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最強の吸血鬼が飯を食べるそうですよ?

はい、まさかの1年ぶりの更新であります。反省しています。あつ森のせいなんです(あつ森への熱い風評被害)。

実は大学生活が思ったより忙しかったのと、他小説の更新でこっちが完全にストップしていました。はい完全に私のせいですごめんなさい。

一応、今後も続きます!はい!終わりません!大学の課題が最優先ですけどね!?頑張って更新しますね・・・はい

 アルスがサインを貰って帰ってきたときには日も落ちかけ、街頭のランプに火が灯り、行き交う人々が家に向かう中アルスは冒険者ギルドについた。


「我が意識のない間に何があった!?」

「帰ってくるなりそれ?って、あれだけ依頼持ってって『やっぱり無理でした~』は無しよ?依頼を受けた以上は失敗するかやり遂げるかしてくれないと」

「いや、それは終わった」

「12枚あったのよ!?本当、貴方って無茶苦茶だわ・・・」


 アンナがアルスの非常識さにため息を付きながら手を差し出す。とりあえずアルスは握手してみた。アンナは無言でアルスの手を振り(ほど)く。


「依頼の紙を渡しなさいよ・・・」

「なんだ、これが欲しかったのか。言われれば出したのだがな」

「私が手を差し出した時になんで握手を求めてると思ったのよ!」


 アンナはアルスの依頼の紙を奪い取り1枚1枚確認していく。依頼者の名前が書かれているかを確認し、依頼完了を示す判子を押していきながらアンナはアルスに問いかけた。


「ところで貴方、お金もらってから人が変わったように大人しかったのに帰ってきたら戻ってるじゃない。私の精神状態的に大人しくしなさい」

「さっきも言っていたが我の意識がない間に何があったのだ?」

「なにもないわよー。全く、あんたがもう少し常識を持ってたらねぇ・・・」

「我は今も常識人であろう!?」

「常識人はいきなり腕をもがないわよ!」


 はぁ・・・あのときは良かったのに、と愚痴をこぼしながら報酬を用意する。アルスはずっと首をひねったままだ。



   閑話休題(お金貰った後の話)


 アルスが気を失った後、ギルド長とアンナは若干邪魔になっているアルスをどうしようか相談していると、気絶していた本人が目を覚ました。


「・・・ん?どうやら私は気絶したようですね」

「あ、戻った・・・って、さっきと打って変わって落ち着いてるわね」


 アンナがいきなり雰囲気が変わったアルスに若干引き気味に彼に話しかける。(アルス)は手に持っていた大金の入った袋を落とした瞬間、足下に伸びている影に吸い込まれていった。


「ははは、申し訳ない。どうやら『私』が失礼を働いたようだ」

「今お金が消えていった気がするんだけど」

「魔法ですよ」

「いやでも、そんな魔法聞いたことも・・・」

「魔法ですよ」

「あ、はい」

「ええっと、その口ぶりからするに君はアルス君とは別人と考えても?」


 アンナが一瞬でお金が消えたことに困惑している横でギルド長が彼に質問すると、彼はゆるゆると首を横に振った。


「いえ、違いますよギルド長。私も『アルス』です。そうですね・・・裏人格、とでも言っておきましょうか」

「裏人格・・・アルス君は二重人格なのかい?」

「二重人格、というより正確には多重人格ですね。私の他にかなりの人数がいますので」


 その言葉を聞いた二人は思案顔をする。主に二重人格、多重人格の原因は過度なストレスである。それも、はっきりとした人格を形成するには死に直面するほどのストレスを何度も抱えてる事になる。アルスが常識がないことも何かしらの強い衝撃があったのだろうと思うと、二人はアルスに同情した。


「あの・・・表?と言えば良いんでしょうか。いつも出ている人格の方のアルスさんが常識が無いのはまさか」

「あれは素です」

「あ、そうなのね・・・」


 まさかの素であった。アンナがいきなり入ってくる怒濤の新情報に頭を抱えつつ現状を整理する。


「ええと、つまりアルスさんは多重人格で気絶や失神とかで意識を失うと別の誰かが出てくる。基本はあの常識知らないマンだ、と?」

「はい。彼が意識の無い間は私たちが代わりに出てきます。ですが彼には私たちのことは知りません、というより知らせたくないんです。どうか私たちのことは内密にお願いします」


 そう言ってアルスはいたずらっぽい笑みを見せてしーっと人差し指を口に当てる。顔は良くないのに大人びた紳士的な姿勢のアルスに少しばかり落ち着いた二人は彼の要望を了承する。


