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『Re:rights』  作者: 藤崎透
Re:legend
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『Re:rights』VS『JJ』

それから2週間後、『全世界 AFWクラントーナメント戦』の日本予選大会が始まった。

日本予選大会の詳細はまずそれぞれの在籍する都道府県ごとに開催される地区予選大会にてそれぞれ2つのクランが、日本を8つに分けた地区でそれぞれ2クランずつが選出され、決勝大会としてそれぞれ8地区、合計16のクランによる決勝戦の末に残った2クランが日本代表クランとして選ばれる。

そんな長い道のりの一歩はまず強豪が揃う東京大会で2クランに残らなければいけない。

その中にはもちろんあの『J.L.Q』も含まれており波乱の戦いになることは間違いなかった。

そんなことを胸に抱きながら俺たちは東京大会の会場にてトーナメント表を見つめていた

二つあるトーナメントによってそれぞれのトーナメント優勝者が東京地区代表として選ばれる。

「おっ、俺たちはBトーナメントだからAの『J.L.Q』とは戦わないで済むんだな」

「そうだな、でも俺たちが順調に勝ち進んだとして、4回戦『JJ』7回戦『@A@』準決勝では『TUDW』って強豪とぶつかることになるからな『J.L.Q』がいないからって気を抜いているとやられるぞ」

この時の『AFW』は爆発的な人気を誇り、この時の東京大会だけでも参加クラン数は総勢は約9800クラン、つまり40000人近い参加者が集まりそれを2つのトーナメントに分けて試合をする上に、強豪揃いということもあってこの東京大会の優勝者に日本中が注目していた。

「でもいくらそれらのクランが有名だからって他のクランに油断してたら揚げ足を取られるからね。最初の相手は『JACK POT』だ、油断せずに行こう」

「そうだね、一つ一つの試合に集中しよう」

「凛と渉の言うとおりだ、気を抜かずに行くぞ」

俺らは顔を見合わせるとお互いに頷くと踵を返して『AFW』の筐体が数百台置かれた試合会場へと場所を移すと先のトーナメント表に書かれていた場所へと向かう。

そうすることで多くの参加プレイヤーがいる会場でも迷うことなく対戦相手と対決ができるというわけだ。

「それじゃ、よろしく」

先に来ていた相手に手を差し出して挨拶を交わすと俺たちは早速、筐体の中に入っていった。

「みんな準備はいいな?」

「もちろん」

「うん、大丈夫」

「いつでもいいよ」

メンバーそれぞれの言葉に俺は息を大きく吸うと口を大きく開き全員に宣言した。

「それじゃあ、作戦開始だ」



1回戦、2回戦、3回戦と俺らは順調に勝ち進んでいった俺たち『Re:rights』はそれに伴って会場の人数は最初の半分以下にまで減ったが観客の人数は増えていった。

「次は『JJ』との勝負だね」

「最初の難関といったところだな」

相手の『JJ』はその当時では中堅クランといったところで大会でも何度か対戦したことがあるクランだった。

ここまでくればやはり相手の強さも徐々に強くなっていった。

俺らは所定の場所へと移動すると先に待っていた『JJ』のメンバーと挨拶を交わすのも先に

リーダーの日野は大きく腕を開いて俺たちのことを歓迎するかのように笑を浮かべながら口を大きく開いた。

「やっぱり、そっちも生き残ってたか」

「お互い様だろ」

リーダーの日野とは知らない顔でもあるし年も近い事もあってこうして大会などで会えば世間話をするくらいの中ではあった。

そんな『JJ』のメンバーを見てみると、そこにはこれまでとは違った顔ぶれの数々で俺はついまじまじと見ているとそれに気づいた日野はより一層、大げさに笑を浮かべる。

「今回のうちのクランはこれまでお前らと戦ってきたのとはわけが違うぞ」

「ほぅ…どんな風に違うって言うんだ」

「ふん、こんなところで教える訳無いだろ。お得意の挑発にはもう引っかからないからな」

「そう言ってお前は前にも引っかかってたからな。どうだか」

「もう試合前にお前と話すと調子が狂う。もう俺は何も話さないからな早速試合を始めようぜ?龍ケ崎」

そう言って日野は広げていた手を振って胡散臭いものを振り払うかのような動きをしながら話を切り上げてしまうと踵を返して足早に筐体の中へと入っていった。

いつもながら、日野の憎たらしいが恨めない動きを最後まで見送りながら俺も後ろに振り返るとメンバーをみて呟いた

「それじゃあ、俺たちも始めるとするか」

筐体の中に入りHMDをかぶると静かに息を吐いて目の前に広がる白い空間の中で一同の顔を見渡した。

「今回、日野も言っていた通り相手がどんな攻撃をしてくるのか予想がつかない以上、俺たちは相手の動きを見ながら動かなければいけないわけだ」

「つまり様子見をしなくちゃいけない分、俺たちは不利ってことか」

「ああ、しかも相手はこれまで何度も戦ってきた相手だ。こっちの動きについてはよく知っているだろうよ」

「そんなこと言われると益々、自信がなくなっていくよ」

凛は臆病な声色で下を向いて手元の握っている銃を強く握った

この頃の気弱な凛に対して気持ちが大きく揺さぶられた負ける要因になりかねない。俺は目の前の凛のそんな様子を見ると大きく息を吐いて顔を正面から見ると大きく口を開いた。

「凛、なにビビってるんだ。俺たちは『Re:rights』だ?こんなところで負けるわけないだろ、もっと自信を持って試合に集中していけ」

「ごめん。私負けること考えてた」

凛は大きく息を吸うと目を閉じて心を落ち着かせると目を開いて自身の手に握っていたハンドガンを先程とは違う力強さで握り胸を張って口を開く。

「それで、私は何をすればいいの?」

「そうこないと」

俺は凛のその表情を見て口元を緩ませ笑を浮かべると同時にいつものように言葉を切り出す。

「作戦はこうだ…」


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