『Re:rights』VS『Gun SHOTER』
動き出した凛と渉は同時に一つの入り口へと出て行った。その瞬間を逃すまいと相手はすかさず狙撃する。がその銃弾は甲高い金属音によって弾かれた。
それはなぜか、話は簡単だ。凛と渉はそこら辺にいくつも転がっている廃材の部品の一つを取ってそれを盾にしたんだ。
避けるのでは無く、周りのものを利用してどのようにして攻撃を受け止めるかを考える。
凛と渉の二人で前は廃材を盾に前へと進み、俺と鴉野はその盾の傘下に潜り銃弾の雨から身を守りながら開けた場所まで移動する。
「よし、相手の死角になったな」
俺の言葉と同時に盾を下ろした二人は大きく息を吐き出すと手にしたハンドガンを強く握る。
「ここからは俺たちの番だ、行くぞ!」
合図と同時に一斉に散らばる。まるで迷路のように積み重ねられた数々の廃品の路地をくぐり抜けていく。
「こっちは一人やった」
「僕も一人」
凛と渉の言葉は憤りから解放されたような清々しい物であった。それもそのはず、あれだけの銃弾を浴びせられておいて怒りをこみ上げないプレイヤーはいない。
凛と渉はこれまでの憂さを晴らすように迷路の中を走り回り、器用に相手を着実に倒していく。鴉野は高い場所へと上ると先ほどから執拗に狙撃をしていたスナイパーと一騎打ちをして体力を4分の1程残す程度まで体力を削られるも撃ち倒した。
みんながみんな、それぞれ倒していく中で俺の目の前には先ほど会見で勝つと息巻いていた『Gun SHOTER』リーダーのアイルの姿があった。
「さすが、新進気鋭のクランとして注目されている『Re:rights』なだけはある」
「ふん、残りはおまえ一人だけだぞ」
「本当どうしたもんですかね。だけどここまで残ったクランとして最後まで諦めませんから」
その言葉を皮切りに不適な笑みを浮かべるアイルに、俺も同じような笑みを浮かべると試合は開始された。
まず銃弾を撃ち放ったアイル。それを避けた俺は自分のハンドガンの銃口を相手に向けた。しかし、俺の行動をそれを物ともせずに俺の方へと向かって来た。
「!?」
俺は一発の銃弾を撃ち、向かってくるアイルの腕に命中させたがそれは予想外だった。
すくなくとも銃口を向けられ、尚且つ相手が引き金に指をかけているのならば、少なくとも最初の俺の動きのように逃げる行動を取るはずだ。しかし、そのときのアイルは俺に一直線に向かってきた。
何が言いたいのか、それは俺はいつも相手がどう避けるかも計算して撃つのでまっすぐに突っ込んでくるアイルの行動により驚きタイミングがずれてしまった。
そんな猶予さえも与えまいとアイルは依然として速度を落とすこと無く向かってくる。
「本気か」
つい呟いてしまった言葉の通り、アイルは本気なのだ。
俺は再び向かってくる相手に向かって再び銃口を向けた。
しかし次の瞬間、アイルは俺の視界の先から消えてしまった。というよりかは姿勢を屈めて避けたのだ。
一手目は避けず、相手の意識を一手目に集中させて二手目では変化を起こす。最初の行動は全て計られていたと気づいた時には遅かった。下から突き出す銃口は少し動きで少しずれて俺の腹部を貫いた。
「まだまだ」
アイルはハンドガンを握るのとは反対の手で地面に手を付き身体を支えると、体勢を立て直そうとして再び攻撃を仕掛けてくる。
そうはさせまいと俺は足でアイルの腕を蹴飛ばしバランスを崩した。
「っ...!」
咄嗟の行動に、驚きを見せるアイルに俺は銃口を向ける。それと同時にアイルの方もすかさず銃口を向けた。そして鳴り響く二つの銃声。
一方の銃弾は頬をかすめ、もう一方はおでこを貫いた。
「はぁ...はぁ...」
「 決勝 勝者 『Re:rights』 」
勝負が決まり俺たちの優勝が決まった瞬間、ゲームから出ても筐体の中からしばらく出ないで疲れた体を休ませようと椅子に腰掛けて外の観客たちの歓声が聞こえる中で大きく息を吸いこんだ。
「ちょっとやりすぎたな」
連日の試合の数々にすでに限界を超えていた俺の体と精神の疲弊は予想以上に大きく意識が遠のきそうになる中で意を決して席から立ち上がると筐体のドアを開けて歓喜する観衆の面々の前へと出て行った。
盛り上がる会場の声、しかしそれは俺たちだけに向けられたものではなかった。
というのも、対戦相手である『Gun SHOTER』の姿はもうすでに消えておりその代わりに『J.L.Q』のメンバーが九十九を筆頭に俺が出てくるの待っていたかのように舞台上に並んでいたのだ。
「優勝おめでとう『Re:rights』」
観客の歓声に紛れるような声で九十九はそう小さく呟くと目の前を向き直って観客の歓喜に声を傾ける。
司会者の声が耳の遠くで響きわたった。
「ついに『AFW』世界大会、東京予選の代表クランである2つのグループが決定しました!」




