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俺は魔王で勇者は乙女  作者: 藤川そら
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バジリスクのお掃除

「パパ上様、どちらへ?」


「決まっておろう。場所さえわかればやることは一つ。ニラレバを倒すのみだ」


「待ってくれ。仲間たちの準備をあるのでしばし…」


ピーターも慌てて立ち上がる。つられて周りのエルフたちも立ち上がる。


「構わぬ。俺とティラミス。二人いれば十分だ」


「相手はバジリスクだぞ。それも一匹や二匹ではない。いくら魔王殿が強いといってもここにいた大蜘蛛とは訳が違う」


ピーターは俺の裾を引く。


「大丈夫だ。ーーついでにドリアードのかわい娘ちゃんの姿も見ておきたいのだが…」


「なら私も行こう。他のエルフにはよく言ってきかしておく」


ピーターはため息をつくと側にいたエルフ数名を呼び寄せ、少しの間話をしていた。


集まったエルフたちは驚きの表情をしていたがやがて寂しそうにその場を去っていった。


「何やら今生の別れのようだな…。そんなに心配か?俺たちだけでは」


「今まで何年もの間手練れのエルフたちが隊を組み、ニラレバに挑んだが全て返り討ちにされている。それを思えばーー 」


「そんな暗い顔しないでください。大丈夫ですよパパ上様はチートなんです」


「チート?チート…とは?」


ピーターは困惑した表情を浮かべる。


「最強だ」


インチキという本来の意味は飲み込んだ。だってこのワールドで強いのは間違いないしな…。


「では参るか」


「はい」


俺とティラミスは歩き出した。


「ちょっと待て!魔王よ、そのような軽装で森に入るつもりか?俺の話をきいていなかったのか?」


「バジリスクのことか?」

俺はティラミスを見た。ティラミスもきょとんとしている。


「やっぱり…、網か虫かごぐらい持っていったほうがいいですかね…」


「おいおい、ティラミスよ。お前連れて帰るつもりか?エサ代半端ないぞ。それにパシェリが襲われたらどうする?」


「パシェリが?それはダメです。だったら連れて帰るのはナシにします。ーーでも、森に放置したらエルフのみなさんに迷惑でしょうし…」

「そうだな…。ふむ」


俺とティラミスは会話しながら森へ向かった。ピーターは何か喚いていたが無視した。


論より証拠。一匹倒して見せてやったほうが早い。


そう思っていた時に早速二匹現れた。


赤い鶏冠を震わせ、漆塗りの器のように輝くクチバシ。ぎっしりとノコギリの刃のような歯がつまっている。


背中の鱗もワックスでもかけているように黒光りし、不釣り合いな白い羽が生えている。


「出ましたね…。思っていたのと違ってがっかりです」


ティラミスはバジリスクの巨体を見上げなからため息をついた。


「見つめあったら石になるんですよね。ならばーー」


ティラミスはバジリスクの背中に回り込み、怪我をした時のために持っていた包帯で目をぐるぐる巻きにしてしまう。


「ちょっとすいません。勘弁してね」


ティラミスはあっという間に二匹のバジリスクの目隠しを完成させた。


「な、なんと!」


ピーターが驚いている間に俺がバジリスクの腹に手刀を入れ、眠らせた。

目隠しから締めて10秒。森の木々をなぎ倒してバジリスクが二匹仲良く並んで横たわる。


「ああ、森を傷つけちまったな…。次はもっとうまくやるか…。ティラミスよ、連れて帰らないならどうするのだ。明らかに邪魔だ」


「そうですね…。食べても不味そうですし、飛ばします」


ティラミスはバジリスクの尻尾を両手でつかんでジャイアントスイング。


大空へ向かって放り投げた。スピードを上げ、遠ざかるとバジリスクは影も形も見えなくなった。


「あんたたち一体?」


ピーターは目を見開いて唇をわなわなと震わす。


そりゃそうだ。武道着を着ているとはいえ可愛らしい華奢な女の子が3メートルはある巨大なアニマルを軽々と投げ飛ばしたのだから…。


「バジリスクさんたちなら心配ないですよ。あの飛ばした先には無人島があるはずですから」


ティラミスはケロリと言ってのけた。


「こ、これならいけるかもしれない。あのニラレバにも勝てるかもしれない。ひょっとしたらひょっとするぞ」


ピーターは一人下を向き、自分に言い聞かせるように呟く。武者震いの背中は後ろから見ると一層小さく見える。


「ひょっとしたら…じゃなくて絶対勝ちます。パパ上様は世界に名だたる魔王様なのですから」


ティラミスはピーターの小さな背中を励ますように叩いた。


ピーターの背筋がシャキッと伸びる。


「ティラミスよ、ちゃちゃっとな」


「はい、パパ上様!」


俺たちは森の中に潜むバジリスクたちを見つけては片っ端から空に向かって放り投げていく。


ーー20分後。


「待てえー」


ティラミスがはしゃぎながらバジリスクの群れを追い回す。完全に敵わないと感じたバジリスクが必死で逃げ回っているのだ。


時々逃げ切れないと悟ったバジリスクが反撃に転じるがティラミスのウインドエスケープの魔法によって返り討ちに。弾き飛ばされる。


「おとなしく、住んでいた場所に帰りなさい」


崖に追い詰められたバジリスクたちは身を寄せあい、息切れで倒れ込む。

ティラミスは指でびしっと命令する。


バジリスクはフラフラと立ち上がると覚束無い足つきで逃げていく。


森を抜け、どこかへいってしまった。






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