『Re:rights』VS『crisis』
俺の言葉に驚いたのは楠野達だけでは無く鴉野を覗いた『Re:rights』のメンバー達もだった。
「龍ケ崎先輩そんな唐突に解散だなんて事をして大丈夫ですか」
心配する凛、もとい他のメンバーの視線に俺は笑を浮かべて返した。
「なんだ、負ける気なんてサラサラ無いだろう。勝てばいいんだよ」
俺はそういうとそのまま前へと首を動かし楠野に尋ねる。
「それで、どうするんだ。俺達の話に乗るのか乗らないのか」
「『Re:rights』と対決できるなんて、ぜひやりましょう」
「ふん、それじゃあ早速やろうじゃねぇか」
互いに不敵な笑みを浮かべながら、並べて置かれた『GSO』の筐体へと座ろうとしたその時だった。
「痛って」
鴉野が何もない場所で派手に転びその場にいた一同はそれにつられるようにその場を見る。
「なにやってるんだよ」
「いやいや、すまんな」
そう言って鴉野は埃を振り払うように服を何度か叩くと笑を浮かべ俺のことを一瞬だけ見るとそのまま筐体の中へと入っていった。
ルールはいつものクラン戦、「4VS4」の対決だ。待機部屋に全員が集まり円を作って立つ俺は小さく言葉を呟いた。
「いいな、作戦通り動くぞ」
「分かった、一」
「了解だ」
「うん、大丈夫」
これから始まる試合にそれぞれが心を落ち着かせる。
それを見て俺も瞼を閉じて深呼吸をする、昔からこの方法が一番に落ち着いた。試合のイメージをして自分を信じると手にした銃を固く握りしめ俺は瞼を開けて一同を見た。
「よしじゃあ『Re:rights』作戦開始だ」
『GAME』 『Re:rights』VS『crisis』 『クラン戦』 スタート
試合が開始されると同時に俺らは固まって動き始めた。
普段は『AFW』をやっているため『GSO』のマップの地理が曖昧な上、相手がいつ不正行為をしてくるか分からない以上バラバラに動くのは危険だと思ったからだ。
ゴツゴツとした岩場が高い空高くまで伸びている。ステージは乾燥した渓谷を模したステージで迷路のように道が入り組んでおり下手すれば自分たちがどこにいるのか分からなくなりそうだった。
そんな中で俺たちは敵にいつ出会うかも分からない状況に神経を尖らせる。風が強く生暖かい風を体に感じながら俺らは道なりに進んで行った時だった。
「前方800メートル!」
鴉野は俺らに聞こえるか聞こえないか小さいな声で言葉を呟く
その言葉に俺らは目の前に視線を向けるとそこにはスナイパーライフルで狙う一人の人影が小さく見えた。
「スタート!」
俺の言葉にメンバーの一同は一斉に動き出す。この掛け声は言わば作戦を始める前の合言葉だ。
飛び出した渉と凛の二人はそのまま敵の方へと向かっていく、と同時に俺はそれを追いかけながら前を行く渉と凛には当たらないように注意しながら相手に攻撃させないように牽制攻撃をする。そして鴉野は敵を見つけたその場に伏せるような格好になるとスナイパーライフルを構えスコープを覗き込む。
こうすることで不意打ちをされてもカバーできる。
案の定、俺らが初めに見つけた敵との距離を数メートルの場所まで近づいてきた時に頭上の絶壁からもう一人が飛び降りながら走る俺たちに銃を突きつけてきた。
「渉!」
俺の言葉と同じくして渉は渓谷のデコボコとした壁に足をかけるとそのまま数歩壁を伝うように登ると土煙上げて勢いよく蹴り上げて銃を構える相手に向かっていった。
「なんだと」
突拍子もない行動に驚きの声を上げたのが聞こえると同じくして手にした銃を発砲する。
その銃弾を渉は空中で体を捻り避けるとそのまま敵との距離を詰めるとそのままゼロ距離から銃弾を数発放った。
「一人…」
俺が呟く間、下では凛が俺の威嚇射撃に物陰に隠れていた敵の元までやってくると角にいた敵に銃弾を向けた。
「見つけた」
凛の姿に怯えた声を出した相手はいきなりアサルトライフルを向けると見境なく引きがねを引いて銃弾をばら撒く
その銃弾を華麗に避ける凛についていけない相手の姿に俺は笑を浮かべた。
「遅い」
凛を狙うことしか考えていなかったせいで後ろから迫る俺のことを完全に忘れているのを俺は見逃すわけもなくそのまま背中へと銃口を向けると数発を心臓に放ち相手は光に包まれて消えていった。
「ふぅ…渉も凛も大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
「ちょっと危なかったけどね」
休まる気配もなく俺らは銃を構え直して攻撃を警戒する。
「取り敢えず2人やったが、まだ油断はできないな」
その言葉の意味するものはそれ以上に深かった。
相手が不正行為をするのならば自分たちが不利になった時、つまり人数が減り不利になった今の可能性が高い。
俺は大きく深呼吸をするとマップに目を凝らして敵がどこに居るのかを探る。
もし俺ならばどこにいるだろうか、相手も俺たちに普通に勝てるとは思ってはいないだろう
だから楠野は安全な場所に隠れているだろうと思った。
「よしここだ」
俺が予想した場所はマップ中央にある大きな広場のような場所だった。
「龍ケ崎、何か見つけたのか」
「ああ、これからこの場所に行くぞ」
俺はマップを閉じると足早に一歩を踏み出した。




