『Re:rights』VS『TUDW』
俺たち三人はある程度地上を歩いた所でこのステージのメインとも言える地下鉄駅の中へと入っていくと人が全くいない地下鉄だが電車は時刻通りに到着して見えない客を乗せるように運行しているようで不気味に感じられた。
地下と言うことでどこか肌寒さを感じながら俺たちは警戒しながら駅のホームへと降り立ったその時だった。
「正面 スナイパー」
渉の声と共に正面から放たれる銃弾を俺たちは体を地面へと倒して避けるとそれぞれ素早く物陰に隠れる。
相手は最初の一発を撃つとそれ以上は撃ってこないので俺は物陰から顔をのぞかせてみるとその瞬間にカチリと言う音共に銃声が鳴り響きギリギリのところで俺は銃弾を避ける。
「待ち伏せされてたな」
俺たちが地下鉄の中へ入って来るのを見計らって先に待ち伏せをしていたであろう敵は顔をだして様子を伺おうものならすかさずスナイパーライフルで撃ち込んでくる。
距離的に考えてハンドガンで相手のことを狙うのは難しい、俺は渉と凛の二人に目配せすると大きく頷くと小さく呟いた
「行くぞ」
その言葉と共に俺は敵の前へと飛び出すとそのまま線路に飛び降りる形になると、それを狙う敵の銃口が俺に向けられる。
しかし、阻もうと物陰に隠れていた凛がハンドガンで数発放った。
その攻撃に相手が驚き牽制しようとしていたその時、もうひとつの発砲音が響き渡る。
マップを見てみると物陰からもうひとりの人間、おおよそに相手のリーダーの三上が俺とは逆の方向へと別れた渉へと銃撃を加えるが俺は瞬時にその場から三上を狙い牽制しようとした時だった。
「先輩!電車!」
「はじめ!」
二人の声が聞こえたと思った瞬間、俺は振動と明かりを感じて咄嗟的に首をその方向へと向けてみた。
するとそこには今にも俺に地下鉄の電車が差し迫って来ていたところだった。
このステージの特徴でもある地下鉄の電車はステージの建物の一部に過ぎないのだが、それが物質である以上はそれがあるものとして扱われる。
俺の事などお構いなしに電車はスピードを緩めることはない。それは、電車がプログラミングされた通りの時刻を走るためだ。
つまりは現実世界の時速40〜50kmの電車に轢かれるかそれ以上の身体的ダメージを受ける事になるだろうことは一瞬で判断出来る。
ホームの下を確認したが仮想空間だからかそこには人一人が入れるようなスペースはない、俺は瞬時に体を投げ出すように隣の車線へと逃げ込んだ、と次の瞬間に立っていた場所には電車が速度を落とすことなく通り過ぎていく。
その光景に俺は荒い息を抑えるために溜息をついたがしかし、目の前を見てみると、俺の行動を予想していたかのように俺が逃げ込んだ車線にも避けた電車とは逆報告からまた電車が迫ってきていた。
「くッ…」
唇を噛んだ俺は逃げ場所はないかと辺りを見渡して見たが右側には駅を通過する電車、左側にはコンクリートの冷たい壁が俺の逃げ道を塞いでいた。
通過する電車を待ち通過し終えた瞬間にその車線へと移動するにもそれまでに目の前の電車が俺の体に接触してしまうだろうことは簡単に予想がついた。
そんな中で、俺は大きく息を吸い込むと意を決し手早くウィンドを開くと武器コマンドから刀を取り出し手にすると同時にそれを逆手に持ち替えてそのまま目一杯力を込めて自分の足元に突き刺すとその刀の位置から少し後ろに下がる。
その間にも迫ってくる電車を睨み、タイミングを計るように小さくその場でジャンプをしていると電車と突き刺した刀との距離が約15メートルにまで迫ったのを見計らい全速力で刀の方へと走り出し、その勢いのまま大きく片足をあげて刀の柄の部分を踏み大きくジャンプをした。
それと同時に電車は刀と衝突を起こし大きな金属音を響かせ刺さっていた刀はいとも容易く吹っ飛ばされてしまう。
そんな中で、刀を土台にして高く蹴り上がった俺は天井スレスレの場所で体を小さくすると刀とぶつかりながらも尚、進み続ける電車の天井部分に体を回転させながらも受身を取って飛び乗るとそのまま中腰に身を起こすと、すでに先にきた電車が過ぎ去った後を確認すると電車の上から直接ホームの上へと飛び降りた。
体力ゲージを横目に体力が削れていないのを改めて確認すると俺は着地した地点から銃で狙われていることに気付きその銃口を見つめるように対峙すると三上は口を横に伸ばしながら言葉少なに口を開く
「まさか、あの状況で生きてるなんてね」
「なぁに、こんな所で死ぬくらいだったらここまで残ってないだろうよ」
「確かに…」
そう言ってニヤつく三上は俺と睨み合う。
辺りに張り詰める緊張感、一歩でも動けば三上は容赦なく銃の引き金を引くだろう。
大きく息を吸い込み全身の感覚が研ぎ澄まされると俺は素早く一歩を踏み出すとそのまま三上の元へと近づいていった。と同時に動きに合わせるように三上のアサルトライフルの引き金は引かれて連続して発射される銃弾が俺に牙をむいた
「凛!」
放たれる数発の銃弾に俺は走りながら凛の名前を叫ぶとその返事と共に後方から銃弾が飛んできて三上の銃弾を遮る。
その隙を狙い、三上との距離を詰めると大きく飛び上がり体を宙に浮かせて銃口を向けた。
しかし、相手はそれなりの実力を持ち合わせる敵でそんな簡単にやられる訳はいかない
敵は二人、三上よりも後方に構えていたスナイパーが俺の頭を狙うように銃口を向けてくる。
「頼んだ渉!」
俺の言葉よりも先に、渉は動き敵のスナイパーの元へと飛び込んでいくとそのまま数発の銃弾を放ち見事に頭を打ち抜いた。
そんな光景を横目に心の中で渉をほめたたえながら俺は銃口を三上に向けた時だった。
「こんなところで」
銃口を向けられた三上は小さくそう呟くとアサルトライフルの銃口を俺に向けた。
距離にして数メートルもない、そんな中で最後の意地を見せた三上と俺は銃口を向け合うと同時に銃弾を引いた。
交わるように放たれた二つの銃弾はそれぞれの相手の身体へと一直線に向かっていき、そしてほぼ動じに着弾する
「くッ…」
三上から放たれた銃弾は俺の右肩付近を貫き体力バーを削り、俺が放った銃弾は三上の頭部を貫通する。それに伴って三上の体力ゲージは一気に0の値を示した
「やるな…」
三上は最後にそうつぶやき、ふッと小さく息を漏らし光となって消えていき。宙に飛んだ勢いそのままホーム上にぶっ倒れた俺は画面に文字が表示されたのを確認した。
「大丈夫か一」
近づいて来て手を差し伸べる渉に小さく溜息をつくと俺は右手で差し出された手を掴んだ。
「まぁ、余裕…じゃないけどな」
「 準決勝 勝者 『Re:rights』 」




