『Re:rights』VS『LOST』
『SOLD』の戦いから一週間、俺たちの体の傷がちょうど治りかけた所で現れたのは『LOST』の二人だった。
あっちからは何も言われなかったが対戦当日になっていつものように公園に行くと先に二人の人影が見えた。
「お前たちが『Re;rights』か?」
俺たちは警戒して二人との距離をとって様子を見つめた。しかし、話しかけてきたのは俺たちとそうとしが変わらない小学生だろう
二人共肌が白く、目が細くてそのせいでか目つきが悪く見える。
顔が似ていることもあってもしかすると兄弟か双子なのかもしれないと思った。
「ああ、そうだが」
「ほう、これが『SOLD』を倒した相手ねぇ…」
そう言って俺たちのことを上から下へまじまじと見つめるが直ぐにやめると急ぎ早に話を進めようとする。
「こっちが翔也で俺が龍馬だ俺たち兄弟なんだが、まぁそんなことどうでもいいか。早速、戦おうと思うんだが機械はお前らが持ってるって話だったな」
「そうだが…なぁ、その前にひとつ聞いていいか」
「うん、なんだ?」
そういったのは龍馬の方だ、どうやら話を進めるのは龍馬の方で翔也の方は様子を伺っているみたいだった。
その感じから見て龍馬の方が兄弟で言うところの兄なんじゃないかとそんなことを考えながらも俺はあるひとつの疑問を抱いていた。
「なんでそんなに急いでるんだ」
「ああ、そのことか…別に俺らからすれば急いでる分けじゃないんだが、どうやらほかの人間から見たら急いでるように見えるらしいな」
そう言って自分の頭を掻いて照れくさそうにする龍馬は一見すると明るい同級生にも見えなくはないが、しかしこの相手はランキング2位の『LOST』なのだ。
一瞬の油断を見せてしまえば今後の試合がどうなるか分からない。
今回も、試合をするということでいつものように過去の成績を調べてみたのだが。
勝91負け12とやはりというか当然というかこの前の『SOLD』よりもかなり良い対戦結果
この前と同じように負けた原因を調べてみたのだがどうやら全部棄権を宣言したことによるものらしく詳しい事は書かれて無くてどうしようもなかった。
つまり俺たちは事前に作戦を決めることもできないままこの対決に挑むことになってしまった今現在、相手がどのように動くかを瞬時に見極めなければいけない。
「話はそれだけでいいか、それだったら早速やりたいんだが」
俺の長い沈黙に痺れを切らしたように今度は翔也の方が苛立ちを隠せずに俺に問いかけた。
流石にこれ以上、試合前にこの二人を観察しても何も得ることができないだろう。
「ああ、わかったよ」
そう言うと俺らはベンチに荷物を置いてゴーグルをかけると電源を入れた。
「龍ケ崎、気をつけろよ。相手がどんな風に動いてくるか分からない以上、下手に動くと相手に隙を作ることになるぞ」
「分かってる」
俺は目を瞑って大きく息を吐いて静かに相手を見つめた。
『GAME START』 『Re;rights』VS『LOST』
試合開始の鐘が鳴ると同時に『LOST』の二人は見境なく突っ込んでくる
その速さはこれまで戦ったものよりも早い事は明らかだった。
その動きを見て反射的に俺と渉は刀を構えて足に力を入れて攻撃の衝撃に耐える為の準備をした時だった。
相手との距離が数メートルにまで近づいた時になって突然、急停止して速度を弱めて二人同時に俺たちに攻撃を仕掛けてきた。
土煙が辺りに広がる中、煙の中から突然現れた刀の刃を受け止めて振り払う
しかし、それも直ぐに相手は体勢を立て直すと弾かれた刀の柄を逆手に持つと器用に俺の体を突き刺すように狙う。
「ッ!」
息をすることさえできないほどの連続攻撃、俺は刃の先に意識を集中させてその刀の軌道を予想し体を反らしてギリギリの所で交わすと自分の刀を再び強く握り返して体を捻ると大きく振り払った。
体を捻った勢いそのまま俺は地面を転がると直ぐに立ち上がる。
渉も苦戦しているようで相手と一旦距離を取るために戦闘をやめて俺の近くに来る。
「速いな…」
息を整える渉が最初に口にした言葉はそれだった。
これまで経験したこともないような速さについていくだけでもかなりの集中力を持っていかれるだけではなく体力の消費もかなり激しい
しかし、相手も俺と同じようでかなり体力を使うようで俺たちの様子を伺いながらも息を整えている。
「一、この試合は速く決めないとまずいと思う」
渉の言葉通り、体力や精神力が普通よりも多く削られるこの試合を長時間続けることは相手も同じで考えてはいないだろう。そのためには相手のスピードに対抗する攻略法を考え出さなければ俺たちがやられるだけだ
「早い相手、それに対抗するには…」
相手の動きが早い以上、下手に動けば足を取られる。ならば徹底的に守備に徹するべきか
しかし、それではどちらが先にやられるかの勝負になってこの中で一番、体力が無い俺が先にやられる可能性が高い
ならば逆に攻撃を仕掛けるか、先ほどとは逆に攻撃を仕掛けることで相手の不意を突くことはできるだろうか。
いや、攻撃を仕掛けるにしても相手の行動をみる限り、こちらが攻撃を仕掛けようと動く前に相手が攻撃を仕掛けてくるだろう。
「どうする…どうする…」
相手はいわば攻撃に重きを置く超攻撃型、自分たちの速さを活かしたその作戦はまさに攻撃は最大の防御と言える。
「来るよ!」
渉が叫んだ瞬間、目の前の相手の二人は俺たちとの距離を詰めて来ていた。
体力を回復させた相手は二回目の攻撃に入ったのだ。
俺と渉はすぐさま刀を構え直すと相手の刀の刃の軌道を見極めて刀でそれを防ぐと同時に重い衝撃が体全体に波のように伝わる。
走った勢いとその勢いをそのままに振り払われた刀、攻撃をしたにも関わらずその攻撃によって相手をねじ伏せることで隙を作らせない
そんな完璧なまでの攻撃に俺らはただその攻撃を見極めて受け止める事しかできない。
「クソッ!」
俺は押される体を抑えるために足に力を入れて踏ん張るとそのままの勢いで体ごと前に力を入れて重なり合う刀を力ずくで押し返した。
その行動に相手も驚いた表情をするとそのまま後ろへと距離を開けて様子を伺うように下がった、とそれを見て渉の方へと攻撃を仕掛けていた龍馬の方も攻撃をやめて後ろへと後ずさりして距離をとる。




