『Re:rights』VS『LIーVE』
「これまでの動画を見た限りだと相手の個々の能力は俺たちのほうが優れているように思える。だから俺たちは相手の心理戦の対策をするだけだ」
一同は龍ケ崎の言葉におもむろに頷いて肯定の意を示す。
「それでだ、今回重要なのは凛、お前だ」
「え、ええ、何で私?」
凛は驚きのあまり立ち上がって前のめりなって龍ケ崎に問いかけた。
「いやそんなに驚くこともないだろ」
「だって、なんでよりによって私になのさ」
「ああ、俺も気になるな」
「私もどうして凛さんなのか少し気になります」
皆の注目を受けて龍ケ崎は明らかにバツが悪そうな顔をした。というのもその理由が
「この中で凛が一番単純だからな」
「まさかそんな理由で私を選んだの!?」
「ああ、こういう相手に対しては深く考え込むタイプよりかは単純に行動するやつのほうが向いてるからな。そうなると必然的にお前になるだろ」
「まあ龍ヶ崎の言うとおり凛ちゃんは単純だけどそれに負けず劣らずの運動能力もあるからな」
「うーん、頼られるのは嬉しいけど何か納得いかないなぁ」
不服そうに腕を組んで目を閉じた凛は頭を悩ませた。
「わかった、理由については深く考えないでおくから。それで作戦の内容はどんななの?」
龍ケ崎はその答えにうすら笑いを浮かべたと同時にそれを隠すようにコーヒーを一口飲むと改まって口を開いた
「作戦は簡単だ、映像を見比べた限り敵の攻撃は個々による攻撃によるもの」
「まぁ、出来て間もないクランだからチームワークもまだ完全なものではないんだろうな、だからそれぞれがお互いの作戦に干渉しないようにあえて個別で動いているんだろうよ」
こんな話はよくある事ではない、普通はチームワークを最も重視するはずなのだ。
龍ケ崎にとってもこのような敵を相手にするのは数少なくイレギュラーだと言えるが
「しかし、それを利用すれば俺たちは勝てるはずだ」
「私なら出来る、私なら出来る、私なら出来る...」
山の麓にある巨大な木の枝の一つに座り葉の影からあたりの様子を伺いながらハンドガンを握っている手先を見つめる。
こうして自分自身に念じなければ手が震えてしまう。こんなこと皆が知ったら笑われそうで言えずじまいだけど
「はぁ...私ってそんなに単純かな」
作戦開始の合図である信号拳銃が打ち上げられるのを待ちながら凛はあることを思い出していた。
「そういえば私が龍ヶ崎先輩と出会った時って篠川先輩が私との試合を取り決めてくれたんだったよね。」
思い返せば『Re: rights』と私が関わり始めたのはこの時からだった。
無理やり龍ケ崎に試合を申し込んで、それをきっかけに私は『Re: rights』に入ることになって、鴉野さんに矢薙先輩にも出会って色々な大会に出て試合をしたり。
「楽しかったなぁ...」
『Re: rights』との出会い、それは私の事を大きく変えた。過ごした全ての日々は本当に楽しいものだったしそこに芽生えた思いは今でも忘れることのできないものだ。
でも、あの日から、5年前の大会から全ては変わってしまった。
あの大会の裏で行われたことを今では唯一知っているのは龍ヶ崎先輩だけど
「聞けないよね、あんなに傷ついてるの見ちゃったら...」
それから暫く龍ヶ崎くんは生気を失って生きているのが不思議なくらいだった。しかし、それが今ではこうしてまた一緒に『Re: rights』として戦っている。
だから私は尚更何も言えなくなってしまった、形は変われど再び『Re: rights』として過ごせる日々を壊したくないという気持ちがあるから。
「情けないなぁ私は全く」
目の前の木の葉を揺らした風の隙間に見える山々の広大な風景に目を凝らすと私の中にあった感情が溢れ出てきてしまう。
そう、私はただあの頃のような『Re: rights』がまた戻ってきて欲しいだけなのだ。
それが壊れた5年前
「どうして死んだりなんかしたんですか、若葉先輩...」
こんなことを口に出してしまうのは私の心が弱いから。
その時だった、一面に広がる森林の中から上空へと煙が頭を出したのは
「きた」
言葉と同時に立ち上がり煙が放たれた場所を目測する。
そう遠くは無い、その瞬間足場にしていた木の枝を思い切り踏んで飛び上がる。
せめて、生前の若葉先輩と革明日約束を守らなければ私は先輩に顔向けができない
「私が守らないと」




