俺もうやめるっていったよね!?
書きたくなったので書いてみました。
流し読みのレベルで気楽に読んでください。
4月10日 加筆しました。
4月12日 主人公の名前を変更しました。
……あ、どうもはじめまして。俺は日野原 真人、17歳。どこにでもいる普通の高校生でした。
「でした」と過去形な理由は、まぁ普通じゃなくなっちゃったんですよね。簡単に言うと。何があったのかというとーー
「ちょっとマコト! 早く来なさいよ!」
「……へいへい、いまいきますよ」
……邪魔が入ったな。取り合えず早いところ行くとしよう。
小走りに、少し先で立ち止まっていた長めの髪をツインテールにしてまとめている黒いローブを身に付けた魔女風の少女のもとへ向かう。
「早いところ解体しちゃって」
「あいよ……って、黒こげじゃねぇか。こんなん解体しても誰も買わんし食えんわ」
彼女の正面に倒れている、大きめのイノシシの死体を見る。それは、よほどの高火力だったのか、体は真っ黒に焦げ、足先に至ってはほとんど炭と化していた。
「仕方ないじゃない。ムシャクシャしてたんだから……」
「ムシャクシャして上級の炎属性魔法をぶちこまれるとかこのボア君も運がないなぁ」
「うるさいわね! やっちゃったものはしょうがないの! ほら、解体できないならみんなのところに戻るわよ!」
「へーいっておいこら引っ張るな伸びる」
「あんたの安物装備なんか伸びたってどうってことないわよ!」
こ、このやろう……お前と違って俺はそんなに金持ってないんだぞ。装備をそろえるのも大変なんだぞ。
そのまま彼女に引っ張られ仲間のもとへと戻る。そこには黒い貫頭衣……まぁシスター服を着た栗色の髪の少女、胴着? 着物? まぁそんな服をきた侍風のポニーテールの少女、そして全身鎧を身に付けた少年がいた。ちなみにツインテールを含めて全員美男美女である。え? おれ? ……フツメンですがなにか?
「あぁ、おかえり」
「おかえりなさい」
「おかえり……どうだった?」
「ただいま……どうももなにも、黒こげだからなにもとれないらしいわよ」
「そっか。…………」
「お前は焦げた肉……いや、炭を食べたいのか?」
「……いらない」
ツインテールの話を聞いて残念そうにこちらを見てくる、おそらくボアの肉が目当てだったのだろう食いしん坊なポニーテールをあしらう。
……さて、ここまで来ればもうわかるだろう。そう、俺が普通じゃなくなった理由。それはファンタジーの世界に召喚されてしまったということである。まぁ、召喚といっても巻き込まれたんだがな。
「ん? なにかようか?」
「いやべつに」
目の前に優雅に座っている召喚された勇者、己龍 劔岳を見ながら、俺は召喚されたときのことを思い出した。
忘れもしない。学校が終わり、荷物をまとめてさぁ帰ろうと、女子と駄弁っていたこいつのとなりを通り過ぎようとしたとき、いきなりこいつの足元に魔法陣が現れた。そしてそれにそのまま吸い込まれていき、慌てたこいつはすぐとなりにいた俺の足を掴みやがったのだ。
どこぞの掃除機も真っ青な吸引力により俺はそのまま魔法陣に吸い込まれてしまった。そして次の瞬間にはこの世界の王国の城のなかにいて召喚したお姫様からテンプレの台詞をいただくはめになった。簡単に言うと魔物が溢れかえって大変ですたすけてー……だ。
そしてやはり、召喚された勇者君である己龍にはチートといえる力が授けられていた。んで、巻き込まれた俺にはもちろんチートなんかない。己龍に「なんでお前いるの? 何しにきたの?」といわれた時には殺意がわいたね。そして、もとの世界に変える方法だが魔物を倒すと手にはいる魔石をたくさん集めれば召喚の魔法陣が起動できて送還もできるだろうとのことだ。ま、ここまでテンプレかな?
