顔。
「はい。アルスさん、だっけ?今渡したのが纏め帳。そして、こっちが···しゅ、しゅうし?を纏める紙だよ。宜しくね」
流石に二度目となれば慣れたのか床でビクンビクンしてるマックスを放っておいてシャロッタはアルスに一冊のノートと紙を渡す。アルスはノートの中身を見て一言シャロッタに言った。
「数字は分かるが文字が分からん」
ノートにはアラビア数字と異世界の文字が羅列していた。
はい。何ということでしょう!アルスが余計な事(キメ顔)をしたせいでシリアスな話は延期になりました!
くっそぉ、アルスめ!とことん俺の邪魔をしやがる!(完全な悪者)
そしてなんと···なんとですよ?ユニークが1000を突破致しました!(*゜∀゜)
凄い!4桁ですよ4桁!アルスの月のお小遣いの2倍ですよ!(アルスのお小遣い月500円)
それで実はですね…この度、ユニークが1000人を突破したのを期に!
この小説の題名を変えたいと思います!そして!その題名をtwitterで募集したいと思います!期限は次の話を更新するまで(つまり未定)。
タグは
♯最強の吸血鬼が題名を変えるそうですよ
です。沙流の名前で投稿するので、それにリプ送る感じでお願いします。
〜〜〜〜作者とアルスの攻防〜〜〜〜〜
沙流 カタカタ···
アルス「ん〜?お主ぃ、事前に言ったことと違うではないかぁ!『手の届かない所でシリアスにされる気分はどうだ』だったか?m9(^Д^)プギャー!我にたてつくからこうなるのだ!」
沙流 ブチッ···
沙流「お前、今から一人称『僕ちん』で語尾『でやんす』にしてやるから」
アルス「なっ!?そんなことすれば僕ちんの個性が無くなるでやんす!ぐおおおおおお!」
沙流「はっはっはっ!作者にたてつくからこうなるんだよ!」
セイラ「どちらもお子様ですね…(´Д`)ハァ…」
作者とアルスの戦いは続く…