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コミュ障、異世界転生で存在消失す ~透明人間はスローなライフも思いのままでした~  作者: 好きな言葉はタナボタ


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第64話 ジビエの町にて

町を出た翌日の夕方、エリカはジビエの町に到着した。 目的地の塔はこの町から北に4時間ほどの場所にある。 ジビエの町で一晩を過ごし、明日の朝に塔を目指すのが良いだろう。 昨晩は野宿だったが、今晩はベッドで眠れる。


「野宿は往復で1回ずつだけかな」


しかしエリカにとって、野宿は大した苦労ではなかった。 あらゆる生物の知覚を免れる彼女はモンスターにも野獣にも蚊にも毒虫にも襲われないし、この異世界は気候がずっと温暖なので、野外でも敷物が一枚あれば割と快適に一晩を過ごせる。


                 ◇❖◇❖◇


ジビエの町で宿を取ったエリカは、風呂屋に行ったり飲食店に行ったりして旅の疲れを癒やした。 どの店もミザル市の店と違ってエリカのベルによる意思疎通に不慣れなはずだったが、エリカは驚くほどスムーズに自分の意思を従業員に伝えることができた。


例えば、こんな具合である。


チンチン(あのー、すいません)


「ベルの音? どこからだろう」


ちんちん(あなたの目の前よ。 わたしファントムさんなの)


「ファントムさんですって!? 実物を見るのは始めてだなあ」


チチん?(見えてないよね?)


「まあ見えてはいませんけど。 それはともかく、いらっしゃいませファントムさん。 本日はお泊りですか?」


チン(はい)


「お一人様ですか?」


チン(はい)


「それではシングルの部屋をご用意させて頂きます」


チーン(お願いします)


いつの間にかエリカのベルの腕前は達人の域に達していたのだ。 これまでミザル市の特定の住人ばかりを相手にベルを使っていたから自覚する機会が無かったが。

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