あらすじ
他人の夢に潜入して、その記憶を引き出し、あるいは暴く。
「夢企業 獏」。
そんな怪しげな会社に沢谷祐司はいた。
サキチやピナという優秀な仲間と依頼をこなしていた祐二だったが、ある日、彼は自分の夢に潜入される。
潜入者はナルという少女だった。
幾度か、ナルの潜入を食い止めた祐司だったが、ある日、ナルは彼に意外な事実を告げる。
彼こそ、潜入システムの開発者なのだというのだ。
祐司には恋人がいた。
比津実成美というその女性は、日本最大の企業グループ、「比津実」の創始者の孫娘だった。
潜入システムは祐司と彼女によって作成された。
だが、彼女は交通事故によって死んでしまう
それは彼女の莫大な資産を狙う派閥による陰謀だった。
潜入の巨大な可能性に目をつけた某国の軍が比津実に接触、その技術を買い取ろうとするが、祐司達は拒否。
だが、莫大な金額を提示された比津実の強行派は成美を殺すと同時に、祐二の夢に潜入。彼の記憶から成美や潜入システムに関するものを削除してしまう。
それを行ったのが、成美の双子の妹、亜由美=ナルだった。
亜由美は、姉の彼氏・祐二に恋していた。だが、姉に対する祐二の恋は揺らがない。苦しむ亜由美に、強行派は近寄った。そして「姉に本当の危害は加えない」という亜由美との約束を無視して、彼女を事故にあわせたのだ。
記憶を消された祐二は、「獏」に誘導されて、一般社員として監視されていた。
これからの計画をナルは祐二に告げる。
姉のいなくなった今、双子として同じ肉体をもつ自分に姉の記憶を流し込む。
そうして、自分が祐二の恋人に収まる。
そこまでするか、と主人公は激怒する。
だが、亜由美の本当の願いは自分の幸せではなかった。
姉の記憶を流し込むと同時に、彼女は、自分の記憶を消してしまうつもりだった。姉の記憶に自分の肉体を明け渡し、自分は消えてしまうつもりだったのだ。
ナルは、自責の念に苦しみ、自分を消して、彼を幸せにしようと願ったのだ。
再び祐二の夢に潜入して、成美の記憶を引き出すナル。
だが、成美の記憶が蘇り、彼女が亜由美を心から愛していたことを知る。彼女が死に際してなお、妹を心配し、その幸せを願っていた。祐二は、ナルが自分の体に記憶を流し込むことを止めさせ、自責に苦しむナルを抱きしめるのだった。




