プレゼント
「とにかく泪は確かに渡したぞ。モンブランへの誤解を解いておいてくれ。決してオムレットはお前を嫌いになったわけではないのだと。オムレットは死んだがその気持ちだけはわかって欲しいと…」
「オムレットさんって亡くなったのか?」
ペスカトーレが驚きの声をあげる。
「何だ、お前たち知らなんだか?オムレットは子供を産んですぐに不知の病を患ってな…」
「可哀想すぎます」
ティラミスが涙を拭う。
「では、最後に一つだけ、質問してもいいか?」
俺はゴーダに問うた。
「何だ?」
俺たちはゴーダの答えを聞き、再びモンブランの元へ戻った。
モンブランに事の仔細を語る。
「そうか…」
モンブランは天井を仰ぎ、鼻を啜り始めた。
「一つだけ、私から質問がある。オムレットは幸せだったのか?」
モンブランは嗚咽しながら搾りだした。
俺が正に想定していた質問だ。もちろん俺はゴーダに聞いていた。
「ああ…。お前との日々を含めて全てな…。それがゴーダからの答えだ」
「そうか…。ーー許す!ブラウニーよ、お前とペスカトーレさんの結婚を許そう…」
「えっ…ええ?」
ペスカトーレは目を潤ませ、膝まづく。
「やりましたね、ペスカトーレちゃん」
「や、やったぞー」
ブラウニーが小躍りする。
「早速準備にとりかかろう。ドレスの仕度、食事の仕度、招待状に…」
「招待状って…。僕らは身内で細々と祝ってもらえればーー」
「いいことはない!我々がよくても他の国王に示しがつかぬ。ゆくゆくはお前がこの国を背負い、他の国王たちとやっていかねばならないのだぞ。お前がよくても我が国の民が困っていたり、他の国の民が困っていたらどうする?互いを知らねばどう助けてよいかわからんだろう」
「なるほどな」
ブラウニーは感心したように頷く。
「ブラウニーよ、本当に大丈夫か?さっきも何か大事なものを燃やされたと言っていたが…」
「いけねえ、忘れてた。あれは内緒にしておいたけどペスカトーレのウェディングドレスだったんだ。まあ、燃えちまったもんは仕方ないし、式まで日が出来たからまた作ればーー」
「なら、お祝いに私からペスカトーレさんにドレスをプレゼントして差し上げます」
ティラミスが戦利品のドレスを差し出した。
別室で試着してペスカトーレが現れる。
「まあ、綺麗」
「僕が仕立てたやつよりずっと素敵だ」
一同のどよめきにペスカトーレも恥ずかしそうだ。
「でも、いいのか?大事なドレスなんだろう?」
「いいえ。私よりペスカトーレさんの方がずっとお似合いです。ーーそれに拾い物ですから」
「そ、そなんだ…」
ティラミス、一言余計だ。悪気はないんだ、ただ正直なだけなんだ。許せ、ペスカトーレ。




