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何があったの?
「親父らしいな」
ブラウニーは武勇伝には興味なさげに伸びをした。
「わしらはそのたびに追い払った。もちろんなるべく傷つかんようにしてな…。城には仕掛けを施し、寄り付けんようにもした。しかし、人間と何度もあいまみえる内にオムレット、ああ竜王の娘の名だ。オムレットが人間に興味をもつようになってしまった。変装を施しては人間の街へ竜王の目を盗んで繰り出すようになってしまった。わしはそのお供と竜王への尻拭いに追われる日々になってしまった」
ゴーダはパイプを懐から取り出すと自らの炎で火をつけた。
「ーーそこでモンブランとオムレットは恋に落ちた。しかし人間とモンスター。道ならぬ恋。互いに反対にあい、それぞれの道を進んだ。時代という奴に阻まれたのだ」
「親父がそんな恋を…。だからその腹いせに竜を忌み嫌い、僕たちを認めてくれないのか」
「何だ、娘さんはモンスターか?そしてお前さんたちが結婚?」
ペスカトーレがゴーダにターバンを外して見せる。
じっと見つめるゴーダはパイプから煙を燻らせると灰を捨て、パイプを懐にしまった。
「ーーならばわしらはとんでもない事をしてしまったのかも知れんな…」
ゴーダの目からは再び泪が流れていた。
今度は正真正銘、何かの感情から溢れ出たものであろう。そう俺は確信した。




