『Re:rights』VS『NPC』
目の前の教室のドアから突然として向けられた銃口にマップには赤い点が点滅したかと思えば次の瞬間には銃弾が俺の致命傷ポイントに狙いを向けて引き金を引いた。
「クソッ」
俺と渉はすぐさま姿勢を低くしそのまま物陰に隠れると止まない銃声の中で言葉を交わす。
「距離は20メートル弱、武器は固定式のマシンガンMGa―25、装填数は400で『AFW』で一番の装填数を誇る武器だ」
「ああ、だろうな。まんまとこの廊下を通るようにと待ち伏せされていたみたいだな」
廊下の両端には昇り降りをするための階段があるが、現在地は階段の中程で階段までの距離は近い方でもやく50メートルはあるだろう。
それだけの距離、遮蔽物が限られている場所で敵に背中を向け全速力で走るもんなら蜂の巣にされることはまず間違いないだろう。
相手は俺たちがなかなか出てこないと知ってか、一時的にマシンガンの引き金を引くのを辞めて俺たちがいつ出て来てもいいように照準を合わせて待ち伏せる。
そうして俺たちが突っ込んでくることを待っているのだろうことは予想するのはいとも容易い、そんな時だった若葉から連絡が入る
「龍ヶ崎君たちそこで反応があったけど大丈夫!?」
「ああ、今相手に狙われてるよ。けど心配するな、こんな敵すぐに片付けるさ」
そう言うと俺は着信を切ると、目を閉じる。
「どうするか…」
俺はそうつぶやきながら辺りを見渡し何かないだろうかと考える。
廊下の柱の影に二人して冷たい壁に背中を付けるようにして相手の攻撃から避けるためにその場所は廊下の中間だったからか相手がいる逆の方向で俺たちから一番近くの教室までは距離にして約20メートル程
他の逃げ場所はというと正面の廊下の窓くらいのものだが、3階ということで飛び降りるにはなにかしらの工夫が必要だった。
俺は大きく息を吸い込むと渉に声をかけた。
「渉、今から作戦を言うからよく聞いてくれ」
「3、2、1…スタート」
俺のカウント同時に渉は地面へとスモークグレネードを投げ込んだ、と同時にグレネードから大量の煙が吹き出すと廊下は一気に煙に包まれるタイミングを見計らい
「よし、行くぞ」
俺の合図と共に煙の中で俺は廊下の窓を蹴り飛ばすと同時に、そのまま体ごと外に飛び出したと同時にそのタイミングを計ったように渉は煙幕の中を敵の場所から反対方向の教室へと走り出した。
窓が割れた瞬間は敵も俺のことを見てマシンガンの照準を俺に合わせようとしたが、渉の廊下を走る音がするとすぐに廊下へと照準を変えて煙の中を無差別にマシンガンの引き金を引いた。
そんな中で、窓から飛び出した俺はそれこそただ飛び出したわけじゃない、窓から飛び降りる中、俺は手にした銃を割った場所に目掛けて撃ち放った。
『Jump Huck』その名のとおり、これはいわば鈎縄の一部を銃のように発射して屋上なんかにこの鍵爪を引っ掛けて登ったり降りたり。武器というよりかはどちらかというと道具の一部にカテゴリされている一物だ。
俺は飛び出した場所にその先端を窓の枠部分に引っ掛けると、勢いそのまま俺は先程までいた3階の廊下から2階の廊下へと再び窓を割って飛び込んだ。
そして銃声が未だに鳴り止まない中で俺はすぐさま体を起こすと数歩、歩いたところで天井に銃を構えるとその周辺に数発、銃弾を撃ち込んだ
すると相手の数が一人消えるのを確認すると大きく溜息を吐き出すと同時に階段を降りてくる渉の姿が見えた
「やったな、はじめ」
「ああ」
スモークグレネードを投げ込んだ瞬間、俺は窓に渉は廊下を走り出すそうすることで相手は先に窓を飛び降りた俺よりも渉の方へと銃口を向けるだろうことは予想するに容易い
そこで俺は一階下にいくと、敵の真下へ移動すると床越しに相手を撃る
「まぁ、床が今にも抜けそうな木だったから良かったけどな」
そんなことを話していると鴉野からの着信が来た
「こっちは2人やったぞ」
「ああ、俺らも今1人やったところだから残りは一人だ。若葉何か動きはないか?」
「うん、今のところ無いみたいだけど…あれ?」
「うんどうかしたか?」
若葉は何かを確認するように画面越しにどこか遠くを見つめる。そんなことをしばらくすると力なく言葉少なに呟く
