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『Re:rights』  作者: 藤崎透
Re:legend
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『Re:rights』VS『OILE』

作戦は簡単だ、俺たちは『クラン戦』での経験はあるが『フラッグ』での戦闘経験は皆無に等しい。そんな状況、どうすれば俺たちに有利に進められるか、それは簡単だ。

俺たちからは相手のフラッグを取るようなことはしないんだ。

一見するとこの作戦は有効手段には見えないだろう。しかし、考えてみればこのルールの勝敗のつけ方はフラックを取られれば負け、それと相手が殲滅されたほうが負けになる。

だからこの大会参加クランの中での実力は一番と言っても過言ではない俺たち『Re:rights』はフラッグを取りに行かずにわざと自陣に留まり続けることで必然的に戦闘となった時には有利になる確率が高い

だから俺たちはあえてフラッグが目視で確認できる場所に全員が留まり相手を待ち受けて、相手が来れば相手を倒すやり方を実行した。

「鴉野!」

声と同時に響いた銃声で相手の一人がやられるとそれに続いて俺が頭上から渉とやりあっていた敵を二人やり、隠れていたもうひとりを凛がやる。

『勝者 『Re;rights』 』

暗い森のステージに佇む俺らは互いに顔を見合わせてがガッツポーズをすると光に包まれていきゲームから出た。

「すげぇな、龍ケ崎」

筐体から出て見ると南部先生が顎に手をついて会場中央のテレビ画面に映るリプレイ動画を感心したように見つめていた。

「もう準決勝進出か、これは本当に優勝するかもな」

「知らないのにそんな簡単に言わないでくださいよ。準決勝ともなると強い相手と当たる可能性が高いから本当の戦いはこれからですよ」

「へー、そうなのか」

と言いつつ理解していない表情を見せる先生に俺は深い溜息を吐き出してクランの一同を見回した。

他のみんなも俺と同じことを思っているらしくその目は鋭く敵を倒す本能が呼び覚ますような深いため息を吐き出す。

「油断するなよ」

「もちろん」

俺の言葉を返すように皆は大会中央にある舞台の上へと歩み寄っていった。

それと同時に会場の四方に設置されていたステレオからは男にしては甲高い声をしたゲームセンターの店員の声が大音量で流れる。

「それでは、今大会トーナメントを勝ち残った4組を紹介しましょう。まずはこれまでの大会でも優勝経験のあるクラン『OILE』、今回も賞金を稼ぐのか。そしてその次は初登場『FELIP』の登場、全員高校生という若いクラン。そしてその次には今回の最優勝候補である『AAA』これまでこの大会での優勝経験は5回とまさに型破りなクランだ。そして最後のクラン、まさかのあの『Re:rights』が今大会に参戦だ、どうして参加したのかは分からないが今回のダークホースであることは間違いないだろう」

その紹介にそれぞれのクランは壇上へと上がって行きその顔ぶれを見せる。

俺たちもその中に混じり舞台端に場所をとって観客たちの歓声を受ける。

「それでは早速試合に入っていきたいところですが、まずは抽選で戦う相手を決めても来ましょう」

そう言うとマイクを持った店員ははこのようなものを出してくると4つのクランの中心に置いて俺たちに手をいれるように指示をした。

「それじゃあ、箱の中身の紙を一枚とってください」

言われるがまま俺は箱の中のまさぐり紙を取り出した。

そこに書かれていた数字は『1』、おもむろにそれを店員は取り上げると会場中央のテレビ画面の表示されていたトーナメント表の一番左の所に『Re:rights』の文字が表示された。

「それではトーナメントが決まったので早速試合といきましょう。では最初の対決『Re:rights』対『OILE』の両者はこちらの筐体に入って頂きましょう」

そう言われて俺が向いた方向には舞台の中央に置かれた8台の『AFW』の筐体だった。

大会の準決勝といえばこれほど注目されてもおかしくはないが、こうもわざとらしく視線を集められたんじゃどうにもやりづらくて仕方がなかった。

「試合開始まで残り 47秒」

筐体の中へと入り、起動させて目の前の表示される数字を見ながら。俺は瞼を閉じて息を吐き出すと皆のことを見て言葉も交わすことなく頷いた。準決勝ともなるとお互い表情は硬いのはしょうがない