さて、ここからテンプレから外れる。こういう場合俺にも隠された能力があったりするのがテンプレなんだろうがな? ないの。まったく。一ミリも。魔力量とか色々調べたんだが、身体能力から魔力量まで一般人の平均なんだそうだ。ザ・一般人だ。しかも、城で保護する余裕はないそうだ。俺は思ったね。あ、アカンやつやこれ……って。
ヤバイと思った俺は頑張った。己龍が訓練なんかをしている間、家事を習った。交渉術を学んだ。魔物の解体方法を学んだ。図書館で見つけた昔の魔法を学んだ。とにかく裏方に徹して捨てられないために頑張った。そしてなんとか、勇者の補助役としてのポジションを得られた。まぁ俺以外の人員がいなかったという理由が大きかったが。
そして、勇者を補助しながら、道中でツインテールのツンツン魔法使いーーミリアリア、栗色ロングの内気ドジっこシスターーーシェリア、食いしん坊ポニーテール侍ーーサツキという仲間を得たりして、いまに至るのだ。ほんとに俺頑張ったわ……。
「さて、それじゃいこうか」
「おっけーよ」
「わかりました」
「わかった」
おっと、回想してる間に休憩時間は終わったか。
先に進み始めた四人を、俺は全員分の荷物をもって追い始めた。まぁ全員分って言っても、おれはとある魔法が使えるのでこの程度そんなに苦にならないけどな。てかほとんど己龍のだし。あいつ何持ってきてんだか……。
「いたぞ」
「あれがこのあたりを騒がしてるアーマータイガーね」
「鎧を身にまとった虎……そのまんまですね」
「周りにウルフたちが結構いるね」
森の中の開けた場所に存在する虎とオオカミの群れを観察しながら、4人は話し合っている。
「それじゃ、支援かけるぞ」
「はやくしろよ」
「へいへい……《アクセル》《ブースト》《プロテクション》」
まずは己龍に触れて、魔法を発動する。
俺が図書館で見つけた古い魔法は付与魔法というもの。かけた対象に魔法に対応した能力を上昇させることができるものだ。ひとまず己龍とサツキの前衛組に速度・身体能力・防御力を強化するものをかける。
「3つか……もっとかけられないのか?」
「毎回言ってるが無茶を言うな。ここまでできるようになるのにもえらいかかったんだぞ」
付与魔法は重ねてかけると、すでにかけた魔法と新しくかけたものが反発し合ってしまう。それを何とか制御できるようになって3つまでかけられるようになるのに、かなりの時間がかかった。
「ちっ……使えない」
「はいはいわるぅございましたね。んじゃ次だ」
己龍の悪態を受け流しながら、残りのメンバーにも付与魔法をかけていく。
そうして、付与し終わったメンバーは、アーマータイガーのもとへかけていく。
近づいてくる前衛組の己龍とサツキに気付いたアーマータイガーは咆哮を上げ、威嚇してくる。二人はそれに臆さずアーマータイガーに切りかかるが、見た目に合った俊敏な動きを見せ、アーマータイガーは攻撃を回避した。
「食らいなさい!--《バーニングランス》!」
それに対し、ミリアリアが炎の槍を飛ばすが……それも避けられてしまう。
そしてそのままアーマータイガーは己龍たちに襲い掛かった。
「……っ!」
「ぐわっ!?」
サツキは何とか避けたが己龍はよけられずその鋭い爪の攻撃を食らってしまう。
「今治します!--《ヒール》」
それを見たシェリアがすぐに魔法を発動させる。温かい光に包まれた己龍は、その傷をみるみるうちに回復させる。
「ありがとうシェリア! いくぞ!」
傷が回復した己龍は再びアーマータイガーと交戦を始める。
俺? 俺はというと……
「のっ! こいつっ! くたばれ!」
後衛組に襲い掛かろうとしている取り巻きウルフたちを迎撃してます。うん、一見地味だけどこの仕事大事。チート持ちならバッタバッタとなぎ倒すんだがあいにく俺にそんな力はない。なので自分に速度強化の支援をしてあとは攻撃喰らってもいたくないように防御をに重ねて強化して完全なる囮ですわぁ。適当に剣で切りつけて気を引いて逃げるんだよー!
