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『Re:rights』  作者: 藤崎透
Re:legend
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その日のうちはその話は見送られて夕方ゲームセンターに集まった『Re:rights』のメンバーを見渡して俺は今日の出来事について説明をして凛と鴉野の二人に探し出した賞金が出る大会のチラシを見せて了承を得ようとした。

「それで、8月の初めにあるこの大会に出場しようと思っているんだが。どう思う」

「まぁ、いんじゃねぇのお前らも学生なんだし楽しめばいいさ」

「うん、私も協力するよ」

二人は笑を浮かべながら頷いて俺たち3人のことを見た。

特に鴉野のいう言葉は俺たちがこれまで試合に人生を捧げていたのかを間近で見てきた分、俺らのことを心配していたんだろうと思う。

「それで、その大会っていうのはいくらぐらい出るんだ?」

「ああ、優勝は80万、準優勝は30万って書いてあるな」

「そんなに出るんなら、賞金稼ぎも出るだろうな」

「まぁ、そうだろうな」

俺は口を閉ざし瞼を瞑った。

賞金稼ぎの話は特別『AFW』に限った話ではない、昔から賞金が出るものにはその賞金目当てに現れる人間がいるのも当然だろう。

しかし、『AFW』に通じる人間にとって賞金稼ぎの意味は普通とは少し違っていた。

普通、賞金稼ぎの意味は多くの大会に出場しいい成績を収めて多くの賞金を獲得するという意味合いだ

それに代わって『AFW』のプレイヤーがいう賞金稼ぎというのは、賞金を稼ぐためにルール違反にならない程度の姑息な手を使うプレイヤーのことを指していた。

多分、俺たちが出るとなると何かしらの手を出してくるのは、ほぼ確実だろうと俺を含めた皆は考えていた。

「それに、賞金が出る大会ってことはルールはフラッグなんだろ?」

「ああ、それについても何か手を打たなければいけないな」

賞金が出る大会の多くは俺たちがいつもやるようなクラン戦ではなく『AFW』内にあるルールの一つ『フラッグ』によって行われていた。

『フラッグ』はその名のとおり、簡単に言えば旗取りだ。クラン戦のように敵を殲滅して勝敗がつくのではなく自身のフラッグを守りつつ相手のフラッグを取るという簡単に言えば相手を倒さなくても勝敗がつくものだった。

「でも、まぁ頑張るしか無いだろう高校生のお前らの頼みだもんな」

「ああ、ありがたい。それに凛もな」

「いいよ別に、この前の修学旅行の時だって大会があったのに無理に日程を変えてくれてじゃん。龍ケ崎先輩たちにはいつもお世話になってますし」

二人の言葉に俺と若葉と渉は顔を見合わせて頭を下げた。

自分たちのわがままに付き合って貰うほど暇では無いことは重々に承知だ、現に8月の終わりには世界大会の予選が始まる。

「そこで、なんだが次に違う話をしてもいいか」

「ああ、なんだ?」

「『AFW』世界大会についてだが、矢薙のことだから出場の申請をしてきたんだろう?」

「うん、もう申し込んできたよ」

渉はその証拠にと自身のホログラムを開いて参加申し込みが完了をしたことを知らせるメールが届いたのを俺たちに見せた。

そこにはクラン名『Re:rights』の文字がメールの中央に大きく載っていた。

「それでだ、俺たちはまず関東の中で2組に残らなきゃいけないわけだが」

「そのうちのひとつは『J.Q.L』が取ってくるだろうな」

まずは日本全国を8つ、いわいる北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州に分けた中でそれぞれ2つのクランを選出。その中からさらにトーナメントを制し日本代表として2組の中に残らなければいけないのだ。

「その中になんとしても入るのが最初の目標になるだろうな。でも、取り敢えずトーナメントの発表は8月の初めに発表されるからその時にはまた作戦を考えよう」

そう言って俺は席から立ち上がるとメンバーをもう一度見渡して宣言した。

「俺は『Re:rights』で良かったと思ってる。だからこのメンバーで世界に行こう」

4人は顔をお互いの顔を見ると静かに首を縦に振った。

「もちろん、俺たちは負けるつもりはないさ」

「うん、私だって先輩たちと一緒に戦えて良かったと思ってる」

「僕だってそう思ってるさ、それに出るからには優勝するしかないでしょ」

「私も、試合には出ないけどみんなのこと見守ってるから」

俺はそれぞれの顔を見てそして世界と戦う意思を確認した。

しかし、その日が来るのはまだ遠い話だ。


8月も初旬、俺たちは都内にあるとあるゲームセンターの中へと歩みを進めるとそこには多くのクランが集まっていた。

「おお、すごいな。大会ってこんなに人が居るのか」

「そうですね。今回の大会は中規模なんでこのくらいの人数はいますね…って、なんで南部先生が来ているんですか」

「まぁまぁ、教え子が普段何をやっているのかを見に来ただけだよ」

俺たち『Re;rights』のメンバーの中に混じって先生は大会の会場にやってきていた。

誰にも誘われたわけでもないのに自主的に来るほど暇なのかと言いたかったがそんなことを言えばまた何をやらされるかわかったものではない

「はじまして、私、龍ケ崎先輩たちと同じ中学校に通っていて、今でも同じクランに所属している碓氷凛といいます」

「ああ、こっちこそ。俺の提案でなんか色々巻き込んでしまってごめんね」

「そして俺が、鴉野って言います。龍ケ崎たちとの出会いは昔は敵同士だったんですけど、俺のクランが解散になるので入れてもらったんですよ」

「そんな事があったんだな」

そんな会話を俺の横で繰り広げている間にも渉と若葉の二人で参加の申し込み手続きを終えて人ごみの中をかき分けるように手を上げて俺たちを呼び寄せる動作をした。

「一、凛、鴉野さん、ああ…っとあと先生も次が俺たちの順番だからこっちに来てください」

「ああ、了解だ」

俺はそう言いつつ歩き出すと先生の横について口を潜めて言った。

「先生、来るのはいいっていうかもう来てるからあれですけど。邪魔だけはしないでくださいよ」

「わかってるよ、俺は試合を見守っているだけだから。任せろ」

そう言って渉たちのもとへと近寄っていった俺らは名前が書かれた席へと座ると早速筐体の中へと入ると相手『R*TH』の名前を確認してその場所を押し、試合が開始されるカウントダウンの数字が動き出すと同時に瞼を閉じ深呼吸をし終えるとメンバーの顔を見渡して静かに口を開いた。

「みんな準備はいいか?」

「ああ、俺は大丈夫だ」

「僕も」

「いつでも行けるよ」

メンバーの顔を見渡して俺は小さく頷くと手にした銃の感触を確認しながら口を開いた。

「それじゃあ、作戦開始だ」


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