『AFW』 The last qualifier in Japan
試合開始から三十分ほどたち一つのクランが早速『Charon』にやられた頃、俺と渉の二人は建物3階の通路を歩きながら、敵の場所はおおよそに予想がついていたので、渉と俺の二人はその場所へと相手に自分たちの作戦がバレないように歩いていた。
そんな中で動きがあったのは俺たちが通路を挟むように食事屋が並んでいる場所を歩いていた時だった。
マップに赤いマーかーが表示されたと同時に俺に向かって一発の銃弾が放たれた。
その銃弾をギリギリの所で避けた所で、正面の洋服屋の中からもマーカーが表示され相手の罠にはまったと思った瞬間、俺たちの作戦は始まった。
まず、正面から俺を狙うスナイパーに、避けてバランスを崩した体勢のまま手にしたハンドガンで牽制しながらすぐさま起き上がると死角に隠れる。
「渉、そっちはどうだ?」
「一人やった、けど左前方にアサルトライフルがいて動けない」
その報告に俺は頭の中で今ある状況を入れると、再び口を開いた。
「分かった、渉は正面の敵を頼む」
「了解」
言い終えるとすぐにほかのメンバーに話を降った
「鴉野はそれまで通りに、凛は左前方の敵を頼む」
二人はそれぞれ声を出さずに頷き準備をすると、俺はタイミングを計るように深呼吸をしてあたりの静けさの中にある勝機を感じ取る。
「カウント 5…4…3…2…1…」
「…0」
その言葉と共に、先に走り出したのは渉だった。
それまで隠れていた柱から一気に飛び出ると同時に、その動きに合わせるように左前方からはアサルトライフルの引き金が引かれようとしていたその時だった。
その人物も不意打ちだったのだろうか、突如として後ろから現れた人影に振り返るまもなく頭を狙った銃弾に光となって消えていった。
「どうなっている」
いきなり現れた人物の姿に驚く声が聞こえると同時に敵の後方に立つ凛めがけて隠れていた相手の一人が銃口を向ける。その動きにいち早く気付いた凛は急いで体勢を変えて相手の死角に入り銃弾を避ける。
それに合わせるようにして、俺は渉の後ろについて凛を狙った敵に向かって銃弾を放った。
しかし、相手もその動きをいち早く察知して避けると俺に向かって銃口を向けて乱射し始めた。飛び交う銃弾でショーウィンドウのガラスは割れ、壁には銃痕が深く突き刺さる。そんな中を俺と渉は避けていって距離を詰めるとそのまま相手に銃弾を放つ
「くッ」
辛そうな敵の表情を見ながら、俺は腕を伸ばし引き金を引いた。
『G・KR』殲滅
その言葉がスコア表に書かれたことを確認すると俺は一段落といった感じでその場に座ると笑みを浮かべた凛を見つめた。
あの状況で待ち構えていた敵が驚いたのも無理はない、自分の後ろに音もなく相手が現れれば誰だって驚き、そして不思議に思うだろう。
その秘密を話せば簡単だ、この施設に張り巡らされてるダクトを使ったのだ。
「まさか、あんな映画みたいなことをするとは思わなかったよ」
凛は俺に手を差し伸べながらそうつぶやいた。
狭いダクトの中をほふく前進で進む姿はさながらスパイ映画のようだが、そのおかげで相手に気づかれることなく後ろに来て不意打ちができた。
「ああ、ご苦労だったよ凛」
差し出された手を握って立ち上がると、踵を返して振り返り同じように敵を倒した渉を見つめて言葉をかけようとしたその時だった。
「おいおい、もうかよ」
その言葉は鴉野からだったが、その声色から紛れもなく何か悪いものを感じ取っているようだった。
「どうした…」
俺が聞き返そうとしたその時だった、言葉の意味は俺たちの目の前にあった。
そこには、この試合で最も恐れていたあの人物の姿が
「『Charon』のお出ましか」
中央にある吹き抜けを挟んだ反対側の通路の先には何を隠そう『Charon』のリーダー秋津が笑みを浮かべて俺たちのことを見つめていた。
互いにすぐに動かず、しばらくその場に留まって相手の動きに意識を集中させた。
この状況、秋津だけで動いているとはとても思えなかったし、相手も一人いない今の状況を判断しようとしていた。
そんな沈黙が続く中で、静かに話を切り出したのは俺の方だった。
「やる気か?」
その言葉に、笑みを崩すことなく秋津は言った。
「そりゃあ、敵同士が道で出逢えばやり合うのが『AFW』の流儀だろうよ」
そう言って秋津は両手に握ったハンドガンの銃口を向けた。その瞬間、相手は本気なのだと思った。
唾を飲み込んだ俺はつぶやくようにして言った。
「俺と渉は一緒に秋津を狙う。凛はその場で援護をして新たな敵が現れれば反撃を、鴉野もいつでも動けるように準備しておいてくれ、俺は秋津をやる」
言いながら俺は腰のホルスターから二丁のハンドガンを取り出すと同じように銃口を相手に向けた。
「それじゃあ、いくぞ…3…2…1…」
「…0」