「バーカアーホドジマヌケぇえええ!?」
「フレイムボム!」
悲鳴に似た悪態をつきながら逃げ回っているとき、俺を追いかけていた取り巻きウルフが炎に飲み込まれた。
「囮するならしっかりしなさいよね。まったく」
「なんだかんだいって助けてくれるミリアリアさんマジ天使!」
「なっ!? バ、バッカじゃないの!? 別にあんたにそんなこと言われてもうれしくないわよ!」
そんな茶番(?)を挟みながらしばらく、己龍とサツキが少しずつ攻め、ミリアリアの魔法で牽制し、その隙にシェリアの魔法で回復するというループが続いた。(終始おれは取り巻きウルフの相手をしていた)
しかしこちらも俊敏なアーマータイガーに一撃を入れられず、戦況は拮抗していた。
「このぉっ!」
しびれを切らした己龍が大振りな攻撃を繰り出したとき、アーマータイガーはするりと己龍のわきをすり抜け、後ろで回復役に徹していたシェリア目掛けて突き進む。
「しまった! シェリア!」
「……っ!」
突然のことに動けないでいたシェリアに対し、アーマータイガーは大口を開けて飛びかかる。そして……
「いってぇ!」
「マコトさん!?」
シェリアの前に立って庇った俺の腕に噛みついた。悲鳴混じりにシェリアが呼び掛けてくる。アーマータイガーの牙は防御を全開で強化しておいた腕に食い込んでいる。うん、正直に言おう、超痛い。泣き叫びたい。牙が! 牙が刺さるぅ! でも今そんなこと言ってる場合じゃない。そのまま噛みついているアーマータイガーの体に触れ、付与魔法を発動させる。
「そんなに早く動きたきゃもっと早くしてやるよ!--《アクセル》《アクセル》《アクセル》!」
掛け終わると同時に、サツキがアーマータイガーに切りかかり、それを避けるためにアーマータイガーは腕を放して飛び去った。……瞬間移動とも思えるようなスピードで。
速度を出し過ぎたアーマータイガーは止まりきれず、後ろにあった木にぶつかってしまい、そのまま倒れこむ。
今だと言わんばかりに己龍が剣をもってアーマータイガーに襲い掛かる。アーマータイガーはそのまま何もできずに剣で斬られて倒れた。それをみた取り巻きウルフも慌てて去っていく。ふぃー、何とかなったか。おっとぉ? 噛まれてた部分見てみたら真っ青だぞぉ? 見てない俺は何も見てない。意識したら痛いから何も知らない。
「マコトさん! 大丈夫ですか!?」
シェリアが駆け寄ってきて俺の腕の治療を始める。サツキとミリアリアもこちらを心配そうに見ていた。己龍もこちらへ向かってくるが……
「ふん、自業自得だ」
「……はい?」
治療されている途中に訳の分からないことを言ってきた己龍を見る。
「お前がもっと付与魔法が使えていたらこんなに苦戦せずに済んだんだ」
「……」
そのセリフに呆れて何も言えなくなる。
こいつはいつもこうだ。俺が頑張って報酬を上げたり、料理をしたりと補助活動をしているのを当たり前だと思い、自分が失敗すれば俺のせいにしてくる。ねぎらいの言葉なんか一切ない。今までさんざん我慢してきたが……もう限界だ。
この時点で、俺はとある決意をした。
アーマータイガーの解体が終わり、依頼を受けた町へと帰還して、報酬をふんだくった後(ふんだくる交渉を行ったのは俺だ)、ちょっとした祝勝会を開いた(もちろん食事を作ったのも俺だ)
その祝勝会が終わりに近づいたころ、おれは四人に話を切り出す。
「さて、ここでみんなに話がある」
「……なんだ?」
「どしたの?」
「どうしたんですか?」
「……?(もぐもぐ)」
全員の注目を浴び(一名食事に夢中だが)さっそく本題に入ることにした。下手な変化球とかいらない、ど真ん中ストレートだ。
「今日で俺はこのパーティを去ろうと思う」
「……なんだと?」
それに反応したのは己龍だった。
「今日で勇者の補助はやめるっていったんだ」
「お前、そんなのが許されると思っているのか?」
「……誰の許可がいるんだ?」
「王国に決まっているだろう!」
「人を巻き込んでおいて一切の支援をしなかった奴らの許可なんか取る必要ないね」
「お前はこの世界を救いたいとは思わないのか!」
「別にこのパーティにいなきゃ救えないというわけじゃないしもともと俺は巻き込まれただけなんで義務とかないし」
「おまえーー」
「ーーこれ以上感謝もせずにバカにしてくるだけの奴の補助なんてごめんだね」
意外と食い下がってくるのでささっと拒絶しておこう。
「んじゃそういうことで、明日から4人で頑張ってくれ」
喜べ己龍よ。ハーレムだぞ。
そうしてかかとを返し、自分の部屋に行こうとしたとき、
「まって」
「まってください」
「まっふぇ」
ハーレム要員3人に呼び止められた。サツキは口のなかのもの食べ終えてから喋ってくれ。
「……なに?」
何か文句でも? という思いを込めて振り返って3人を見る。そして3人は……
「「「私もついてく(いきます)」」」
口をそろえてそう言った。
「「……は?」」
これには俺と己龍も仲良く唖然。なにをいってるんだこいつらは?
