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『Re:rights』  作者: 藤崎透
Re:memory
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『Re:rights』VS『OCT』

片桐は寄りかかるのをやめると俺たちの方へと静かに近づいてくると何の躊躇もなしにフィールドの中へと入って来て『LOST』の二人を気に留めることもなく俺たちの元とやってきた。

「バツが悪い勝利ではあったけど、勝利は勝利だおめでとう」

「ふん、そんな見え見えの嘘はいい。対戦の日程を伝えに来たんだろう」

「本当に冷たいね君は、いやまぁ間違ってはないけどね。それじゃあ君の望み通り対戦の日程を伝えたいんだけどね趣向を凝らしてこれまでは違った形で決めようと思うんだ」

「変えるってなにかするのかよ」

「いやいや、そんな堅苦しいものじゃないさ本当。ただね、僕たちの試合は君たちが日にちを決めて良いってことさ」

「俺たちが?なんで急にそんな」

「理由は簡単さ、僕たちはもうこれまでの間に準備は出来ているからね、もしその気なら今からでも君たちと勝負してもいいよ」

その言葉に俺と渉は顔を見合わせる。

明らかに挑発的なその態度に俺と渉の中での答えは決まっていた。

「そっちがその気ならこっちだって受けてたつさ」

俺たちの言葉に挑発してきた本人である片桐にも少し意外だったのか一瞬だけ驚きの表情を見せたがすぐに表情を戻すといつものような不気味な笑を浮かべて後ろへと振り返り先程までフェンスに寄りかかっていた方を向くと腕をあげて人を呼び寄せるように手招きをする。

すると、それに反応するようにフェンスの影から現れたのはひとりの人間だった。

見覚えのないその人の姿は片桐もとへと徐々に近づいてくると全体の像が見えてきた。

その人間は全体的に黒色のTシャツにジーパンを履いているせいか、もうすぐ暗くなる陽の中に擬態するかのようで不気味さを放つ。

それに顔を隠すように長い髪の毛の下には鋭く光る目、近づいて来るたびに俺たちの事を睨み見るような視線を一切外すことはなく近づいてきた。


そうしてその人物は片桐の横へ俺らと対峙するように立つと片桐方へと向いてしばらくの間お互いは顔を見合わせた状態で何かを確認するかのように無言のまま見つめ合ったままでいた。

並んでみると片桐とその人物は客観的に見て相対するような二人ように思えるのだが、しかし、その二人はどこか心を通じ合わせているかのようにも見えた。

それを見ていた俺と渉はその二人が放つ異様な光景にただ飲み込まれるように無言で見るだけだったが相手の状況に飲み込まれれば不利になるのはこちらだと思い切って口を開き二人を仲介するように言葉を絞り出す。

「それで俺たちは準備万端だが、そっちはどうなんだ?」

俺の言葉に片桐は少し照れくさいような表情を見せると俺たちの方へと向き直り隣の人物を指差すように腕を伸ばす。

「ああ、時間をとってしまってすまないね。それじゃあ紹介するけど、これがもう一人の『OCT』の立花だ」

そう言われた立花はしかし、依然として無言を貫いたまま片桐を見つめるだけで一言も発する事は無いまま静かに突っ立っているだけだった。

その不気味さはこれまでに戦ってきた相手とは一味違う物を持っているような、不思議な空気でどうしてか人のことを取り込むような雰囲気を持っている。

「それじゃあ早速勝負をしたい所だけど...君たちはまだそんなところにいたのかい?これから俺らが勝負をするのにそこにいられたら邪魔じゃないか」

片桐がそう言ったのはつい先程の試合で俺たちに負けた『LOST』の二人だった。

まさかの自分たちの凡ミスに呆然としているのかフィールド内で一歩も動かないで立ち尽くして放心状態だった。

しかし、片桐の言葉が聞こえるとその二人は表情に悔しさを残しながらもそそくさとフィールドの外へと歩いていった。

前々回と同じように片桐は敗者に対しては何も興味は無い。ただ勝利したものとの勝負だけが片桐にとって興味がある。

前回にもまして俺は片桐の勝負に対するその思いに対して強く感じた。

それはこれまでとは違い実際に戦うことになったからだろうがしかしそれだけじゃない。俺は俺の正義のために戦う、それが正義を取り戻す『Re;rights』のメンバーだ。

「フィールドには俺たちだけになったしそれじゃあ早速始めるとしようか」

「ああ、この時が来るのを待ってたよ」

俺の言葉に口元を緩ませた片桐をはじめ4人はメガネをかけてスイッチを入れると試合が始まった。


『GAME START』 『Re:rights』VS『OCT』 



『OCT』は言わずと知れた実力も経験もあるチームだった。

対戦成績は勝102負2引き分け0と勝率は目を疑うほどに良い、その中でも少ない負けである2敗というのは実力で負けたのではなく自分から負けを宣告する棄権

つまり勝負では実質負けたことがないのである。

その『OCT』の二人を前にして俺と渉は大きく息を吐いて集中力を高める。

強大なその力に押しつぶされないように手に握る刀の柄を強く握り目を開けて口を開いた。

「渉、行くぞ」

俺の言葉に反応するように言葉のすぐ後に俺と渉の二人は同時に動き始めた。

それを見て片桐と立花の二人は攻撃を受け止めようと刀を構えて向かってくる二人を待ち受ける。

俺と渉はその行動を見て相手との距離を数メートルまで詰めた所で同時に歩を止めて飛び上がるとそのまま体を捻り回転を加え攻撃力を高めたまま相手の頭上へと落下していった。

最初からこの攻撃をするのはかなりリスクがあるのは分かっているが、しかし相手はランキング1位の『OCT』だ、妥協するつもりなんて一ミリも無い

攻撃力が高い一撃を最初に加えることで相手を徹底的に叩きのめす。


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