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最強の吸血鬼が受付嬢を困らせてるようですよ?

第6話!遅くなりました!


「はい、アルスさん。ここに血を垂らしてください」


 アンナがアルスの前に白いプレートを置く。名刺ほどの大きさだった。


「これは?何故血が必要なのだ?」

「これはギルドカードです。さっきの紙に書いた情報と共に個人情報を登録する為に血が必要なんですよ。盗られても利用、複製を防ぐ事が出来ますからね」


 アルスはそこでふと気付く。そのギルドカードに登録される個人情報とは何なのか?種族もバレるとすれば隠しているアルスにとってかなりまずいことになる。一応アルスはこの場において人間として居るのだ。


「その···個人情報とやらは具体的にどんな事を知られるのだ?」

「さあ?」

「さあ!?」


 アンナのぶっきらぼうな返事にアルスは愕然とする。


「いやだってこの白いプレートに血を垂らして上から紙を被せるだけで個人情報が登録できる技術なんて、辺境のしかも一受付嬢が人に説明出来ると思います?私だって『便利だね☆』位の感想しか出なかったんですよ?オーバーテクノロジー過ぎて何が登録されて何が登録されないのか分からないんですよ!」

「しかしだな···」


 渋るアルスに遂にイライラが頂点に達したアンナはアルスの手を引っ張る。


「しかしも何もありません!さあ、手を出してくださいこのナイフでちょこっと傷つけたら終わりますから!」

「待て!我の手を離せ、ナイフを振りかぶるな!絶対ちょこっとで終わらないであろうがぁぁぁ!!」

「うるさいですね!こちとら冒険者が居なくて危機的状況で一人でも冒険者が必要なんです!後で優しく治療してあげますから観念なさい!はぁ!」

「いやあああああ!」


 そしてアンナが勢い良く懐から取り出したナイフをアルスの手に突き立てようと振り下ろした次の瞬間···



バキィィン…


「え?ウソ···ナイフが折れた···?」

「え?ウソ···と言いたいのはこちらの方だ!いきなりナイフを初対面の人の手のひらにぶっ刺すとか正気か!?」

「いや、何か態度が偉そうだったのでイラッとして」

「イラッとして!?」


 ···扱いが酷すぎるので忘れるかもしれないが、アルスは吸血鬼の皇帝。実際にはちゃんと偉い。しかしそれをアンナが知っているはずもなく、つまりこの酷い扱いは変わらないのである。

 さて、そんなどうでもいい事はさておき、このままでは冒険者登録が出来ないアルスは考えた末、強行手段に出た。


「よし、血がそのカードに付着すれば良いのだな?」

「え、ええそうですが…というか手のひらにナイフ刺さらないとか、どんだけ手のひらの皮が厚いんですか…」


 アンナの疑問は無視してアルスは手刀を自身の左腕に当てた。すると左腕の肘から先が手刀ですっぱり切れて血が噴き出す。


「よし」

「よし、じゃないでしょー!ちょ、血が、血が!」

「カードに血が付いたぞ!これで良いんだな?」

「そんなことどうでもいいから早く止血、止血うぅー!」


 満足げな顔をしているアルスに絶叫するアンナ。もしここに人が居たら皆同じことを思っただろう。


 『混沌(カオス)だ』と。




   閑話休題(いやぁぁぁ!)



 五分後、無事にアルスの左腕が生えた(···)事で血は止まった。既にカウンター周りはアルスの血まみれだが。


「はあ…冒険者登録でここまで疲れるのは初めてですよ…後でちゃんと床とかカウンターとか綺麗にしといてくださいね。」

「分かった」


 その後、アルスが雑巾がけ中に床に穴を空けるのだがそれは余談だろう。吸血鬼パワーは日常生活に不便なのだ。


「それで、もう何があっても驚きませんから何で腕が生えてくるのか教えてください」

「ん?人は腕の一本や二本生やせるであろう?」

「貴方はいったいどんな修羅場から来たんですか!?…いいです分かりました言わなくて結構です。アルスさんは常識が無いと言うことが分かればいいんです。これ以上私を疲れさせないで下さい」

「···( ゜Д゜)」

「いや、そんな顔されても···って、もしかして自分には常識があると思ってたんですか?」

「我ほどの常識人は他にいないであろうが!」

「あなた程常識が無い人は他にいませんよ!?」

「···( ゜Д゜)」


 こうして、アルスは無事(?)冒険者登録を終えたのだった。




   閑話休題(これで我も冒険者だ!)