「だから、私たちもマコトについていくって言ってるの」
呆けている俺に対し3人を代表してミリアリアが言う。いやいや……いやいやいやいや。
「ちょっとまってくれミリアリア。そこの役立たずはもういい。でもなんで君たちまで出ていくんだ?」
混乱している俺の代わりに己龍が尋ねる。おいさりげなく人をディスんのやめーや。
「だってツルギは……ねぇ?」
「ツルギさんは……ちょっと」
「いや」
「なっ!?」
おっと? 予想外にバッサリ切られてんな。ご愁傷さま?
「目線がいやらしいし」
まぁ、こいつ結構むっつりだからな。寝間着とか風呂上がりの時の無防備な姿をガン見しているのをたまによく(どっちだ)見ましたね。
「目が時々怖いです……」
ま、まぁそんな二つの山脈を携えていたらそりゃあね? むっつり君にその豊満な双丘は毒だと思いました。まぁこいつは見過ぎだけど。ちなみにサイズを比べるとシェリア:巨、サツキ:並、ミリアリアは……触れないでおいてやろう。
「おいしいもの食べられないし」
もともとあいつ料理しねぇしな。プレゼントとか上げてるのは見るけどだいたいアクセサリーだったからな。こいつのニーズには答えられないだろう。
それに、と3人は付け加える。
「マコトが私を誘ったの。加減が下手くそな私を必要だって言ってくれたの」
まぁ、魔法職は必要だと思って、出会ったときに声をかけたのは俺だな。加減が下手くそで威力が強くなってしまう? 大は小を兼ねるという言葉があってだな。
「こんなドジでダメな私を必要としてくれました」
やっぱ回復職って必要だよね! と勧誘に言った教会で孤立してて気になっちゃって声かけたんだったなぁ。別にドジといってもそこまでじゃないし、能力に至っては回復ができれば十分だったからな。
「おいしいもの作ってくれるし」
お前は食欲ばっかりか。まぁ飯で釣ったことは否定しない。空腹で行き倒れていたところを拾ったのは記憶に新しい。
「だから私たちはマコトについていくの」
「マコトさんがいないなら意味ないです」
「ごは……こほん。マコト、大事」
「……さいですか」
そう言ってもらえて、ちょっと涙が出そうだ。いやぁ、いい仲間を持てーー
「ーーちょっと待て! 僕はそんなこと認めないぞ!」
ちっ、んだよ。せっかくいい話だなーで終わるところだったのに水を差しやがって。
「なんでそんな何のとりえもない奴につくんだ! 僕の方が何十倍もすぐれているのに!」
それを言われると否定できない。ていうかチートもちと比べられると困るんだが……。
「でもツルギは魔物の解体できないじゃない」
「交渉も、できませんよね?」
「料理もできない」
「そ、そんなことどうでもいいじゃないか!」
「よくないわよ。解体できないと倒した魔物をお金にできないわよ」
「交渉できないと、二束三文で働かされたりしますよね」
「空腹、ダメ、絶対」
「ぐ、ぐぅっ!」
最後実体験だから説得力あるなぁ。己龍は言い負かされたのか、顔を俯けている。
が、突如ばっと顔を上げ、俺を指さして言う。
「そうか! オマエチートをもらったな! 魅了か何かのチートでみんなの心を操っているんだろう!」
なんでそうな……いや、若干一名料理で魅了されてるかもしれん。
「この卑怯者! 成敗してくれる!」
そういって己龍は剣を抜いて襲い掛かってくる。ちょぉっ!?
