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15話

◆15話


呼び止めた私に気付いた彼女は


「何かしら?」


と悪びれもせず、立ち止まった。


私のほうを見た、その顔を見てあらためてハッとする。


それほど綺麗な女だった。


長い黒い髪に磁器のように白くなめらかな肌、小さなうりざね顔に黒目がちの瞳。


古風な顔立ちの、和服が似合いそうな美人だった。


でも、正直言って、ミサンガはあまり似合うとは思えないのは私の僻みだけではないだろう。


だけど……さっきから心臓が暴れ出している。


脇にはじっとりと汗。これは坂道を歩き続けたからだけではない。


坂道が……路地が……ゆがんでいく。私は貧血のように体中が急速に冷たくなっていくのを感じていた。


この女は、ケンジの何?


ケンジの何かを知っている?


期待と恐怖が相反して私の中に渦巻いた。


呼び止めたくせに、何も言わないで沈黙している私のほうを、女は次第にけげんな顔で見始めた。


怪しまれてはいけない。


そう思うけど、なかなか声がでない。言葉が……思いつかない。


「あの、その腕につけているミサンガなんですけど……」


悩んだ挙句、私は、ようやく無難な言葉を選ぶことができた。


「ああ、これ」


女はそれがついた腕を自分の顔の前に上げた。


その腕も信じられないくらい細い。全体的に女らしい骨格なのだろう。


その目で、彼女がそれをとても気に入っているということがわかった。


女は、そのミサンガについて





「拾ったのよ」と言った

→19話へ


「プレゼントよ」

と言った→20話へ


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