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俺は魔王で勇者は乙女  作者: 藤川そら
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学院でのトラブルに口は出さずに首だけ突っ込みに行く

エルフの森から帰ったティラミスは鏡を使って魔王城の中を隈無く探索していた。


一日中よく飽きもしないなと思うほど丹念にまるで虫眼鏡で小さな虫でも探索しているかのように時には這いつくばって探しまわっていた。


「魔王さまぁん。ティラミスちゃんは一体何をなさっているの?」


ショコラが俺の周りを回りながら訊ねてきた。


「さあな…」


俺は相変わらずフラワーの水やりという日課をこなしていた。


今日も晴天。平和な昼下がり。


「さあなって…。魔王さまってばもう」


ショコラは頬を膨らます。俺だって気にならないわけではないが、ティラミスもまだ口を濁すばかりで何も言わない。


考えがあってのことだろうと思ってはいるが、さすがにそろそろ勿体ぶっていないで俺にも教えてくれてもよさそうなのだが…。


「ふむ…。そろそろ俺から切り出してみるか…」


「ショコラもお供しちゃいまーす」


水やりも一段落したし、俺とショコラはティラミスのもとへ向かった。


城の廊下を歩いていると向こうからティラミスとズッキーニがやってくる。


ちょうどよかった、と思っているとティラミスは強張った表情。ズッキーニは慌てた表情。


対照的な表情で早歩きで通り過ぎようとする。


「おい、ティラミス」


何か怒らせたか?俺はティラミスに声をかけた。


「あっ、パパ上様。これは失礼。今、マルちゃんから電話がありまして…」


「何かあったのか?」


「ええ…。ババロアの手下がこの間の闘技場の腹いせにモナカんを苛めているらしくて…。とにかく学園に行って参ります」


モナカはトロールという種族。緑の肌をした坊っちゃん刈りの大きな男だ。


頭の回転がよく、生真面目。持ち前の優しさと動きが鈍さが災いして、ババロアたちにいつも標的にされて苛められている。


一緒にいるカプチーノが助けているのだがどうやらカプチーノは親の手伝いで畑をしているらしい。


ババロアはカプチーノがいないのを良いことにモナカに難癖をつけ、苛め始めたようだ。


マルガリータが発見し、魔道学園の先生に通報したのだが、取り合ってもらえず。ティラミスに助けを求めたのだった。


多額の寄付を受け、しかも王族の長の息子、ババロアプリンス様。魔道学園も知らぬふりを決め込んだようだ。


「よし、俺も行こう。ーーただし、これはお前たちの問題。俺は一切手出しはしない。わかったな?」

「端から、そのつもりです」


ティラミスはにっこりと笑った。


「ズッキーニ…。お前は待っておれ。心配性のお前があたふたしておればティラミスの気が散る」


ズッキーニはぶつぶつ文句を言っていたが渋々留守番を承諾した。


俺たちはショコラを含めて三人で学園へ向かった。


学園に着くと、敷地の外れの方で派手な噴煙があがっていた。


「多分あっちです」


ショコラはティラミスが指し示す方へ羽をはためかせ一直線に飛んでいく。


俺はティラミスの後を追って走っていく。


走ってみるとかなり広い んだな。


山や砂漠に模したフィールド。ミニダンジョンにピラミッド、塔。小さな冒険島程度の設備はしっかり整っている。


それに今走っている方向とは逆方向には闘技場。


一通りの作法は学べるようになっている。さすがにただ金は取らない。


俺は感心してしまった。


「パパ上様あれ!」


ティラミスが息を弾ませて指差す先には大きなモナカが今にも倒れそうに体を前後に揺すっている姿が。


周りをハエのように素早い連中がモナカに殴りかかったり、魔法を撃ち込んだりしていた。


完全に集団リンチだ。


俺は怒りで範囲魔法をぶっ放したくなったがティラミスとここにくるとき結んだ約束を思い出して止めた。


幸い先に飛んでいったショコラが回復役を買ってでてくれたおかげでモナカもすんでのところで持ち直した。


しかし、今度はショコラまでが標的になり空を逃げ回る。


「魔王さまぁん、助けてー」


ショコラは飛んでくる炎の玉や氷のつぶてを必死で避けている。



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