慌てる俺の前に、サツキが立ちはだかった。
「下がって支援頂戴。速度と身体能力で」
「お、おお。--《アクセル》《ブースト》」
言われた通りサツキに付与をかけた後、下がる。
「どけサツキ!」
「やだ」
「なら力ずくで!」
そのまま己龍はサツキに襲い掛かる……が、
「ふっ!」
「ぐあっ!?」
合気道とかそこらへんだろうか? その要領で、己龍はいとも簡単にサツキに倒されてしまった。己龍を押さえつけながらサツキが言う。
「マコトの支援がないとあなたはこの程度。どれだけマコトがすごいのか、あなたは全く理解してない」
そう言い放って、己龍を解放した後、サツキはこちらへ戻ってきた。己龍はそのまま動けないでいる。
「おわった」
「ん、お疲れ様。それじゃマコト、いこっか」
「行きましょうマコトさん」
「お、おぉ……」
そのまま3人は己龍を置いて、俺と一緒に旅をすることとなった。
「……へーそんなことがあったんだぁ」
感想を漏らしているのはこの前あたらしくパーティに入ったラナという女格闘家の少女だ。現在とある依頼を達成して宿で祝勝会中。その途中でふと思い出した昔話を話したのだ。
「それを聞く限りじゃツルギって人は最低だね」
「そうなのよ。下心満載で見てくるし」
「ひどいときには体に触れてきたりしましたし」
「ご飯くれないし」
「サツキはほんとにそればっかりだね」
ツルギがいなくなって1年がたっても、こいつは本当にぶれない。現在進行形で俺が作った料理にがっついているしな。
「ふむふむそうなんだ……」
「そうなの」
「そうなんです」
「……そ」
4人がうんうんと首を縦に振っている。君ら仲いいね。
「それで一番許せなかったのがマコトにひどい扱いをしてたからだと」
「そうなのよ! ……え?」
「そうなんです! ……え?」
「そだよ」
ラナの言葉に力強く頷いてから固まる二人。お? どうしたよ?
「そ、そそそそんなわけなななないじゃない! なんでマコトがひどい扱いされてたら怒るのよ!」
「そ、そそそそうですよ! なんで私がそんなことで怒らなくちゃいけないんですか!」
「へー……ふーん……」
「……(もぐもぐ)」
すぐに硬直から復帰し叫びだす二人。ニヤニヤしているラナ。食事を楽しむサツキ。少しゴタゴタしてきたな。
「おいミリアリアにシェリア。落ち着け」
「な、なによ! あんたはこのパーティでは解体役をしてればいいのよ!」
「せやな」
「マコトさんはこのパーティで交渉役をしてくれればいいんです!」
「知ってる」
「……料理役よろしく」
「お前はそれしか言えんのか」
うーん、己龍がいなくなったら蔑ろにされるという問題が解決するかと思ってたんだがなぁ。4人パーティになってからは何かとミリアリアたちがこういうことを顔真っ赤にして(たぶん怒ってるんだろう)言ってくるからあんまり変わらない気がする。
「マコト大人気だねぇ」
「これは人気なのか?」
ほんとはこのポジションをやめるつもりでいたんだけどなぁ。まぁこれくらいしかできないからこれからもやっていくけど……。
ラナ「そういや己龍はそれからどうなったの?」
ミリアリア「付与なしで戦って大けがしたって聞いたわね」
シェリア「交渉で負けて二束三文で素材を買いたたかれたそうです」
サツキ「まともなものを食べられていないって聞いた。私もおなかすいた」
マコト「お前はそればっかりか。まぁ、碌な生活送ってないのは確かだな」
ラナ「なるほど、ざまぁってやつだね」
マコト「なんでお前がその単語を知ってる」