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俺は魔王で勇者は乙女  作者: 藤川そら
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幼女が俺を倒しにくるとか笑止千万 1

魔王となった俺は結構やることが多かった。


気付けば10年が経っていた。新魔王誕生の宣言を全世界に伝達するのに1年。


旧魔王派の説得や鎮圧に3年。


モンスターと野生動物の線引きに2年。



人間たちとの話し合いのための準備のために法整備やら対策やらで4年。

俺は激務を振り返り、長いため息をついた。


城も明るい仕様に整え、モンスターにも礼儀作法を教えた。無駄な軋轢を避け、人間との衝突を避けるようよく教育を施した。


俺は窓に近づき、簾の隙間から城下を臨む。モンスターの子供たちが無邪気にスライムと戯れている。


汚れきった俺でも思わず頬を緩めてしまう。


その時、俺の執務室の扉を激しくノックする音が鳴り響く。


「た、大変です!」


息を弾ませ、ズッキーニが執務室に飛び込んできた。


「どうした、血相を変えて」


「魔王様大変です。これを」


ズッキーニはくしゃくしゃになるほど握りしめていた手紙を俺に渡した。煤汚れた手紙には『最強の勇者が魔王を退治にやってくる』と記されていた。


「今更、なんのために?」


これまでも度々勇者を名乗るやつがこの城へ現れ、俺を倒そうと暴れたことがある。俺はそのたびに俺の力を見せつけ、説得し、金銭で買収し、女をあてがって追い返した。


たいていの奴はそれで収まって帰っていくのだが、中には困ったやつも混じっている。特に厄介なのは根拠もなく自信と正義を振りかざしてくる賢者気取りのヒーロータイプの勇者様だ。


HPがカスカスになっているのに負けを認めず、なおも俺に襲い掛かってくる。しかもやたらめったら回復薬やら呪文やらを多用してマジでしつこい。


しまいには蘇生の呪文まで駆使してきりがない。お前らゾンビか!と思わず突っ込みを入れてしまったほどだ。


こういう連中は説得にも応じないので、素直に土下座してもう悪さは致しません(実際俺が魔王になってからモンスターたちは一切悪さをしていないのだが)の一筆を啓上して、ほめたたえて追い返している。意外とおだてには弱いようだ。


しかし、最近では平和になったせいかそうした輩もいなくなっていたのだが、どういう風の吹き回しなのか、俺はこの手紙の真意を量りかねていた。


「とにかく用心に越したことはない。子供たちを安全な所へ避難させ、いつものようにこの執務室へお通しさせろ。お茶と菓子を忘れぬようにな。後お土産の準備もぬかるでないぞ」


俺はズッキーニに指示をだした。

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