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『Re:rights』  作者: 藤崎透
Re:memory
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『Re:rights』VS『OCT』

案の定、俺たちの攻撃を受け止めた片桐と立花の二人はその重い一撃にバランスを崩すと後ろへ足を出して踏ん張って攻撃に耐える。

が、俺たちは最初の一撃だけに甘んじるわけは無い。勝負の攻撃において一番大事なのは次の次まで的確な攻撃を繰り広げられるか、敵に対して反撃の攻撃を隙を作らせない事だ。

刀と刀が擦れて俺はそのまま地面へと着地するとすぐに片桐の腹部を狙うように刀を振り払う。それに反応するように片桐は後ろに数歩下がりながら俺の刀を受け止める。

さすがの反応の速さ、しかし、その反応の速さを俺は予想していた。


俺は刀を受け止めたのを見ると咄嗟に刀から力を抜き体を大きく回転させると隣で渉が同じように戦っていた立花へと相手を変えて刀を突き刺すように攻撃を加えると同じように俺の攻撃と交わるように渉も標的を立花から片桐へと変えて攻撃する。

突然の不意討ちはさすがの1位の『OCT』にも効いたようでギリギリの所で俺たちの攻撃を刀で受け止めるのに余裕がなかった。

予期していなかった攻撃にさすがの二人も受け止めることが精一杯でそれ以上攻撃をすることはなく後ろに下がって体勢を整えようと距離をとる。

「クソッ」

相手の実力を考えれば確かにあの程度の攻撃で一度に倒せるとは俄かには思わなかったが、あの攻撃で仕留めきれなかったのが悔しかった。

そして何より今の不意打ち攻撃を相手に見せてしまった今、次の攻撃では今のような不意打ち攻撃は相手に見極められて反撃をされるだけ、他の手を打たなければいけなくなった。

「驚いたよ、まさかそんな攻撃を仕掛けてくるなんてね」

不意に片桐は刀を構え直して目の前に対峙する俺らに声をかけてくる。

その言葉はその通り驚きを表してもいると同時に次は同じ攻撃は通じない事を意味していた。

「そっちこそ、まさかあの攻撃に反応できるとはね」

「そんなに甘く見られちゃ困るな、俺たちは一位なんだからさ」

「それも、この試合で最後かもしれないけどな」

そう言われても表情を崩さずに俺のことを一点に見つめ不気味に笑うだけだった。

嵐の前の静けさというわけなのか、それから一言も喋ることはなく、俺たちもこれまでとは明らかに違う雰囲気から攻撃をせずにしばらくの間がたった。

しかし、その沈黙を遮ったのは意外にも片桐の方だった。

「次は本気で行くよ」

小さく呟いたその言葉が聞こえた瞬間、片桐と立花の両者は俺たちに向かってくるように走り出して来る。

格段に速いというわけではないが、しかし普通に考えれば速い速度に俺たちはすぐさま攻撃を受け流そうと足に力を入れて刀を構えた直後、正面からくる片桐は俺の体を狙うように刀を振りかざす。


その攻撃を俺は受け止めようと自分の刀を相手の刀に合わせたその瞬間だった。片桐は上から下へと振り下ろした刀を俺の刀と交わる直前になって軌道を刃を掠めるようにわざとずらすと手首を器用に動かして刃の向きを反転させる、下から上へと振り上げるように攻撃を繰り出す。

そのとき悟った。最初の攻撃は俺にあの防御の形にさせる為のフェイント。しかし、それに気づいたときには遅かった。本当の攻撃が来た時には刀で防ぐことも出来ない。

すばやく状況を判断した上でそれを実現する身のこなし、下から迫りくる刃

「クソッ」

構えた刀で攻撃を防ぐことは不可能、それに体を捻っても的確に隙をついた片桐の攻撃を避けることは出来ない。

俺は目を閉じてやられるのを覚悟したその時だった。

金属が激しく擦れる音が耳元で響き渡り目を開ける。

「渉!」

そこには思いもしなかった光景が広がっていた、俺の横で一緒に戦って居たはずの渉が俺に迫る刀をギリギリの所で防いでいた。

必死に腕を伸ばして俺の体に迫っている刀を受け止め火花を散らす刃

思いもよらないもうひとりの存在に驚いたのは俺よりも片桐の方だった。

仕留めたと思った相手が別のものの手で阻まれたことに対する悔しさも混じりその表情は初めに出会ってから一番に複雑な面持ちを見せていた。

しかし、渉のこの行動は少し考えてみればどれだけ無謀なものなのかが分かる。それもそのはずだ、戦いの間によそ見をするような真似は自殺行為も同然

一瞬でも隙を見せるようなことがあれば相手にやられるのは必須

俺が渉の名前を叫んだのは驚いただけじゃない、後ろから迫り来る立花の姿に警告を発していたからだ。

俺を狙った片桐の刀を防いだ渉、その隙を狙い刀を振り上げる立花

敵味方を交えた混沌とした状況に俺はそのまま目の前で立場が振り下ろした刀の軌道を見ることしかできなかった。


やられた瞬間の渉は悔しさを隠すわけでもなく、一言も発するだけでもなくその時の渉は何を思っていたのか、自分がやられるというのにそれでも笑っていた。

そんな渉に俺は自分の仲間が目の前でやられるという絶望感を感じた。

相手は予想外もしていなかったことに強硬に攻撃をすることはやめて一旦引いて俺の様子を伺うように刀を持ち直して牽制する。


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