「あ、ああ。分かったよアルス君」

「彼が迷惑をかけたお詫びと言っては何ですが、依頼をいくつか受けさせてください。人手が足りないのでしょう?どうぞ、こき使ってください」

「それは願ったり叶ったリだ!アンナ君、彼に依頼票を見繕ってやりなさい」

「な、なんて礼儀正しいの・・・次からギルドに来た瞬間後ろからぶん殴って気絶させようかしら」

「はっはっは、止めてあげてください。彼もあなたたちに気に入ってもらえるように必死なんですから」

「別に一般的な言動してたら誰でもウェルカムなのよ普通は・・・」


 と、こんなにも大人しかったのに・・・ッ!と本気で頭を鈍器でぶん殴ってやろうかしら、とじーっとアルスの頭部を凝視しているアンナ。わずかな殺気に思わず身構えるアルス。


「貴様・・・なにをしようとしていた?」

「べっつにー・・・?」

「そうか・・・」

 

 頭部に視線を感じたんだが・・・まさか我、ハゲてる!?と後頭部を触って確かめているアルスにはぁ・・・と今日のため息回数を更新したアンナであった。せめてもの仕返しに合計で銀貨4枚になる報酬を全て銅貨で支払ってやったのに、400枚の銅貨を袋にちまちまと嬉しそうに詰めていくアルスに意外とみみっちい事で喜ぶわね、と思ったそうな。


「ふふふ・・・我が初めて稼いだ金・・・!ずっとバイトをしたら皿割るわモップべちゃべちゃで店舗水浸しするわで初日でクビになった我が初めて自らの手で稼いだ金・・・どう使おうか」


 銅貨でちゃらちゃらと鳴る袋を持ってニヤニヤするアルス。はっきり言ってキモい。行き交う人々が不審者を見るような目でアルスを見ていた。


(そういえば行きしなに焼き鳥の屋台があったな・・・あの匂いを空腹の時に嗅がされる拷問に我は耐えたのだ、買って帰ってもよかろう)

「あ?店じまいだよ。完売したからな」

「何故だあああああああああ!?」


 銅貨が入った袋を握りしめて屋台の前で膝から崩れ落ちるアルス。焼き鳥屋のおじさんは困った顔で後頭部を掻く。


「いや、朝から涎垂らしてこっち見てるから腹減ってんのは知ってたけどよ・・・こっちも商売なんだ、また明日買いに来てくれよ」

「今・・・今食べたいのだ・・・」

「材料がねぇよ兄ちゃん・・・」


 泊まるところを無くし、食べるものも無いアルス。金だけ持ってるひもじい人という不思議な状態になっている彼は行く当てもなくふらふらとロザーナの街を歩き回る。飯・・・飯を食えるところは無いのか・・・と歩いているが夕暮れ時に屋台をやっている所も無く、食事処も見つからない。冒険者ギルドに行けば酒場があるのに彼はそのことをすっかり失念していたのである。そして日も完全に落ち、夜の帳が下りて街頭のランプが揺れて道を照らす時間にアルスはあの「白銀の鳥」へと帰ってきたのであった。


「仕方ない・・・宿屋は畳むと言っていたが食事処は畳むとは言ってないからな。多分やってるだろう・・・お邪魔するぞー」


 と一言いって宿の中に入るアルス。その瞬間、フライパンが飛んできた。


「帰れ!貴様なんぞに娘は売らん!」

「なん、か、デジャブ、なの、だが!?」

「あ?言葉が細切れで聞こえねぇな!」

「だったらものを投げるでないわ!あだ!」


 やはりアルスに当たったのは寸胴鍋だった。頭に上手い具合にはまってやはり後ろに倒れる。


「今日一日災難だったなぁ・・・我。もう少し報われても良いと思うのだが」

「誰だか知らねぇがな!俺たちゃ金のために娘を売るほど落ちぶれちゃいねぇんだよ!」

「マックス、我。我ぞ、アルスだ」

「あぁ!?次は借金取りの依頼でも受けたか!?」


 違うのだ・・・とアルスが言う前にお腹が盛大にぐぅーっとなる。その音に殺気付いていたマックスが拍子抜けしたかのように振り上げていた包丁を下ろす。


「お腹・・・すいた・・・」

「・・・はぁ。店じまいだって言ったのに飯を求めて来るやつは世界中にもお前ぐらいだよ。ったく・・・すまん、立てるか?」

「無理だ、主に空腹で動けん」

「一体いつから食ってねぇんだよ・・・」


はぁ・・・あんたが来たら気を張ってるこっちが馬鹿らしくなってくるな・・・とマックスがため息をつく。それからほちほちと道に散らばった調理器具を拾い集めるアルスは拾う物拾う物全てが殺傷能力の高いものばかりで冷や汗を掻いたのはまた別の話である。


「見よ!金だ!」

「ええぃ、ここでばらまくんじゃねぇよ!つか全部銅貨かよ!?嫌がらせか!」

「取りあえずこれで美味いもの食わせてくれ!頼むぞマクえもん!」

「俺の名前はマックスだアホ!・・・ったく、最後の客がこいつとか笑うしかねぇわ」


 どっかに座れ、金を持ってきた以上お前は客だとマックスが厨房に引っ込む。厨房の後ろの扉からこっそりと見つめる2対の目があるのをアルスが見つけ、新手の生物かと思い近寄る、とその2対の目は直ぐに消える。またアルスがテーブルに戻るとまたその目が現れる。近づく、消える。離れる、現れる。近づく、水持ってきたマックスに殴られる。


