ティラミス登場!
少々ショックが大きかったが、同時に俺が戻らなかったサラの城の様子が気になった。
「ーーところで、サラと王様はいかに?」
「白々しいのでつ。お前らのせいでおじいさまも母様も…。そして、お前を討ちに行った父様もみんな、みんな亡き者になってしまわれたのでつ」
そこまで言うとティラミスは大声をあげて泣き始めた。
恐らく、前魔王のせいであろう。俺がモンスターの世話などしないで情け容赦なくあっさり魔王を倒していればサラたちも死なずにすんだのかもしれない。
俺は心が痛んだ。
しかし、だからといって今俺はティラミスに討たれるわけにはいかない。
やらねばならぬことが一杯あるのだ。
こうして俺がもの想いに耽っている時でもティラミスは俺の命を容赦なく狙って斬りかかってくる。
「ーー聞くにティラミス。貴様、私を討ち取った後、帰る場所は?」
「ないでつ。でも、お前を倒すのでつ!おじいさま、母様、そして勇者だった父様のために…」
この時になるとティラミスの攻撃はもはや攻撃と呼べるような代物ではなくなっていた。やけくそぎみに刀をぶん回すだけの状態になっていた。
俺は目を瞑り、静かにティラミスの攻撃をかわす。
「ひっくひっく…。泣いてなんからいもん。ティラミスはつおい子なんでつもん」
「ふん、もういい」
「ぴぎゃん!は、放せ!!」
俺はティラミスの剣を掴むと持ち上げた。ティラミスも剣を握ったまま放さないので宙吊りとなり、足をばたつかせる。
サラの顔が脳裡をよぎる。仮にティラミスが俺を倒したとしても幼い女の子が独りぼっち。
生きていくことは難しいだろう。それに俺を倒すという目的が無くなってしまったら、ティラミスは何を目標に生きていくのだろうか…。
俺は釣り上げられた魚のように両手足をばたつかせているティラミスを見つめる。
「貴様なぞに倒される俺様ではないわ。ーーかと言って貴様のような弱い勇者を倒したところで何の面白味もない。貴様帰るあてもないとな…。ザマアこの上ない憐れな子ウサギよ」
「わ、私をどうするでつか?」
「10年…。10年だけ待ってやろう。俺様の命が欲しければこの城に住み、24時間いつでも好きなときに俺の命を狙うがよい。ただし、俺も容赦はしない」
「へ?」
ティラミスは剣を放し、床に落下した。尻餅をついたまま俺をぽかんと見つめる。