「いた、もう最後の人」
「本当か!それはどこだ、場所を教えろ」
「私から、北北西の方向に50メートル位先の建物の影に誰かいるみたい」
そう言いながら若葉はマップにマーカーすると俺たちにもその位置情報を送る。
俺と渉の場所からは約1キロメートルと離れている。
「鴉野、お前からは見えないか?」
「ああ、建物が邪魔をして人の姿は確認できないな」
「そうか…」
俺は画面越しに若葉の顔を見ると口を開いた。
「今からその場所に俺と渉で行くから、着信をそのままにして敵に何か動きあったら連絡をしてくれ」
「分かったよ」
言い終えると、俺と渉は顔を見合わせてすぐさまその場所から全速力で走り出した。
若葉が相手を見かけたその場所につく直前になって走っている俺たちに若葉の声が聞こえる。
「相手が動き始めたよ」
「分かった、もうすぐ着くから見失わないようにしてくれ」
そう言いながら俺は手にしたハンドガンを強く握りながらそれでも、街を駆け抜けていきポイントされた場所まであと1分で辿り着くという時だった。
「あれ…もしかして」
「どうした!?」
若葉は驚いたように画面の向こう側で何かを確認するような素振りを見せると小さな声で呟いた
「こっちに来てるみたい…」
その言葉に俺は言葉を返すわけではなかった。
「鴉野、見えないか!?」
「悪い、建物の影になっていて狙いがつけられない」
「クソッ」
俺は舌打ち混じりに言葉を吐き出すと俺は叫んだ
「若葉、待ってろ。もうすぐで着くから」
俺はそう言いうと全速力で街の中を駆け抜けていき、若葉のいる小高い山の上であるリスポーン地点が見えてくるとそこには若葉に向かう相手の姿が見えた。
俺たちは直ぐにその後ろ姿を追いかけようとした時だった、相手がアサルトライフルを若葉に構える
「くッ…」
その動きに俺は手にしたハンドガンの銃口を相手に向けて引き金を引いた、が距離がありすぎるのに加えて走っている為に照準が定まらずに相手の体に命中することはない。
しかも、俺が放ったせいでこちらの位置がバレて相手は振り返ると手にしたアサルトライフルを俺たちに向けると容赦なく引き金を引いた
その銃弾を避けようと俺は走りながら大きく右に迂回するが高射撃力を誇る相手の銃の一発の銃弾が俺の体に命中し体力ゲージが半分にまで減ると俺とは反対に左に大きく避けた渉はハンドガンで牽制するがその直後にアサルトライフルの銃弾が襲いかかって来て思うように狙いを定めることが出来ない。
予想以上に手こずらせる相手の動きに俺は小さく唇を噛んだときだった。
一発の銃声が辺りに響き渡ると、アサルトライフルを振り回していた相手は小さなうめき声を上げて光となって消えていく。俺のものでも渉のものでも、ましてや鴉野のものではないその銃声の正体
「やるじゃねぇか…若葉」
相手が消えていく光の先には不器用ながらもハンドガンを構えて引き金に指を置く若葉の姿があった。
「はぁ…」
若葉は大きく深呼吸をすると手にしたハンドガンをゆっくりとその場に落とすとヘタリと座り込んでしまった。
そんな若葉に俺は近づいていき手を差し出した
「よくやったな」
その言葉に小さく笑を浮かべた若葉は俺の手を握り立ち上がると言葉少なくいった
「うん、なんとかね」
そう言いながら若葉力なくその場に膝を着くと目の前に浮かぶ勝利の文字を見つめた。
「 勝者 『Re:rights』 」
「若葉先輩がプレイしているところなんてなんて初めて見ましたよ」
そう言って筐体から出てきた俺たちを出迎えたのは学校帰りで制服姿の凛だった。
「あれ凛ちゃん、今日は大丈夫なの?」
「はい、みんな頑張っているのに私だけ出れなくてごめんなさい」
「そんなこと無いよ凛」
「ああ、矢薙の言うとおりだ」
頭を下げる凛に一様に声をかける。そんな姿に俺は口元を緩ませた。
「それじゃあ、凛も来たことだし。もう一回やるか」
「そうですね。毎日勉強だけじゃ退屈ですし、たまには息抜きしないとですよね龍ヶ崎先輩」
「ああ、今日は存分に暴れろ」
言いながら筐体に再び入った俺たち。その後ろ姿を見つめる若葉、こんな風に『Re:rights』は世界の頂点を目指していった。