「いったぁ!?」

「なに娘と嫁で遊んでんだコラ」

「あ、シャロッタとシェリー殿か。新種の生き物かと思った」

「うちの家族を新種の生き物と思うな!それで遊ぶな!水でも飲んで大人しく待ってろ!」

「いや、知らないヒ人でも無いんだしそんなに怖がらなくても良い気がするんだが・・・」

「そうか、お前は常識が無いんだったな・・・おい、こいつは大丈夫だ。出てきて良いぞ」

「ん?なんか我自然に罵倒(ばとう)されたん気がしたんだが」


 マックスが声を掛けると厨房の後ろの扉から二人が出てくる。ばつが悪いような顔をしながらシェリーがアルスに向かって謝る。


「ごめんなさいねぇ・・・アルスさんが借金取りかとばかりに勘違いして」

「全くだ。とげとげしたハンマーが飛んできたときは流石に死ぬかと思ったぞ」

「ミートハンマーな、ミートハンマー。それが当たってたらその常識の無い固まった脳内も少しは柔らかくなったんじゃねーの?」


 厨房からマックスのからかう声が聞こえてシェリーがもう!っとたしなめる。その間もシャロッタは母親の背中にくっついてアルスを見ているのだった。


「ところで、シャロッタが顔だけ出してこっちを見てるのだが・・・なんだ?接着剤が母親にくっついて離れたくても離れられない状況なのか?」

「そんなわけ無いでしょ!」

「あ、離れた」

 

 シャロッタがとっさにツッコみの為にシェリーの背後から出る。それを見てアルスが笑った。さすがにアルスでも『怖がっている』という事はわかったらしい。


「というか飯はまだか!?我はもう限界だぞ!暴れるぞ!?お腹すいたぁ~!とか叫びながら床をゴロゴロ転がり回るぞ!?」

「子供かあんたは!?大人しく待ってろ!」

「無理だ!さっきから肉の焼ける良い匂いが漂ってきて腹の虫が治まらん!」

「いや、昨日からアルスさんのお腹鳴りっぱなしだけどね・・・」

「おーなーかーすーいーたーのーだー!」

「うるせぇミートハンマーぶつけんぞ!?」


 やいのやいの二人が言い合ってるのを見てシェリー達も恐怖が和らいだのかクスクスと笑っている。アルスが入った時とは一転して温かい雰囲気が漂っていた。アルスは床でゴロゴロした。

 しばらくしてマックスが出来たての料理の皿をもって厨房から出てくる。そして転がってるアルスを足で蹴ってからテーブルに料理をならべる。


「おら、出来たぞガキ。さっさと食え」

「腹に・・・もろ・・・」

「そうかそうか、要らないんだな」

「いるわ!いただきますだ!ナイフとフォークは!?手づかみでいけということか!」

「まぁまぁ、慌てないで。シャロッタ、厨房にナイフとフォークを仕舞ってあるから取ってきて」

「うん、わかった」


 シャロッタが厨房に戻ってナイフとフォークを持って帰ってくるとマックスとアルスががっぷり手四つで力比べをしていた。


「このガキは10秒が待てねぇのか・・・!?くっそ、力強いなこいつ!」

「ハヤククワセロ・・・ワレ、ニク、マルカジリ」

「なにしてるのよ・・・ほら、持ってきたよ?」


 シャロッタが持ってきたナイフとフォークが一瞬でかき消える。アルスが高速で奪い取ったのだ。消えた食器に目を白黒するシャロッタに目もくれず、血眼で香ばしい鳥の丸焼きにぶっさそうとフォークを突き立てよう・・・とした瞬間、机が粉砕した!


「おやおや、私の借金を返さずにのんきに一人の客をもてなしているのですか。いつからここは高級路線へと変えたのですかねぇ?」


 アルスが座っていた席の机を蹴り上げたらしい大男がそこにはいやらしい笑みを浮かべて立っている。シェリーが怯えた表情で大男の方を見る。


「イ、イジポ「ああああああああああああああああああああああああ!!!」・・・」


 しかしここでアルスが机を粉砕した大男に目もくれず、床にぶちまけられた料理の残骸を見て発狂する!その場はなんかちょっと微妙な雰囲気になった。

しゅみませんSS書く余裕が今ないのでしばらく後書きのSSはお休みです。1年経ってるのにSS書く余裕があったら本文賭けという話ですよね。はいおっしゃるとおりです。

次回更新は・・・み、未定でございます。止めて!石投げないd・・・

できる限り!それはもう頑張りますので!なにとぞ楽しみにしておいてくらはい・・・

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