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『Re:rights』  作者: 藤崎透
Re:vival
32/139

『Re:rights』VS『LIーVE』

運ばれてきたコーヒーを一口飲んでテレビ画面に映し出されたクラン名を見てみるとそこにはクラン名が表示されていた。

「『LI―VE』か、うーん確か最近出てきたクランだったか」

「そうですね、結成は1年前と随分新しいですね」

「でもそんな若いのにここまで生き残っているっていう事はそれなりの実力があるってことだよね」

「ええ、結成当初からその実力で小さい大会大きい大会含めても優勝7回、準優勝6回とかなりいいですね」

龍ケ崎は改めて対戦相手を見てみる。一人一人を見比べてもその顔はどれもまだ十代に見える。

この前とはうって変わって新しい顔が画面に映し出される。

「面白い」

龍ケ崎は見つめた先の対戦相手に不敵な笑みを浮かべた。

「それで相手はどんな戦い方をするんだ?」

「それはですね」

内海がそういうといつものようにテレビ画面に相手のこれまでの戦いが映像として映し出された。

「見ての通り相手は心理戦が得意見たいですね」

「心理戦?」

その聞きなれない言葉に龍ケ崎は反射的に内海に聞き返してしまった。言われ本人はホログラムから画面へ向かって指をスライドさせた。

「この映像を見てもらえば分かるように」

と内海はテレビ画面に映し出された複数の映像の中から一つを指差して拡大させて見せた。その動画は一見するとほかのものと何も変わらないようにも見えたが

「あっ」

横で見ていた凛が突然、驚きの声を出した。

「おっ、珍しく凛も気づいたのか」

その言葉に本人は少し不満げに龍ケ崎を見たがそれより発見できたことのほうが嬉しいらしく口を開く。

「さっきからチャンスがあるのに撃ってない」

龍ケ崎は満足したように薄笑いを浮かべると言葉を繋げた。

「そうだ、敵はチャンスがあるのに銃を撃とうとはしていない、なんでだと思う?」

「うーん、見る限り相手の実力が低いわけじゃないと思う。多分何かトリックがあるんだと思う」

「そのトリックってのはなんだと思う?」

龍ケ崎の質問に凛は今一度改めて画面を注視して見る。

画面に映る映像には中世のヨーロッパ都市を思わせる建物が連ねっており、そこに『LI―VE』のメンバーであるローと相手がタイマンで対峙していた

その状態がしばらく続いたと思った瞬間、対峙していた相手が『LI―VE』のローに銃口を向けた。

その早業に驚いたのかローは微動だに動かない、これほどまでのチャンスはない、急所に銃弾を撃てば大ダメージは確実だろう。

しかし、そこからが問題だった。というのも相手は撃とうとはしないのだ。

それを待っていたかのように『LI―VE』のローは相手に向かって突進していく

その行動に相手の一人は一瞬驚きを見せながらも自身に向かってくる相手に改めて銃口を向けた。

とその時だ、またしても相手は銃口を向けたまま真っ直ぐに突進してくる相手に動けずにいたのだった。

それを見てか『LI―VE』のローは不敵に笑うと同時に相手の目の前に立って余裕綽々に自身の手に握られたハンドガンを相手の頭部へと向けると躊躇することなく一発放った。

この不可思議な出来事には必ず何かあるに違いないのだけど単純に考えてみても相手の行動を止めさせることなんてできるのだろうか。

凛は諦めてギブアップを言おうとしたその時だった。

龍ケ崎はおもむろに口を開いた

「要は相手の動きを制御できればいいわけだ」

「いや、でもそんなことって」

「簡単に言えば心理的に相手を誘導させるんだ。えっとそうだな、例えば人を洗脳させるとか誘導して人の行動を自由に制御させるって事を聞いたことあるだろ?」

「それがあの状況で行われてたっていうの?」

「いや、そこまではいかないにしても、あそこまでチャンスがありながら撃たなかったのには何かあったのは事実だろうな。」

「相手を制御する...」

そんなことができるのかどうか、しかしそれ以上に龍ケ崎には何か策があるのだろうか凛が不安そうな目で見ると本人は察したように笑ってみせた。

「まぁ、考えはあるさ」

「ほう、流石だな」

そう言っていつものように不敵な笑みを浮かべて見つめる鴉野を龍ケ崎はコーヒーを口に流し込みながら訝しげに視線を逸らした。

「それじゃあ、話をするぞ」



対戦当日、秋葉原の交差点に集まった両チームは向かい合う。

「まさか伝説のクラン『Re:rights』と勝負できるなんてね、光栄だよ」

「ああ、こっちこそお手柔らかに」

「それはどうかな、こっちだって勝ちたいんでね。全力でいかせてもらいますよ」

「もちろん、俺たちだって本気でいかせてもらうけどな」

龍ケ崎は目の前に立つ『LI―VE』のリーダー、ローと握手を交わすといつものように光に包まれ対戦場所へと移動した。

対戦場所として選ばれたマップは自然を豊かな場所で辺りを見渡すと紅葉した葉をつけた山々が見える。

マップの範囲は広大で人の姿を確認するのさえ遠くからは難しいと思える。

視界から光が晴れると同時に龍ケ崎はホログラムを呼び出してハンドガンを取り出した。

「それじゃあ、作戦は前に話した通りに」

一同を見渡すと龍ケ崎は深く息を吐き出す。

「作戦開始だ!」


第4戦

『Re: rights』VS『LI―VE』 『試合開始』


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