 アルスはあのあと、アンナから「私もう疲れたんで後これ読んどいてください···」と冒険者のルールが書かれた紙を渡され、ギルドに用意されていた椅子に座り渡された紙を見る。



〜アンナの超絶分かりやすいギルドのルール〜


 先ずは冒険者について。

 

 冒険者にはランクと言うものが存在し、冒険者である事を示す血の付いた白いプレートの他に、ランクに合わせた素材でできたタグをお渡しします。

 木→石→鉄→銅→銀→金→ミスリル→オリハルコンの順にランク分けがされていて、ランクが高くなるほど危険で高額報酬の依頼を受ける事が出来ます。銀級以上になると指名依頼という、いわゆる『お得意様』からの名指しの依頼が来ることもありますので頑張りましょう!

 ランクは一定回数依頼を達成する、または上のランクに成るにふさわしい実績を収める事で上がります。逆に依頼が達成出来なかったり、ギルドの品を落とす行動をしたりといった場合が複数回あった時はランクが下がりますので注意してください。

 また、ランクが上がる際に試験を行います。その試験に合格しなければランクは上がらないので注意してください。あ、再試験は一週間以上間を開けてくださいね!

 

 次に依頼について。


 受付カウンター横にあるボードにその日の依頼表が貼ってあります。依頼表には必ず『何級冒険者以上』と書かれていますので、自分のランクに合った依頼を受けましょう!無駄死に、ダメ、ゼッタイ。


 最後にギルドのルールについて。


 1、三ヶ月以上依頼を受けない、借金で奴隷になる、犯罪を犯すといった場合は冒険者である事を示す白いプレートを返上の上、ランク剥奪。もう一度木級からになります。ただし、犯罪を犯した場合は二度と冒険者として登録できません。

 2、冒険者間の争いには一切ギルドは関与しません。

 3、ギルドで素材も買い取りますので、魔物を狩ってそのまま持って帰ってきた場合は、素材の売値から解体料を引いた金額をお渡しします。(素材の状態によって金額が左右します)


 他、分からないことがあれば受付までお越しください。

〜〜〜〜〜〜



 一通り読んだアルスは一言呟く。


「うむ、何を書いておるのか分からん」


こうしてまたアンナの所へ行って疲弊させたのは言うまでもない。

はい、いつもの通り遅くなりました…

前回から見てくださった方も増え、今ではユニークが840人!

もう作者もアルス同様( ゜Д゜)みたいな顔をしてました…

みんな!待っててくれてありがとう!

感想を書いてくれたらちゃんと返信するから良かったら書いてね!


後、告知…というか予定なのですが、この次の次の話が最初から最後までシリアスになります。というかアルスの手が届かないから全力でシリアスにします!ざまあみろアルス!貴様の手が届かない所でシリアスにされる気分はどうだ?んん?

あ、やめ、悪かったからその右手から出てる黒いモヤモヤした何かを近づけないで!いやああああああ!


…はあ、はあ。すみません、体の7割が消し飛びましたが作者権限で元通りにしましたので大丈夫です。ヘルメットが無かったら即死だったぜ…


えー、その話はかなりグロくなるので苦手な方は飛ばしても話がわかるようにその次の話を書きますので安心して下さい。更新頻度は…安心できませんね!ちゃんと更新はします!

〜冒険者登録の際の一幕〜

アンナ「アルスさんのその服、珍しいですね。ネクタイなんてするのは貴族が開催するパーティーの時の男性か執事位なものなのに」

アルス「ん?ああ、この服は我の所では礼服でな。学校に行く際はこれを着ろと言う規則があるのだ」

アンナ「なるほど学園の制服でしたか。あれ?それにしては私の知ってるどの学園の制服とも合わないのですが…」

アルス「そうなのか?」

アンナ「ええ、そんな背中に二本の切れ込みが入った制服なんて見たこともないですよ」

アルス(言えぬ…羽根出して破けたなどとは口が裂けても言えぬ…)

そこでアルスはアンナの言葉に乗る事にした。

アルス「そ、そうなのか?我はこの制服が普通なのだがな!みんな背中に切れ込みが入っておったぞ!」

アンナ「いや…女性の方とか、ブラの紐が見えてしまうんじゃ…」

アルス「つ、つけておらんのだ!」

アンナ「つけてないんですか!?」

アルス「お、おう!運動の際にはぶるんぶるんと暴れておるぞ!」

アンナ「アルスさん…変態ですね…」

アルス「ごふぅ!」

こうして心の傷と引き換えに秘密を守ったアルスであった。

アルス「何で我は異世界に来てまで変態呼ばわりされておるのだろう…」

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