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『Re:rights』  作者: 藤崎透
Re:legend
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『Re:rights』VS『AAA』

俺と渉の二人は暗い闇の中を走り抜けて行き相手のフラッグまで約700メートルの場所まで近づくと地面に伏せて光り輝くフラッグの様子を見つめた。

敵の姿はなく森の中を吹き抜ける冷たい風が肌に当たる以外には人の気配も感じられなかった。

「それで一、これからどう動く?」

横に並んで一緒に地面に伏せる渉は俺に小さな声で呟いた。

「まずは俺が囮になってフラッグを取りに行くから渉はそれを狙う相手を撃ってくれ」

「了解、一も気をつけて」

「分かってる」

俺はハンドガンを手にしっかりと握ると辺りに注意しながら立ち上がり一息吐くとゆっくりと身体のバランスを前に倒して夜の森の中を走り抜けていった。

フラッグまでの距離が約500メートルにまで迫った時、視界の右端に一瞬だけ何かを反射するような光が見えたと同時に銃声が鳴り響いた。

「渉!」

俺は叫びながら、そのままフラッグの元へと走り抜けて行くと同じくして先程、銃声がした方からうめき声のような物が聞こえた。

その声は明らかに渉でないところを見ると相手を倒したのだと分かった。

俺はその方に注意を向けながら同時に後方から狙われるよう気にしながらそのままフラッグの方へと向かっていき約200メートルまで迫った時だった。

俺を遮るように目の前の地面から銃弾が数発、放たれる

突然の出来事に気づいたときには避けることは出来ず一発を足に受けてしまい俺は緊急避難的に近くに木の影へと身を隠した。

「クソッ」

自身の体力を見ると銃弾が当たった場所は急所を外してはいるものの体力バーの表示は半分を切っていてもう一発、銃弾を受けると危うい状況だった。

俺は木の陰から相手の姿を取られようと見てみるが、一瞬見ただけで銃弾が飛んできて頭を引っ込めた。

相手との距離は約50メートル、持っている銃は機関銃だろうことは分かった。

俺はそのことを頭に瞼を閉じて深呼吸をして集中すると目を開いて徐ろに地面に手をついて木の陰から飛び出すと驚く相手のことを見ながら右から大きく回り込んで銃弾が飛び交う中を走り抜けると相手との距離を約20メートル程のところまで詰めた。

その時だった、相手の銃弾の応酬がぴたっと止まった

「弾切れかよ!」

慌ててリロードする相手をよそに俺は相手との距離を一気に詰める。

すると相手は玉を詰めるのを諦めて立ち上がるとホルスターに入れていたハンドガンを取り出して俺に銃口を向けたがその時には遅かった

俺は相手が引き金を引く直前に身体の下に入り込むとそのまま俺を狙おうと銃を構えた腕を掴みそのまま背負投げの容量で地面へと叩きつけた

「グッフ」

意表をつかれた相手は地面へと叩きつけられた瞬間苦しそうな声を上げて体勢を整えようとしたが、その隙を与え無いで俺はハンドガンの銃口を頭の上に向けた。

「どうしてお前ら」

俺に言う相手の顔を見てみるとその人物は先に舞台上で観客たちの声援に答えていたあの人物だった。

「何かおかしいことでもあったか?」

俺は相手のその言葉の意味について問いただすように口を開いた。

「今回の大会は俺たちが勝つようになっていたはずだ」

「はぁ?お前何言ってるんだ」

俺は銃を向ける手に力を入れて突きつけた。

「お前らだって言われたんだろ、俺たちを勝たせてくれれば賞金の何割かもらえるって」

この時、この相手が言っていることの意味はわからなかったが考えてみれば簡単な話だ。あの時、準決勝で戦った相手に覚えた違和感というのはこのことだったのだ。

別に優勝しなくて賞金がもらえる、だからあいつらは勝負にこだわることはしなかった。

準優勝、優勝とすれば手に入る合計は80万。そこから八百長に関わったクランに幾らか払っとしても残りの額は少なくはない

つまりこの大会の裏には複数のクランによる、大規模な計画があったのだ。しかし、何も知らされていない俺たちが出現したことで事態は大きく変わった。

それもそのはず、俺たちが優勝してしまえば計画は破綻、それに伴って金は払われず計画をした人間の信用もなくなる。

俺は息を吸って吐くと銃口を向ける相手に言い放った。

「悪いが俺は、お前らみたいな人間が一番嫌いなんだよ」

そう言うと俺は相手のおでこに向けて数発の銃弾を放つと光に包まれて消えた相手を見て俺はその場へと力なく倒れ込んだ。

目の前に表示される優勝の文字を横目に俺は暗闇の森の上空に見える満点の星空を見つめた。

「一、大丈夫か」

「ああ、なんとかな」

俺は寝転がったまま渉と拳を合わせると再び空を見上げた。

「みてみろ、星が綺麗だぞ」

「ホントだな」

俺に言われて渉も同じように空を見上げてみるとそこに瞬く星、俺は小さく呟いた。

「どうせ先生のことだから外ではしゃいでいるんだろうな」

「うん、そうだろうね。南部先生も若葉もきっと喜んでるよ」

「これで本物の星が見れるな」

「そうだね」

俺は不意に笑うと寝転んだまま光に包まれていった。


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