『Re:rights』VS『Universal Soldier』
「作戦内容は簡単、俺が囮になるんだ」
体を丸めて二人して地図を広げて作戦について話し合う。
内海の右腕には包帯が巻かれいた、先程アイテムの中から取り出すときつく巻きつけた
それからは先程まであれほど絶望の雰囲気がまるで嘘のように今は龍ケ崎に導かれるように真剣に聞いている。
「俺がこのなるべく障害物がない開けた場所の中央に立つからお前は直ぐに動ける場所にいて敵の位置がわかったらすぐに攻撃してくれ」
龍ヶ崎が言い終わると見計らったように内海は口を開いた。
「どうして体力が少ないのに囮作戦なんですか?考えればもっといい方法はありそうな気がしますけど。例えば前のようにチームキルを狙うとか」
もっともな質問のように思えるが龍ケ崎は首を横に振って言葉に出すよりも先に否定した。
「状況にもよるが体力が少ない場合は自分から攻めるということはしないで物陰に隠れて角待ちとかするだろうな。だけど今回、相手の方が人数が多い、さらに敵は近距離対戦を得意としている。それを考えると角待ち対策に連携していても目に見える距離に二人目がいてやられてしまう可能性が高い」
先ほどの事を思い出す。壁越しにいた一人、その中距離にはもうひとりがいた。
あれはつまり壁待ち対策で言うまでもなく見事に罠にはめられたわけだ。
「それにチームキルを狙うには絶対条件として銃弾を相手に当てること、それは簡単にできることじゃない。前回の作戦は仲間に鴉野と凛、さらに言えば相手のリーダー日比野の反射神経と相手のスナイパーの腕がなければ成し得なかった。それらの事がらが実現不可能な現在、一番可能性が高いのが囮を使う事で相手をおびき寄せることだ。前にも言ったが囮作戦のメリットはこちらから仕掛けなくてもあっちから来てくれるということ、相手は敵がいる場所が分かれば全員で攻めて来ると思う。つまり俺たちが相手を探し回る労力とリスクを減らしてくれるのと俺たちのやりやすい場所で戦えて少しでも有利になれる」
内海はこれまでの説明を感心したように大人しく聞いていた。しかしひとつだけ腑に落ちない事があるように話が終わると龍ケ崎に重々しく問いかけた。
「でもその作戦のデメリットは相手の攻撃がどのタイミングで来るかわからない、だから銃弾が飛んできても避けるのが至難の技なんですよね」
内海の問い掛けに龍ケ崎は無言で頷いた。しかしこの状況でもっと良い方法が無いのも事実。囮役の龍ケ崎の体力ゲージは残り少し、急所を外れたとしても銃弾が一発でも体のどこかに当たれば致命的だ。
内海は心配そうに龍ケ崎の顔をみた、それもそうだ今の状況で龍ヶ崎が死ぬということは内海の最後の望みが絶たれることになる。やっと調子が出てきたのにまた湿っぽくなっては困る。
「大丈夫、俺は絶対銃弾には当たらない」
龍ケ崎こんな状況でも得意げに言い切る。それに対して内海は疑問を投げかけた
「そういった言葉の根拠はどこから出てくるんでしょうか」
その質問に龍ケ崎は少し考えるがすぐに答えを出した。
「自信があるからな」
「弾を避ける自信ですか?」
「いや、勝つ自信だ『Re:rights』としてな」
龍ケ崎はもうすでに勝つことが決まっているかのように堂々と口にした。今の状況でも龍ケ崎は勝てることを確信している。
内海にはそれがとてもじゃないけど信じられることだとは思わなかった、だけどその理にかなわない根拠が面白かった。どうしてか自然と笑みがこぼれた。
「そんな事で勝てたらみんな苦労しませんよ」
笑いが止まらなかった、自分の命が根拠が分からないような人間に掛かっているということ。それが何故だか面白かった
「おいおい、そんなに笑うことじゃないだろ」
笑い転げる内海の変貌ぶりを見て龍ケ崎は心配そうに聞いた。もしかしたら恐怖のあまりにおかしくなってしまったんではないだろうかと。しかしそれも1分となかっただろう、内海は疲れたようで大きく一息すると静かになり口を開く
「私も覚悟を決めました。龍ケ崎さんの根拠もない勝つ自信とやらに託してみます」
そう言うと忘れたように言葉を付け加える。
「お願いしますよ、リーダー」




