『Re:rights』VS『S.w.a.T』
「そのまさかだよ、このマップの中央に巨大な建物があっただろう、あの建物に登って飛び降りたんだ。俺たちは射程距離まで降りてくる時間、敵の注目を上へと向けさせない必要があった。この作戦がバレたら元も子もないからな。だから俺はわざわざ敵に突っ込んだんだ。それとあのスモーク、あれは注意を逸らすのと同時に上空からでも正確な位置が見えるように伝えていたんだ」
そこで一旦言葉を切ると
「そしてスナイパーで狙う、簡単だろ?」龍ケ崎は挑発的に言い放った。
「ちょっと待ってくれ、吹きつける風でバランスを取るのだって難しいはずなのにどうやって敵を狙うって言うんだ。どう考えてもそんな無茶苦茶なこと出来るわけ」
朝比奈の言葉は普通に考えれば当たり前だ、しかし龍ケ崎はその言葉に自信満々に答える。
「出来るんだよ、あいつなら」
そう、実際にあいつ、鴉野はやってくれたんだ。
上空から敵を狙い撃つ、そんなことをやってのけれる能力を持ち合わせているんだ。
「ほかの奴らは凛が殺ったみたいだし残るはあんただけだ」
龍ケ崎は上空を見ると降ってくる鴉野のことを見た。
「終わりだ」
その言葉と共に一発の銃弾が上空から降ってきて朝比奈の脳天を貫いた。
最後、朝比奈が一歩も動かなかったのは諦めのようなものではないだろうか
朝比奈の姿が光と共に消えたのと同時にものすごい勢いで鴉野の体は地面に衝突し辺りに土誇りを舞い上がらせた。
「大丈夫ですかね?」
龍ケ崎の横に近づいてきた内海は衝突した付近を覗き込むように呟いた。
そもそもこのゲームでは高所からの飛び降りを考えていなかったらしくパラシュートなどは存在せず、体力を残して降りるときはこの前のように建物にロープを張るなどしなければいけないらしいが今回の作戦は作戦だけに敵から気づかれないようにする必要があった。
つまり鴉野は飛び降りたが最後、そのまま地面に衝突するしかったのだ。
「おーい鴉野大丈夫かー?」
「ああ、なんとかな」
龍ケ崎の問い掛けに鴉野は衝突でできた穴から這い出て来ると咳き込みながら答えた。
どうやら立ち上がる力はないらしく地面に寝そべったまま手を握り締めてガッツポーズをすると突然笑い出した。
「やってやったぜ」
「ああ、こんなことお前しかできないよ本当」
視界の先には『YOU WIN』の文字が表示され龍ケ崎も笑みを受けべると天に伸ばした鴉野の手を握りしめ勝負に勝ったことを喜びあった。
「凛、お前もよくやったよ」
龍ケ崎は鴉野の手を握ったままホログラム上に映るメンバーに話しかけた。
「こんなドキドキしたのも久しぶりだよ」
凛にはスナイパーの処理をしてもらっていたのだが、タイミングが重要だった。
というのも敵の視線を上に向かせないためには囮である俺に集中させる必要
だから最初、俺が敵の二人に向かう前にスナイパーの一人を撃ち敵の視線がそっちに向いたところで俺は突っ込み視線を再び俺に向けさせた。
そしてスモークが晴れ再び俺と朝比奈が向かい合っている間にもうひとりのスナイパーの元へと向かい鴉野の放った銃声と被せるように銃弾を放った。そうすることで相手の注目を最後まで俺ら二人に向けさせることができた。
つまり今回の作戦は凛と鴉野の二人がいなければ成し得なかったのだ。
「それじゃあ貸しは返したって事で」
ホログラム越しにそういった凛はどこか楽しそうだった。
「貸しなんて、そんなの俺はお前にされた覚えはねぇよ」
「まあ、先輩がそう思うんならそれで良いんだけどね」
凛のいう貸しというのは多分この前の試合でのことなんだろうけど、しかし、龍ケ崎はそれを言及しようとは思わなかった。
龍ケ崎は内海の方へと体を向ける。
「お前も作戦通りタイミングよく技を出してよかったぜ」
「本当、最初聞いたときはむちゃくちゃな作戦だと思いましたけど本当にやってしまうんですからね」
「そりゃあな、俺はできる作戦しか考えないからな」
それを聞いた内海は少し微笑むと自身のホログラムを呼び出すと一つボタンを押すと龍ケ崎たちの体は光に包み込まれていった。
対戦結果 勝者『Re: rights』
試合時間 2時間13分5秒
『Re: rights』残り4人
『S.w.a.T』残り0人
『Re: rights』が『S.w.a.T』のメンバーを殲滅したことにより勝利




