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『Re:rights』  作者: 藤崎透
Re:vival
46/139

『Re:rights』VS『J.L.Q』

「なッ!?」

その驚きの声は刀を振り下ろした九十九だった。

それもその筈、その手に握られた刀には明らかに違和感があった。

胴体に向かって刀を振り下ろしたというのに明らかに人の体ではない質量と感触

刀を弾き返す硬さの物でよく見るとそれは龍ケ崎の腰を斜めに形が見えた。

そこまで見ればその物体の正体について推測することは難しいことでない

「刀だと!」

龍ケ崎はその言葉にニヤリと口元を緩ませる。

そう二刀流は九十九の視線の注目を背中に向けさせないため、更には服の下に刀を仕組んだ為に外見上は刀を背負っているようには見えない

つまり、最初の攻撃で二刀流を見せつけることで相手の作戦はで二刀流なんだと思わせる

そうすることで相手の潜在意識に二刀流を埋め込んでそれだけに注意すれば良いと思い込ませることができる。

刀は攻撃の為だけのものではない、攻撃を防ぐことも出来る。

わざと隙を作ることで相手の隙を作る。そうでもしなければこの人間には勝てない

「もらった」

小さく呟くと龍ケ崎は目一杯、九十九の体に向けて振り払った。

しかし、その刃先は確実に九十九の体を狙ったはずなのに、九十九もその驚異的な瞬発力で一瞬で体を捻り回避をする。さすがの九十九でもこの至近距離からの攻撃を完全に避けることは不可能

甘んじて受けた攻撃で体力ゲージは大きく減り小さな攻撃さえも致命的な程だ

「クソッ」

龍ケ崎は確実に九十九の体力ゲージを削れなかった事に苛立ちと悔しさを見せた。

けど、その九十九はそのまま後ろに下がると龍ケ崎と間合いをとって体勢を整える。

しかし、両者の置かれている状況は目に見えて異なっていた。

未だ体力は減っていない龍ケ崎に対して、九十九は一撃でも攻撃を喰らおうものなら致命的だ

「やはり君は私が一目置く存在だけはある」

「そういえば、昔からお前は俺に対してそんな風に言ってたが、この際聞くがどうして俺なんだ」

「君は強い、ただそれだけさ」

「そんなの、世界には俺と同等もしくは俺より強い人間はいるだろうに」

「ふん、君は他人の事は見透かすくせして自分の何も分かっていないようだ」

その言葉に九十九は刀を構え直すと微笑みながら答える。

「確かに君の言うとおり君より強い人間は世界的に見れば沢山とは言わないがいないことはないだろう。しかし、私が言ってるのはそういう強さのことじゃない。君はどんな逆境からでも勝利を導くだけの力、そしてそれを実現する力がある。それは君が有する能力の一つに過ぎないかも知れないが、しかしそれは誰しもが持っているものじゃない。これは五年前から言っていたと思うが、私は君のことをとても羨ましいんだよ。本当の意味での強さを持つ君にね

両者は対峙して見つめ合う。

そこには伝説呼ばれた者と最強と呼ばれた者が確かに立っていた。

両者は互いにうすら笑いを浮かべると龍ケ崎は左手に握っていた刀と背中に背負っていた刀を抜くと近くに投げ捨て一本の刀の刃先を九十九に向ける。

「何のつもり...」

驚くよりも前に疑問で九十九は問いかけたが龍ケ崎はそれを遮るかのように静かに答えた。

「お前は俺を買いかぶり過ぎだと思うが、次は本気で行くぞ」

「なるほど、同じ条件で挑んで来るとは面白い」

二人の体力ゲージは大きく異なるが龍ヶ崎が三本の刀の内、日本の刀を手放したことで武器の差は無くなった。

つまりここからが本当の意味で自身の力が試される事になる真剣勝負の始まりを意味していた。


先に動いたのはまたしても龍ケ崎の方だった、刀を捨てたことによって重量が軽くなった為なのか先程よりも動きは早く感じる。対する九十九はやはり龍ケ崎の攻撃を弾き返そうと腕をしっかりと閉め足を大きく開きカウンターの姿勢をして待ち受ける。

しかし、伝説と最強の一騎打ちの勝敗は一瞬で静かなものだった。


龍ケ崎は今まで以上のスピードで九十九の攻撃範囲へと入ると大きく刀を振り上げる

すると九十九はそれを見越して素早く体勢を低くして龍ケ崎の体を下から抉るように手首に回しながら急所である心臓目掛けて突きさした。

その攻撃は常人には避けることもできない程の速さ、そしてそれは完璧なまでの的確な攻撃。龍ヶ崎をもってしてもこれだけの攻撃を避けることはできなかった


いや、正確には言えば龍ケ崎は最初から九十九のカウンターを避ける気がなかった

急所である心臓に刀に突き刺さればひとたまりもない、しかし急所では無い手に刺されば体力は削れるが致命傷になることはゲームの世界である以上まず無い

龍ケ崎は腕を伸ばしワザと手に刀を突き刺せるとそのまま刀の柄を握る九十九の手をがっちりと握って逃げれないようにと掴みかかった。

刀での戦い、それも相手の攻撃の隙を突くカウンター攻撃を得意とする九十九に真正面から何の差も無しに勝てるとは最初から一ミリも思ってはいなかった。

避けることが出来ない攻撃を避ける方法を考えるのでは無く、最小限の攻撃をあえて受けることで相手の隙を作る。

考え自体は極めて初歩的な物だが単純だからこそ実行するのはかなり勇気と実力が必要となる。

「ふっ...」

手に刀が刺さった状態で掴まれ身動きが取れない九十九は瞼を閉じて小さく呟いた

それは決して諦めの言葉では無い相手に対する敬意だ。これまで多くのプレイヤーと戦ってきたからこそ言える言葉

その言葉は誰もが認める龍ケ崎の確かな強さを一言で表している。

龍ヶ崎の振り下ろした刀は吹く風に紛れるように静かに試合の結果を告げた。


準々決勝 勝者『Re: rights』 試合時56分42秒

『J.L.Q』が棄権を宣告、よって『Re: rights』の勝利


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