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「こんな風に『Re:rights』は最初、学校で行われていたランキングを無くすために渉と若葉が作ったんだ。そして俺らは小学校を卒業するまでの間、ランキング1位を保持すると共に裏の徐々にランキングシステムを解散させていった。そこで本来の目的は終わったはずだったんだが。俺たちは戦うことに飽き足らずに街の大会に出たりしていったんだ。そこで思い知ったよ、学校のランキングで例え1位だろうと身近には俺たちよりもっと強い人間がいることに。だけどそれが逆に俺らをやる気にさせた訳だ。そんなこんなで中学生になる頃には『Re:rights』の目的は大会に出場へと変わっていったんだ」
風が吹き荒れるビルの上、ここは仮想空間の中だ。
しかし、俺たちにとっては仮想の銃であったとしても内海にとっては致命傷になるのだが本人は突きつけられても動じることは無く見つめる視線をも動かすことは無い、しかもその不気味さを増すように口元は面白そうに微笑みを持っている。
「『Re:rights』正義を取り戻す。名前にそんな理由があったとは思いませんでしたよ」
「まぁな、ゲームの中でのチーム名なんてほとんどかっこいい響きで選んだりと何かしらの頭文字を取ったり動物の名前だったりそんなもんだから俺らみたいにきちんと目的と意味があって出来た名前なんてそんな無いだろうしな」
実際、俺が出会ったチーム名のほとんどはそんなもんだった。
「でも、龍ヶ崎さんがゲームを始めた頃と言えばゲームの世界はすでに仮想空間へと変わっていった頃じゃないですか?」
「ああ、俺たちが小学生を卒業するあたりになって渉も言っていたようにゲームの質が変わっていった。お前もよく知っているようにAFWが発売された事でMMOゲームは新たなる道へと入っていったんだ」
「俗に言うセカンドティーン世代が生まれたわけですね」
「ああ、そうだ」
正確に言えば2038年に発売されたAFWでは完全なる仮想空間を使う初めてのゲームは爆発的な売上を記録し世界中で大会が開催されるのだが、それはもう少し後の話だ。
「仮想空間ゲームが生まれたことで変わったのが、武器はこれまで扱いづらいとされてきた銃が格段に扱いやすくなったことにより刀よりも銃により戦いがメインになっていくと共にフィールドの大規模化によりこれまでチームと呼ばれていた2対2の対戦からクランと呼ばれる4対4の対戦に大会のシステムも移り変わっていった」
龍ケ崎は昔を懐かしむようにそう言うと、空を仰いぎながら目の前の人物に語りかけた。
「そこで俺たちには問題が起きた。というのも『Re;rights』は結成時点で3人、しかも一人は戦えない、となると人員が2人も足りないという事になったんだがそれで中学生に入ったすぐに俺らは仲間を集めることにした。そこで出会ったのが鴉野と凛だ」
俺は目を閉じると再び大きく溜息を吐き出しゆっくりと話し始めた。
中学生に入って俺らはすぐにクランに入る人物を探し出したのだが、これが中々見つからなかった。
というのも俺たちは大会には出てはいるが2人という数的不利もあってか目立った勝利があるわけでもない俺たちは別に名が知られているわけでは無かった。それゆえどこに話しかけても門前払いといった風に扱われる。それにクランは基本的に固定されたメンバーで結成されているので解散でもしない限り話さえ聞いてもらえなかった。
「これじゃあ、いつまで経ってもクランとして『AFW』の大会に出ることもできないな」
「でも2人きりでも大会には出れるんだよね?」
昼下がり、中学生になった俺たちは同じ中学に入って早くも半年余りの時間が過ぎようとしていたのを教室の窓辺から入る日差しの角度で感じた。
ちなみに俺と若葉は教室が同じで渉だけが違う事を渉は気にしていたのを覚えている。
「まぁ、確かに出れることは出れるんだが2人で4人を相手にするには流石に限界があるしな。このまま2人でやるのはやっぱり無理があるんだ。最悪の場合は若葉にも参加してもらうしかないかな」
「ええ...私、試合なんかしたことないし無理だよ!」
「そんなこと言われなくたって分かってる、だから本当に最悪の場合だ」
でも実際問題、その当時から対戦形式がゲームの世界では代わり始めて人員が不足していると出ることさえ出来ない大会も増えていてクランの存続さえ危うい状況だった。
俺は何か策はないかと思いながら窓の外を見つめて考えていたその時だった、昼休みの閑散とも言えないまでの独特な静けさを切り裂くようにスライドするドアを強打させる音が響いた。
その行動にクラスメイトの視線を集めるがそこにいる人影に気づくと呆れて再び独特な静けさが戻る。
「一に若葉、決まったよ」
走ってきたのか息を切らしながら俺と若葉のもとへ来たのは渉だった。
中学に入る前から伸びた身長で今や俺と同じくらいまでには背があり、出会った時からの日焼けした肌は剣道部に入ったためか薄まり活発なイメージから少し離れたように思えるが剣道部では一年生ながらその才能で剣を振るっているらしかった。
そんな渉はクラスが違うため昼休みになるとこうして教室のドアを強打してクラスメイトの注目を集めながら俺たちのもとへと来るのだ。
最初は俺たちまで目立ってしまうことに憤りを覚えたのだが半年もすればクラスメイトの方が慣れてしまい、逆に気にしている俺の方が変な人なってしまった折、触れることはなかったのだが。しかし、その時ばかりはつい渉の言葉に反応してしまった。
「もしかして誰か決まったのか?」
「あぁ...いや人じゃなくて対戦が決まったんだ」
「はぁ?なんで対戦?」
人員不足で悩んでいる時に戦ったところで何も解決しないはずだろうに、俺は首をかしげて目の前の渉が何を考えているのかを読み取ろうとした。
「まぁ、そう言うなよ。相手はあの『MOST』なんだから、こんなの受けないわけにはいかないだろ?」
「はぁ?、なんでよりにもよって『MOST』が俺たちと戦うんだよ」
「それが、なんか知らないんだけど相手の一人が俺らのことを知ってたみたいでさ。実際に戦ってみたいって今日連絡が来たんだよ」
「なんだそれ...」
そう言いつつも俺は内心では対戦できることに興奮していた。
『MOST』と言えば当時のゲームの世界では中堅どころに位置し知っている人間には知っているといった風な少しマニアックなクランとして俺は知っていたくらいだがその中でも目立つ存在なのが何を隠そう当時『MOST』のリーダーであった鴉野だった。