俺はもう一度、深呼吸をするともう一度みつめて小さく呟いた。

「それじゃあ、作戦開始だ」



ステージは外国の立ち並ぶ海沿いのとある街で日が傾き海の中へと沈みかけている最中でその光景に心の奥底にある既視感が呼び覚まされていくようだった。

そんな中で俺は自身の陣地の辺りを見渡してどこに隠れるかを索敵しそれぞれどこに配置するかを指示をした。

鴉野は得意の遠距離からの攻撃がしやすい背の高い教会のような建物の上に、凛と渉はそれぞれフラッグの付近の民家の中でいつでも飛び出せる準備をして待ち受ける。

そして俺はフラッグの目の前に立つことで相手が姿を現すように誘導、更には殲滅をする囮役として空を仰ぎながら敵が来るのを待っていた。

そんな俺らの動きを読んでか暫くして建物上部で全体の動きを把握している鴉野から連絡が入った。

「相手は約800メートル離れた場所で西と東に二手に分かれて建物の屋根伝いに動いているみたいだ。さすがこれまでとは違って手馴れているみたいだな」

「そうか、随時報告してくれ」

そう言って鴉野との連絡を切ると折り返し凛と渉の二人に連絡を入れる。

「敵は二手に分かれてこちらに向かって来ているらしいから注意してくれ」

「ああ、了解」

「こっちも」

俺は頷くとそのままテレビ電話を切って手にしたハンドガンの冷たさを感じながら瞼を閉じると相手の空気を感じ取った。

海風に混じった海の匂いが鼻につくのを感じられ遠くからは波の音とそれに混じってかもめの鳴き声が聞こえた。

しかし、これは仮想空間だ、実際には波の音も海の匂いも全ては現実のものとは違う。だけどここでは俺は自由になれた。

俺が少し笑を浮かべ夢から覚めるように重い瞼を開いた。その時だった、一発の銃声が轟くとそれに伴うように数発の銃声が遠くから聞こえた。

「凛、渉!」

俺はそう叫びながらもすぐに動いていた。

マップを見てみると最初に発砲したのは鴉野だろう。相手の人数を見てみると3人まで減っている所を見ると一人やったんだろうと言うことは分かった。

そしてそれに応戦するように他の『OILE』のメンバーが鴉野に向けて発砲したのだろう。それならば、と俺は民家の壁を蹴って道路を挟んだ民家の窓枠に足をかけるとそこをまた蹴って屋根に手をかけるとそのまま腕に力を入れて素早くよじ登ると発砲音がした方向を見た。

「ビンゴ」

俺が声を上げたところで相手の3人も俺の姿に気づいた。

屋根伝いに目の前には2人が、俺から見て左側の西側には1人が立っている。

その3人が予想だにしないような場所からの狙撃に驚いたことは簡単に予想がついた

俺はそのまま目の前の2人に向かって走り出すとそれに反応したように一人はアサルトライフルを構えて応戦しようと引き金を引く指に力を入れたそのときだった。

「よそ見してたら危ないぜ?」

俺の言葉に不意にその人物は思い出したかのように鴉野のいる方を見た。

その瞬間には遅かった、一瞬でも隙を見せてしまえばやられてしまうのは必然だ

驚きの表情を見せたまま光へと消えていく。

「クソッ」

それを見てもう一人は半ばヤケクソにな状態で俺のことをアサルトライフルを狙うとそのまま引き金を引いた

「甘いな」

俺はその動きに放たれる銃弾を避けるように屋根の上をスライディングして避けるとそのまま相手の元へと近づき足に手をかけて勢いそのまま力を入れて相手のバランスを崩させる。

「今だ!」

俺の言葉に反応したのは鴉野では無くそれまで待機していた凛だった。

凛は隣の屋根から飛び移ってくるとそのまま俺が体勢崩した相手に抵抗させる暇も与えないで銃弾を体に撃ち込んだ。

「後は一人」

だがそっちも既に渉が銃弾を華麗に避けて近づきそのまま引き金を引く

時間にすれば一分もしないうちに俺たちは一挙に4人を倒すことが出来た。

俺は言葉少なく息を吐き出すと目の前に表示された勝利の文字を横目に倒れこむ凛に手を差し伸べた。

「大丈夫か?」

「うん、大丈夫」

そう言って俺の手を握って体を起き上がらせる凛を見て、俺は渉と鴉野にも手を振って無事に作戦が遂行したことを伝えた。


『勝者 『Re;rights』 』


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