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『Re:rights』  作者: 藤崎透
Re:vival
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『Re:rights』VS『LIーVE』

鴉野達との集合場所はマップ中央にある大きな木の根元だった。

試合開始以来『Re: rights』が全員揃った所で敵に見つからないように身を隠す

「鴉野、作戦の準備は出来ているんだよな」

「ああバッチリだ」

言い合うと両者は確かめ合うように頷いた。

「まぁ、それはそうとだ」

龍ケ崎は腕を組み直すと目の前の仲間の一人に向かって言葉を投げかけた。

「内海、最近このゲーム内で変わったことはあるか?」

「変わったことですか?」

そう言うとしばらく内海は何かを思い出すように口元に手をおいて目を閉じたが、すぐに目を開くと龍ケ崎の質問に答えた。

「いえ、別に変わったことはないですけど、どうしてそんな事聞くんですか?」

「いやちょっとな、最近試合のペースが早まってる気がしたからな。もしかしたら何かあるのかと思ったんだが、その感じだったら思い過ごしみたいだったな」

龍ケ崎は苦笑いを浮かべてから一息つくと、手に握ったハンドガンを改めて強く握る

「それじゃあ改めて、現時刻を持って本命の作戦開始だ」



敵は残り二人、こっちは4人ということで数的には有利

だからといって正面から突っ込んでいけば先ほどのような危険な目に遭いかねない。

紅葉に染まった木々の間に龍ケ崎は立って『LI―VE』の一人、事前に見たローと向かい合う。

「まさか、あの伝説の『Re: rights』のリーダーとタイマンで対戦できる日が来るなんて夢のようだ光栄ですよ」

ローは言葉を言いながら感心したように目の前の龍ケ崎のことを見つめ続けた。その目は先程奈落へと突き落とされた仲間と似たものがある事に気づき苛立ちが心の中で芽生えたのを深く呼吸することで抑えた。

「おいおい、俺はお前とお喋りしに来たわけじゃないぜ」

「なんですか、そんなに焦らなくてもいいでしょ、時間はいっぱいあるんだから。それとも何かあるんですか」

「喋るとでも?」

「その可能性は望み薄ですね」

ローはそう言うと木々で囲まれた辺りを見渡す素振りをする。

その瞬間、敵のみせた隙に龍ケ崎はホルスターのハンドガンに触れると同時に急所である心臓に向けて銃口を向けた。

しかし絶体絶命の状況であるにも関わらず相手のローは武器を握ることは疎か銃口を突きつけている龍ケ崎に向かって余裕の笑みを浮かべる

「龍ヶ崎さん、あなたの腕前は確かだ。僕には到底かなわない。だけどね僕には一つだけあなたにも勝るものがあることを忘れちゃいけない」

そう言うとズボンの中に入れていた両手を出した

「ほぉ...」

龍ケ崎はつい溜息を漏らしてしまう、ローの手に握られていたのは小さな手榴弾だった。

「龍ヶ崎さん、あなたが私を撃とうものならこの手榴弾のピンが外れて道連れってわけですよ」

ローは両手に握った手榴弾をブラブラさせる。まるで新しい玩具を買ってもらった子供のようだ。

龍ケ崎は相手の行動をまじまじと見ていたがタイミングを見計らって静かに口を開く

「そんなことして勝機があるとでも?」

そう、もし龍ヶ崎が相手の手榴弾で道連れに死んだとしても数的有利は変わらない。

なのに相手は尚も余裕の素振りを見せているのはどういうことなのか

考える龍ケ崎はしばらく無言でいたが突如目の前のローが不気味に笑い出し、つい目の前の人間に目を配る。

「僕は負ける試合には元から参加しない達でしてね、負けるなんて一ミリも思ってないですよ」

「寝言は寝て言え」

その言葉を発端に両者の間で一発の銃声がなり響いた。

銃声の音が聞こえて慌てて発砲者の方向を見てみると木々の間からライフルの銃口の先が見えた。

「さすがやりますね」

不敵に笑うローとは対照的に相手のことを睨んだ。

今の銃弾は龍ケ崎のハンドガンから放たれたものではない。

考えてみれば、ローとの会話も手榴弾を見せびらかしてきたのも俺の注意を仲間のスナイパーに注意を逸らさせる為だったのだろう。

咄嗟にその銃弾を避けた龍ケ崎は体勢を立て直しスナイパーに向けてハンドガンの引き金を引き何発かの銃弾をあびせた。

とその時だった、そう相手は一人ではないのだ、突きつけられた銃口は的確に龍ケ崎の心臓を捉える。

「終わりです」

ローは手にハンドガンを握りながら勝利を確信して不敵に微笑む。

その表情を見た瞬間、龍ケ崎は『LI-VE』に抱いていたあるものに気づいた

というのもこの表情といい喋り方、それに新しくできたクランにしては立ち回りが上手さ

この感じ、前にも一度こんな感じの事があった。

「もしかしてお前、楠野か」

龍ケ崎の言葉にローは先程までの上機嫌な顔は消え唇を噛み虚ろな目は龍ケ崎を睨む

「まさか、このアバターで僕だって見分けることが出来るなんて予想外だよ」

「やっぱり、その反応は図星なんだな」

先ほどとはうって変わって龍ヶ崎がこの場の状況を支配する。

「楠野、お前と最後にあったのはお前が中学生の頃だったはずだよな」

「...」


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