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『Re:rights』  作者: 藤崎透
Re:memory
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『龍ケ崎VS『凛』


試合が行われるステージはどこかヨーロッパ系の建物が立ち並んでいるような場所だった。周りを見渡せばその光景がどこまでも広がっているように見えるが、しかしルールが1VS1なのでその光景の大概の場所にはいけない仕様になっている。

それにこのルールは場所が狭いだけでは無く、正々堂々と勝負をすることを前提として作られているためクラン戦とは違い最初から敵と向かい合うような立ち位置で始まるのが特徴的だった。

「それで、特にルールはないのか。なんならハンデをつけてやっても良いけど」

「そんな必要ありませんって、正々堂々行きましょう先輩」

「試合となった以上、俺もそのつもりさ」

そう言って銃を片手に握り俺に向ける凛に俺も右手に握っていたハンドガンを握り返した。

しかし、その言葉を交わした俺と凛は見合った状態のままで1分ほどの間間合いを取るように動かなかった。

それが意味するもの、試合となると息の音さえも命取りに成りかねない緊張感に俺も凛も攻撃のタイミングを間違えてしまわないように神経を集中させていた。

天候があまりよくない設定だからなのか風の音が耳元を切るようにして吹き荒れる。それに伴うようにして肌寒さを感じた。

「行くぞ」

俺は小さく呟きながら一歩を踏み出すとそのまま力いっぱいに駆け出し目の前の凛の元へと少し斜めから攻め込む。

瞬間、俺の動きに反応するように凛も俺の動きに合わせて銃口を向けると引き金を引いて銃弾を何発か放った

その軌道を見て俺はその銃弾を避け凛との距離を詰めたところで俺は立ち止まると手にしていたハンドガンを向けると同じように俺にも銃弾を向けた凛。その姿に俺は笑うとわざと聞こえるような声で呟いた。

「俺に撃ってきた銃弾は7発、だけどお前が握っているハンドガン『DG―56』は装弾数は7発、お前の銃に弾はねぇはずだ」

「えッ?そんなはずは」

俺の問いに驚き急いで視線を逸らして自分の目の前に写っている銃の情報を確認する姿に俺は二ヤッと笑うとその隙を突くように冷静に手にしたハンドガンの引き金を連続して引いた。

俺は撃ちながら急所である頭を狙いながら凛との距離を詰め続けて銃弾を放った。

普通に考えると、約20メートルも離れていない場所から撃たれた銃弾を体を逸らした状態から瞬間的に避けるのは無理なことだ

俺はその瞬間にあっさり試合が決まったと思ったのだが、この時になって俺は凛は一筋縄ではいかないと悟った。

凛はその体を逸らした状態からそのまま後ろに背中から地面へと倒れこむようにして銃弾を避けると手を付くと、そのまま足を曲げ前に飛び起きるようにして起き上がった。と俺がそれを見てさらに放った銃弾を避けるために近くの家へと勢いよく走り出すとカンフー映画さながらの動きで家の壁を蹴り上げ後転して避けた。そしてついには俺のハンドガンの装填数である8発全ての弾を避けてしまったのだ。

「すげぇ、身軽だな…」

まるでサーカスを見ているような光景に試合中だというのに俺はつい感動してしまった。

これまで見てきた、どの人間も凛の様にで軟体に動き回る者は渉くらいしか俺は知らなかったが、もしかするとその渉以上に身軽なのかもしれないと思った。

「先輩、実際は6発しか撃ってないのに私によそ見させるためにわざと弾切れって言いましたよね」

「まぁ、そういう作戦だしな」

「なんか腹立つ…」

明らかに不満な表情を見せた凛は新しい銃を握ると俺に向けた。

その様子に俺も深呼吸を一回すると握った銃を傾けリロードし、次にどう動こうかと考えを練る。

今しがたの反応を見る限り凛の動きは渉と同じで動きが読めない

しかも、近距離からの攻撃を避けるだけの身体能力も瞬発力も兼ね備えているとなると先程のような普通の攻撃パターンでは凛には通用しないんだろう。

しかし、1VS1の戦い故に使えるのは自分のみ、攻撃パターンはかなり少ないが、ないわけでは無い。

「これはどうだ」

俺は銃をもう一丁を出すとそれを左手に握った。

試合で両手に銃を使うのはそんなに無いことだった。二丁拳銃をするのは想像以上に集中力を使うもので周りに気が回らなくなってしまうためだから。そのため、このように相手が一人とかの場合でしか二丁拳銃は使えなかったが。

「先輩、そんなこと出来たんですか」

その珍しさからか、凛から驚きの声が漏れる。

「行くぞ」

俺は的当てと同じように最初は両方の銃を構えて凛に向けて撃ち始めた。

「クッ…」

凛はどこか苦しそう声を漏らすとその場で華麗に避けながら俺との距離を取るように反対方向へと駆け出したのを見て俺もその姿を追いかけて行く。

細い路地に曲がったと思えば大きな通りに出て飛んだり跳ねたりして避ける。

俺はそれを追いかけながら銃弾の波を切らすことなく的当てのときと同じように片方の銃弾を2発残しもう片方はリロードして攻撃の手を緩めることはない

しかし、その状況が一片したのは街路樹が並ぶ大きな通りに出てきた時だった。

銃の引き金を引いた瞬間に違和感を感じた。

「あれ?」

気づいた時には遅かった。俺は凛を狙うことに夢中になりすぎたせいで片方の銃を弾切れにしてしまっていたのだ

こうなれば、新しい銃を再び取り出さなければいけないのだが、そんな暇がないことは明らかだった。

戸惑っている俺の隙を見逃さなかった凛は避けるためにジャンプしたその間に体を捻って後ろを振り向くと俺へと銃を向けてそのまま発砲する。

俺は走りにながら地面をすべるよう銃弾の下をくぐり向けるようにして避けるとすぐに上半身を起こし、残弾が切れた片方の銃を捨て、リロードの為に2発だけ残こしておいたもう片方の銃を構えて凛に向けて一発だけ撃った。

その攻撃はさすがの凛にも空中ということもあって避けることは出来ずに太ももに被弾した。

それに対して少し悔しそうな表情を見せながら俺と向き合うように地面に着地するとその状態のまま再び俺に銃口を向けると発砲する。

その攻撃に俺は再び走り出し、そして先程、凛が民家の壁を蹴り上げたのと同じように俺も壁を思いっきり蹴り上げる、と同時に体を少し捻らせると逆さになり驚きの表情で見上げる凛の顔に向けて銃口を向けた。

「これでおしまいだ」

俺は残り一発の銃の引き金を引くと、大きな銃声と共にその銃弾は見事に凛の頭を捉え光に包まれる凛を横目に俺はそのまま着地に失敗して地面の上を転がった。


勢いよく転がった俺はそのまま地面を数十メートル吹っ飛んだ。もしこのゲームに痛覚が備わっていたら、俺は傷だらけだっただろう。

いや、そもそも銃弾で打たれている時点で命の危険が危ういだろうが。とかそんな事を考えていると目の前にはなんだか豪勢な音楽と共に試合が終わったのを知らせが視界の真ん中に表示された。

「疲れた…」

二丁のハンドガンを使い精神的疲れが普段の試合よりも露見すると深い溜息を吐き出すとアイコンをタッチして試合を終了させた。


『試合終了』 『勝利プレイヤー 龍ケ崎』


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