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コミュ障、異世界転生で存在消失す ~透明人間はスローなライフも思いのままでした~  作者: 好きな言葉はタナボタ


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第60話 報酬は?

一通りの説明が終わったので、エリカはナップサックから筆記用具を取り出して筆談を開始した。


『報酬は?』


「入手したエテルニウム製の剣がエリカさんのものとなります」


『それって何か変じゃない? エテルニウムの剣は私が自力で入手するんでしょ? 自分で自分の報酬を見つけるって変じゃない?』


「エテルニウムの剣の所在に関する情報が今回の報酬。 そう考えて頂ければと思います」


『意味がよくわかりません』


「えーと、ハンター協会がこの話をエリカさんに持っていかなければ、エリカさんはエテルニウムの剣の場所も、エテルニウムの剣がそもそも存在することすらも知らなかったわけでしょう?」


『そうなるわね』


「その場合には、エテルニウムの剣を入手できませんよね?」


『そうなるわね』


「本来は入手できなかったエテルニウムの剣を入手できるようになる。 それが今回の報酬なわけです」


いまいち納得がいかなくてエリカが押し黙っていると、ビマルトは言葉を付け加える。


「剣の価値が10億ゴールドだとして、10億ゴールドの価値がある情報ですよ」


『1億ゴールドじゃなかったかしら?』


「いえ、10億ゴールドはすると思いますよ」


『そう? わかったわ』


「わかった」と言った(書いた)ものの、エリカはビマルトに上手く言いくるめられている気がして仕方なかった。


(なんだかスッキリしないわね。 エテルニウムの剣が本当にあるとも限らないのに...... エテルニウムの剣が塔にあるってクライアントが言ってるだけで、そのクライアントが胡散臭いんでしょ? もし塔に剣が置かれてなかったら―― あっ!)


エリカは大変なことに気が付いた。


『塔に剣がなかったらどうするの? 私の剣じゃ金属モンスターを斬れないわよ』


「そのときは何もせず塔から引き上げてくださって結構です」


『私の報酬はどうなるの?』


「残念ながらゼロです」


『片道3日もかかるのよ! 壮大な無駄足じゃない』


「じゃあ、こうしましょう。 剣が見つからず金属モンスターを壊せなかった場合、『アーティファクト探索』の依頼が不純だという証拠を塔から見つけだせれば50万ゴールドを支払いましょう」


『証拠って?』


「それは...... 私にもわかりませんが、何らかの証拠です」


『あんまりじゃないかしら。 何をもって証拠とするかが曖昧なうえ、往復6日で50万ゴールド? 1日あたり8万ゴールド? オーク4匹ぶん?』


「内密の依頼なので、あまり大金を出せないんですよ。 エテルニウムの剣はきっとあるので、基本的には10億ゴールドの依頼です。 依頼人を信じられなくても私を信じてください」


『「アーティファクト探索」の依頼をボードに掲示しなければ、これ以上の犠牲者は出ないのでは?』


「......依頼の掲示を拒否する理由が無いんです。 窓口に依頼を持ってきたパーティーを思いとどまらせようと説得するぐらいしか出来ません」


『他の人に頼めばどうかしら?』


「エリカさんが最適なんです。 金属モンスターを倒せるパーティーがいないとは言いませんが、正面から戦えば必ず犠牲者が出ます。 エリカさんなら、金属モンスターに気付かれることなくエテルニウムの剣を見つけ出し、それで奴らを斬り伏せられます。 でしょ?」


『塔の中に倒すべきモンスターと、倒すための武器が揃ってるなんて都合のいい話ね』


「そうですね」


『そもそもエテルニウムって何なの? そんなに良く切れるの?』


「あら? エリカさんはエテルニウムをご存知ない?」


道理でこの話に食いつかないわけだ。 ビマルトは嬉々としてエテルニウムの説明を始める。


「水にびない・酸に溶けない・高熱に強い・軽い・硬い・頑丈と6拍子揃った金属。 不朽不滅の永遠の金属、それがエテルニウムです。


「しかし同時に極めて希少な金属で、エテルニウムの懐剣ですら帝国の至宝。 つまり、帝国が八方はっぽう手を尽くしてエテルニウムをかき集めても、懐剣サイズの剣を作る量でしかなかったのです」


ゴトリ。 エリカの胸の辺りで重い音がした。 ビマルトの説明に、まんまと心を動かされた。 今やエリカはエテルニウムの剣が欲しくてならない。


『仕方ないなー。 じゃあ、エテルニウムの剣を取りに行きますか』


「ありがとうございます。 ですが、お忘れなく。 主目的は金属モンスターを倒すことです」


『わかってるって』


ビマルトは1枚の紙をテーブルの上に置く。


「こちらが塔までの地図です」


『オッケー。 じゃあ、行ってきます』


エリカは地図を手に取り、そそくさと応接室を出て行った。

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