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俺は魔王で勇者は乙女  作者: 藤川そら
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モンブランの城へ

落ち着きを取り戻したパエリアが皆に料理を振る舞ったのはそれから2時間後のことだった。


エニグマの戦利品は全て持ち帰るにはさすがに無理があるので、ほとんどを近くにあるモンブラン城に寄贈することにした。


ドレスとティアラと豪華な靴。それだけはどうしても持って帰る。それがティラミスの言い分だ。それ以外の鎧やら刀剣やら宝石類はすべて悲しいがモンブランのものとなる。


城までは金平の配下が先に運んでいく手はずになっている。


それはさておき、俺と金平はすっかり意気投合してしまい、酒を片手に上機嫌。その様子に酒こそ飲みはしなかったがティラミスも終始にこやかであった。


宴もたけなわ。ティラミスを見ていて俺はあることを思い出した。


「ティラミスよ、サラの手がかりを見つけたぞ。お前の幼馴染だったゴルゴンゾーラ三姉妹。その中の次女、ペスカトーレとここで会った」


「え、本当ですか?パパ上様、一体どこで?」


「お前の助けた牢屋の…」


「ああ、あの女の子。そういえばどこか面影が…。名乗ってくれればよかったのに」


ティラミスは不満げに口を尖らす。


「お前が名乗らなかったのであろう?向こうももしやと思っていたのだがお前が名乗らなかったのでスルーしたそうだ」


「私としたことが…。奥ゆかしき勇者の嗜みを先行させてしまい、淑女の嗜みをないがしろにしてしまいました。以後気をつけねば」


勇者>淑女なのね…。お前の中での優先順位は。


「うむ…。以後気をつけなさい。話がややこしくなる」


「それで、ペスカトーレさんは今いずこに?」


「牢屋の穴の中に俺と潜んでいたのだがーー」


「明日までに大事な用事ある。そう言って走っていった」


ロコモコが俺に水を差しだして割り込んできた。案外気が利くな、こいつ。


「そ、そうか…。ありがとう」


俺も酒の飲みすぎで喉が渇いていた。黙って水を受け取り、喉をならして飲み干した。


「せっかく、母上様の手がかりがあったのに…。私の不注意で残念です」


ティラミスは腕組みをして、俯いた。


「まあ、とりあえず城に戻ろう。パエリアもこうして取り戻せたのだから。モンブランの城に途中立ち寄ればなにかわかるかもしれんしな」


「モンブランの?」


ティラミスは首を傾げる。


「ああ、ペスカトーレはモンブランの王子の嫁探しを兼ねた舞踏会に忍び込んでいたようなのだ。そこで、トラブルになって捕まったらしい。だから、城の者に訊ねれば何かわかるやもしれぬと思ったのだ」


「なるほど」


ティラミスはそれならばと時計を確認し、案内されていた部屋へ行った。夜が白みかけている。仮眠をとるためだ。俺はその場に横になり、パシェリを枕代わりに金平たちと雑魚寝した。



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