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俺がチームに入って翌日の事だ、俺は渉、若葉の二人に連れられて町外れにある大きな公園内にある少し開けた場所へと案内された。
そこには俺たち以外の人影は見当たらなく、当時人気のゲーム『CLOSE OF WOLRD』をするのにはうってつけの場所だった。
「よし、じゃあこれから龍ヶ崎君にゲームについて教えよう」
「名前は適当でいいから、君付けはやめてくれ」
「うーん、確かにこれからチームでやっていくのに君を付けるのはおかしいか。名前はなんていうんだっけ?」
「ああ、一だ」
「じゃあ、これからは一って呼ぶ事にするよ。だから僕の事は渉って呼んで」
「分かったよ、渉」
そんな会話に満足気な表情を浮かべた渉は早速手に持って俺に見せた。
「この機械についてどのくらい知っている?」
そう言って渉が見せたのは昨日の上級生との戦いで最後にもらっていった白くて四角い装置の事だった。
近くで見てみると表面はなめらかでいて中央には丸いボタン、機械の側面部分には緑の色の細い線が刻まれており近未来感を醸し出していた。
「昨日やった時に初めてゲームに関係するものなんだと思ったくらいしか無いな...」
「やっぱりそうか...それじゃあまずはこのゲームについて説明しなきゃいけないか」
「ああ、頼んだ」
「うん、じゃあ基本的なVRMMOって言葉ぐらいは知ってる?」
「まぁそれくらいなら聞いたことくらいはあるな...」
微妙な反応を示す俺に、渉はチラリと白い歯を見せて笑みを浮かべると大きく息を吸った。
「VRMMO、つまりは大規模参加型オンラインヴァーチャルリアリティーっていうのはその名のとおり仮想空間に多くの人数が複数ログインできるシステムなんだけどね。今回発売『CLOSE OF WOLRD』と同時発売されたNEXTっていうのがこの機械なんだけどこれがまた面白くて、この側面の緑のとこから透明で触ることができない特別な映像の膜を設定された範囲の周囲に張った状態にして、その膜の内側で専用のメガネを掛けると仮想ステージが出てくるっていう世界で初めてのV. R.Fシステムが搭載されていて...ああそれっていうのは特別な技術で作られた小型化された投影機材がこの本体に入っていて膜の中を仮想空間で満たすようになっているからそう言う名前が付いたんだけど。これがATBのゲームソフトに於いてこれまでの常識であった現実世界に仮想物質を付け足すといったARつまり拡張現実システムを一新した形になるんだ...って」
渉はその時になって俺も若葉も永遠に続く一人語りに呆れていることに気づいたのだった。当の本人はそれに気づいくと頬を掻いて苦笑いを浮かべると直ぐに手を合わせる。
「ごめん、僕さ昔からゲームの話になるとつい話が止まらなくなっちゃってさ」
「確かにいろんな意味で驚きはしたけど、でもまぁ何となくは分かったけどなやっぱり実際にやってみた方が俺には合ってると思う」
「うん、そうだね。僕がずっと話した所で実戦に使えないからね...。それじゃあこの公園の設定してと…よし準備完了」
「それじゃあ、龍ヶ崎この中央のボタンを押してみて」
「うん、これか?」
俺が地面に置かれた機械の中央のボタンを押すと起動音と同時に昨日みた光景と同じ様に側面の部分から透明な膜のようなものが出てきた。
それはやがて俺たちのいる閑散としたこの場所を包む様に覆いドーム状に広がっていく。
「この膜はさっき言った様に実際には存在しない映像だからね。ほらこんなふうに通り抜けることもできるんだ」
渉は自身の膜に向けて腕を突き刺す、すると渉が言ったようにその腕は膜を貫通して外に出たにも関わらず膜は破れる事もなく空いた部分は腕を包むようになっていた。
「この状態でこのメガネを掛けて見てみて」
そう言われて俺は渉の突っ込んだのとは逆の腕に握られたメガネを受け取ると早速掛けてみた。
すると目の前に出現した廃坑したステージとは大きく変わり空には陽光が降り注ぎ、辺りを見渡すと草原が一面どこまでも広がっていた。
「おお、すげぇ」
その時の俺は真新しいおもちゃを買ってもらった子供ばかりにこの仮想世界に惚れ込んでいた。現実とは違う理想の世界
「おーい、周りを見るのもいいけどこっちを見てみて」
渉の声に俺は我を忘れていた事に気付き、渉の方をみた。
「うん?フィールドアウト?」
「そう、この膜はステージを構成する映像を投写させるスクリーンの役目だけじゃなくてね、こうしてステージのフィールドとしての役割もあるんだ、下を見てもらえばわかるようにここに線があるだろう」
そう言われて俺は渉の足元を見てみると、そこには確かに赤い線が地面に引かれていた。
「だからこうしてプレイヤーが膜の外がに出てしまうとフィールドアウト、つまりはルールを違反で失格になるってわけなんだ」
「なるほど」
当時の俺はゲームについて何も知らない素人同然だったから渉が言う事は聞いたこと無い言葉ばかりでそれがとても新鮮で期待に満ちていた。
それにつれて、俺の意識もどんどんとゲームの世界へとのめり込んでいったのは言うまでもない。




