32話 王都に到着2
2016/4/22 全体修正
「じゃあさっきお頭を引き渡した分の報奨金を渡すな」
懐から革袋を取り出し俺に渡してくるキュアンさん
「やったな。この辺りではちょっと名前の売れた盗賊だったらしくて。金貨27枚ももらえたぞ」
「いえ、俺たちだけじゃきっと換金するのにも時間を取られだろうから、全部はもらえませんよ」
そういうとハハハと笑いキュアンさんは言い出した
「なに、子供がそんなに遠慮するもんじゃない。どうしても気になるっていうなら、今度俺らが困った時にでも何かで手伝ってくれればいいから。」
「そうですか...ではありがたく受け取らせてもらいますね」
「ああ、じゃあ俺たちはギルドに行くから、また顔を合わせることもあるだろう。またな!」
「はい、ではまた!」
俺とミラは体全体を使い大きく手を振りキュアンさんたちと別れた
「さて、ミラさんや。最終目的地を冒険者ギルドとして、何処から回るのがいいかな?」
「ん~。おなかも減ったし露店でも見ながらギルドに行こう?そして何処にどんなものが有るか覚えながら行くと、登録したての頃にやるギルドクエストが楽になるし」
「確かにそうだね。じゃあ道案内よろしくね、ミラ」
「はい!任されました!」
ニコニコしながら答えるミラの笑顔は子供らしさも相まって、本当に天使のような笑顔だ。中身が30歳のおっさんとはやっぱり違うね。
ミラの後をテクテクとついて歩き、様々なものを見る。おいしい食べ物から、どう見てもぼったくりだろうと思えるものまで。
なんせ俺には鑑定があるから、ただの奇麗な石を『病の治る治癒石』などと言われ売られても騙されないしな。そうこうするうち、俺たちはコメット魔法学院と大通りを挟み反対側にある剣術学院の前に来る。
ちょうど通学時間だったのか、各学院の制服を着た子供たちや、どう見ても貴族のボンボンらしき子が無駄に派手な馬車から降りてきているのを見かけた。
「ちょうど通学時間だったみたいだな。後半年後からは俺たちもここに通うのか...ミラは魔法と剣術どちらに通うんだ?」
「私は魔法かな。マサトももちろん魔法だよね?」
なんだ...この無言の圧力は...
「もちろんだよ。ベルさんにはお世話になったし、ミラを守る約束もしたしね」
「うん!私嬉しい!絶対一緒に合格しようね!」
ふー、流石ベルさんの娘、顔は笑っているのにすごい圧力を感じた。そもそも、ここで断ったのがベルさんにばれたらそれこそ命はないしな。俺にそもそも選択肢はありません
「さて、学院も見たことだしそろそろギルドに行きますか」
俺がそういうとミラが俺の背中に隠れ抱きしめてきた。あれ...ミラさん?これは一体何のつもりですか?周りの学生の視線が痛いのですが...
ああ、そう言う事か、俺目線から見ても可愛らしいミラだ。学生たち、近い年齢のやつらからしたら、それはそれはまさにアイドルと言っても差し支えの無い位だろう。
今まではきっとベルさんが近くにいたからそちらに目が行っていたか、ベルさんが注意を払いごく近しい者としか接触してこなかったと見える。ギルド内ならベルさんの事知らない人いないだろうから、手出しするのは不可能だと分かるしね。
ベルさんがいないとミラはまだ子供だ、好奇の目線に耐えるのはきついだろう。
「ミラ、大丈夫だよ。ミラを守るって言っただろう?」
「うにゅ...早くギルドに行こう?」
うは!ヤバイわこれ!なんか子猫みたいで可愛すぎる!
「おい!そこのお前!そいつをよこせ!お前にはもったいない!この高貴なる俺様の妻となるにふさわしい美女だ!お前みたいな平凡で何の取柄も無さそうなものが近づくんじゃない!」
え?何言っているのこいつ?よくある小説のおバカ貴族か?しかもミラの事を物扱いしやがった。この場にベルさんがいたら一瞬でミンチだぞ?
(^◇^)
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