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5話

◆5話


「お腹すいた〜!」


長崎駅に降りたトモミは叫ぶように訴えた。


もう昼だから、彼女の訴えも至極もっとも、私たちは昼食を食べることにした。


私たちが向かったのは長崎一の繁華街である思案橋アーケードから、


少しだけはずれたところにある『T』というレトロな喫茶店だ。


そこは、長崎名物の1つである、トルコライスで有名な店だ。


トルコライスというのは、バターピラフにスパゲッティ、カツにカレーソースを一緒に盛りあわせた、


いわばお子様ランチの大人版みたいな長崎名物の洋食だ。2人ともそれを注文する。


ボリュームがあるなとは思ったが、各メニューの味を混ぜ合わせた味は新鮮なような懐かしいような感じで全部たいらげてしまった。


「それだけ食べられれば大丈夫やね」


トモミは笑った。


「……で、このへんで猫が出そうで写真映えするところってあると?」


「そうねえ……。寺町とかR通りかなあ」


ということで、昼食後、私たちはアーケードの北に当たる寺町まで歩いてきた。


前に来たときにこのあたりで猫を撮影してたからだ。


賑やかなアーケードから5分ぐらいしか歩いていないのに、あたりは静かで文字通り古い寺が並ぶ通りになった。


洋館や中華街とは違った長崎ならではの和の風情を、ケンジが気に入っていたのだ。


通りと寺の角を境にして小さな上り坂がいくつか分岐している。


『R通り』と幕末の維新の有名人の名前がついた小さな坂を登ってみる。


坂は途中から延々と続く階段になっている。


坂の両隣は民家が連なっている。


単なるブロック塀なのに岩のように苔むしてゆかしい風情が漂っているのが、なんともいい。


日ごろの運動不足か、気温はそれほど暑くはないのに汗ばんでくる。


「ユウコ、ちょっとまってよ〜」


私は少し急ぎすぎたようだ。


トモミの息があがっている。私も少し下を向いて息を整えた。


そのときだ。私の目に、彼がいつもつけていたミサンガが飛び込んできた。


私はとっさに顔をあげた。


それをつけていたのは




女性→12話へ


猫→13話へ

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