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コミュ障、異世界転生で存在消失す ~透明人間はスローなライフも思いのままでした~  作者: 好きな言葉はタナボタ


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第67話 ヒロサセ少尉の《支配》

何気なくポケットに手を入れたフロスト中尉の指先に、何か硬い物が触れる。


「あら、また指輪《発信器》がポケットに。 ほんとにもう、あの子ったら」


中尉はいま、アリスの教育の進捗状況をガブリュー大佐に報告するため軍庁舎に来ていた。 「あの子」とはアリスのことだ。 中尉はアリスの姿を見たことは無いが、その言動からアリスに子供のイメージを持っている。


「今頃どこをほっつき歩いてるのやら。 今度は少しきつめに叱らないと」


フロスト中尉は目的の部屋を目指して庁舎の廊下を歩きだし、その後にアリスも続いた。


さっき講習が終わったとき指輪をフロスト中尉のポケットに放りこんでから、アリスはずっと中尉の後ろについて歩いていた。 理由はアリスにも分からない。 解放感を味わうためかもしれない。 自分の意思であえてフロスト中尉のそばにいることで解放感を味わうわけだ。


部屋に着いたフロスト中尉は、ドアをノックする。 コンコン。


「入りなさい」と室内から(いら)え。 中尉はドアを開けて室内に入り、その後に当然の顔をしてアリスも続く。


部屋の中では、ガブリュー大佐が立派な執務机の革張りの椅子に座っていた。 大佐は机の上で手を組んでフロスト中尉に言う。


「報告を聞こう」


中尉は、その日の講習でのアリスの素行について大佐に事細かに報告した。


「――という有様です。 先ほども、この指輪《発信器》を私のポケットに」


「ふむ。 思わしくないな。 ヒロサセ少尉の《支配》も検討したほうが良いかもしれん」


ガブリュー大佐の言葉に、フロスト中尉は少し早口で意見を述べる。


「表沙汰になったときのリスクを考えれば、ファントムさんの《支配》は極力控えるべきかと」


「わかっている。 が、リスクに比べてメリットが大きい」


「サワラジリはともかくヒロサセ少尉はすでに我が軍の士官です。 《支配》は早計では?」


「あくまでも検討だよ。 今後の教育の成果しだいでは《支配》は必要ない」


アリスは中尉と大佐の会話に聞き入っていた。 何しろ自分を《支配》しようとする計画が話題にのぼったのだ。 それに、大佐と中尉の口ぶりからするとエリカを支配する計画も進んでいる。


「ヒロサセ少尉が今どこにいるか見当は付いているのか?」


(ここにいてるで(いるよ)


「夜には官舎に戻って来るはずです」


「少尉は貴重な特殊人材だ。 常に居場所を把握して厳密に管理せねばならん。 発信器を少尉の体に埋め込めればいいんだが」


(何を勝手なこと言うとんねん(言ってるのよ)。 その前に逃げ出し(てや)る)


アリスはこの町から逃げ出すことを決意した。 ただし、すぐにではない。 逃げ出す準備が必要だし、エリカに《支配》の計画を知らせねばならない。


(エリカさんと逃げ出す相談をしよう。 あたし1人やと、どこに逃げたらええかもわからへん)


大佐と話を続ける中尉をその場に残し、アリスはエリカの家へ向かった。

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