表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『Re:rights』  作者: 藤崎透
Re:memory
69/139

『Re:rights』VS『MOST』

試合が開始されるまで残り時間が30秒と迫った所で俺と渉は待機部屋で顔を見合わせて昨日話した作戦の最終確認を行う。

「よし、作戦は大丈夫だな」

その言葉に渉は小さく頷いた。こういう時に普段より大人しいのは試合に集中する為もあるがそれ以上に久しぶりのこうした強い相手との試合に浮かれ上がって言葉を出すのさえもったいないと思っていたのだろう。

「16、15、14、13…」

ゼロに近づく数字を見て俺の鼓動はうるさく聞こえてくる。それを抑えるように目を閉じて大きく深呼吸をした。

「5、4、3、2」

過ぎていく時間に俺は渉に呟いた。

「作戦開始だ」


『GAME START』 『Re:rihts』VS『MOST』


試合開始を告げる鐘の音が耳元で響き渡ると同時に目の前に広がったのは森林を模したステージだった。といっても本当の森林のように足の踏み場もないといった感じではなくそこはきちんとゲームらしさを出して対戦しやすい中範囲のステージになっていた。

初期の『AFW』はステージに移動した後目を開けると暗闇から急に光を見た時と同じ様になるのがあった為、光に慣れるまではしばらく立っていなければいけないシステム、そんなこんなで目が慣れ動けるようになった所で俺はもう一度大きく息を吸った。

手にした冷たい感触の銃を握るとどこぞにいるかも知れない敵に注意をする様に息を潜めて俺と渉は無言のまま頷く二人とも動き出す。


試合が最初に動いたのは開始から15分ほどたった時だった。

物陰に身を隠した状態の敵が一人が前の雑木林を通過するのが微かに見えた。

しかし、敵が見えたからといってすぐに動くわけではない。数的不利な状況で一人の相手を見つけたところで他の人間がそれを待ち伏せているかも知れない


そこで俺は渉にアイコンタクトでタイミングを合わせると攻撃を開始した。

「くッ」

その声と同時に相手は反応があった草むらに向けて握っていたハンドガンを発砲した。

森林の中に響き渡った銃声についで俺は草むらの中から素早く銃口を相手の頭に狙いを定めマップに表示され後ろを振り向く前に銃を放った。

その銃弾は的確に頭を捉え、相手はそのまま光と共に消えていく。

そしてそれを追随する様にどこからともなくマップには俺を狙うマーカーが点灯した、と同時に俺は叫んだ。

「渉!」

その声と同時に頭上から物音がしたと思うと人の争うような声に続いて何発かの発砲音が聞こえる。マップ近くの相手と自分のチームの人数は2-2と表示されているのを確認して俺は小さく安堵すると共に息を殺して他に敵の気配を察知する。

「どうやら、相手は2-2で分かれて行動していたみたいだな」

しばらく経っても敵の追随が無いことで鴉野を含む『MOST』の他の2人とは別行動していた事が分かる。

しかし、こんなんにもあっさり敵を倒すことができたとは自分でも思えなかった。

作戦はタネを明かせば至極簡単なものなのだ。最初、俺は草むらに隠れ渉は背の高い木の上で待ち伏せをしていた。

しかし、ただ単に待ち伏せをした所で相手には見破られてしまうのがオチだろう。だから俺たちはある仕掛けを付け足した。


それはというと、俺が隠れている草むらの反対の草むらにハンドガンを体の高さほどの角度に立てかけたのだ。そうすることで相手がこの草むらを通った時、マップには銃口を向けられたと表示される。

するとすかさず、その地点をマップで確認し有無を言わさずに銃を放つだろうと狙っていた。だからあの時、俺のいる場所とは正反対の場所に銃を放つ相手に俺は余裕を持って銃を構えて撃つことが出来た。

しかし、作戦はそれだけじゃない。クラン戦となると基本的に1人で行動するということは有り得ない。つまり一人を倒した所で他にも敵がいるのだ

それをどうにかしなければ、例え囮の銃を使い一人を倒せたところでカバー役にやられてしまい作戦は破綻したも同然となるのだ。

カバー役の人間はひとりを銃で倒したこと位置が分かった俺のことを狙ってくるであろう事は簡単に予想できた、だから俺はあえて狙われるように場所の草むらに隠れ渉は木の上で待機をしていた。

そうして予想通り俺のことを狙ってきたカバー役の人間に対して渉に対して位置の情報を連絡した。そうすることで木の上からカバー役を奇襲することに成功したのだ。

「だけどまだ、試合は終わっていない」

一気に2人を倒せたことは確かに上出来だが、しかしこれで舞い上がって意識を途切れさせてしまえば試合にとって命取りとなる。

俺たちは静かに息を潜めて次の行動に移り始める。

この時の俺の考えでは先程の二人がそうだったように長距離武器を得意とする鴉野はカバー役をやりもう一人は突っ込み役をやるのだと思った。

しかし、鴉野レベルの相手に一度やった手をもう一度使う事はできない。


だから、俺はもうひとつの秘策を考えていた

数的不利がなくなったけれど同レベルとは言えない状況を引っくり返すにはどうすればいいか。答えは決まっている、その状況を逆転させることをすれば良い。そうすれば俺たちに勝機が見える。

「それじゃあ、次の作戦に移るぞ」

「ああ、了解」

そう言って俺たち二人は顔を見合わせると小さな声で呟いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