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コミュ障、異世界転生で存在消失す ~透明人間はスローなライフも思いのままでした~  作者: 好きな言葉はタナボタ


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第44話 お風呂屋さん

喫茶店を出たエリカはアリスを伴って、弁当屋の隣の店へと赴いた。 アリスが商店街全体の万引きを取り締まるというアイデアを、まず弁当屋の隣の店へ持ち込もうというのだ。


「弁当屋の隣の店」と何度も繰り返すのもまどろっこしいので、ここで「弁当屋の隣の店」の正体を明らかにしておこう。 「弁当屋の隣の店」は、うむ...... そう、雑貨屋である。 「弁当屋の隣の店」は色々な雑貨を取り扱う雑貨屋さんであった。


その雑貨屋にエリカは、万引き取り締まりのアイデアを持ちかけた。 エリカが親しくしている商店主など特にいなかったし、雑貨屋さんの人柄が弁当屋さんとは対照的に穏やかであると思われた。


雑貨屋さんはエリカが店先に置いたメッセージを読んで言った。 弁当屋に聞こえないように小さな声だ。


「ふむふむ、2号さんを万引きGメンにね。 良いアイデアだと思いますよ」


(私もそう思います)


「ただ、2号さんに万引きの取り締まりを任せるのを不安に思う人もいるでしょうねえ。 これまで万引きを繰り返していたから」


(うーん)


「いずれにせよ、商店街全体の意見を聞いてみなくては。 1号さんのアイデアを商店街の今度の寄り合いで提案してみましょう」


『次の寄り合いはいつですか?』


「きのう寄り合いがあったばかりだから、次は2週間後ですね。 寄り合いは月に2回なんですよ」


                ◇❖◇❖◇❖◇


エリカとアリスは、アリスが住む廃屋へ来ていた。 アリスがこの2週間をどう()()()かを相談するためである。 アリスが盗んだ飲食物やその空き容器が散乱する台所で、エリカとアリスは筆談を始める。


『さて、アリスちゃんの今後2週間の生活費についてなんだけど』


『万引きGメン代を先払いしてもらうのは?』


『無理よ。 万引きGメンに採用されるかどうかが未定なんだから』


『じゃあ、この2週間は万引きがバレないように気を付けますね』


『ダメよ。 万引きはしないで。 こっちにも()()()()()が来るの。 それと、Gメンになって収入が入ったら、これまでに盗んだ商品の代金を各商店に支払うのよ?』


『えー、金額を覚えていません』


『金額は大体でいいから。 私もちゃんと返金したの』


『なんだエリカさんも万引きしてたんじゃないですか』


『そりゃあね。 最初は仕方ないじゃない。 着の身着のまま、っていうか全裸だったし』


『私はその仕方ない状態が続いてるんですけど』


『2週間分の生活費は私が貸してあげるから』


『それなら前にもらった10万ゴールドがあるので、貸してくれなくても大丈夫です』


『剣は買わなかったのね』


『店頭で剣を持った時点でムリだとわかったので』


『じゃあ、アリスちゃんは今後2週間を10万ゴールドで過ごすということで、また2週間後に会いましょう。 くれぐれも万引しないでね』


『待ってエリカさん』


『どうしたの?』


『この町にお風呂屋さんってないですか?』


『宿屋街の近くのお風呂屋さんなら知ってるけど。 この廃屋はお湯が出なかったっけ?』


『そうなんです』


『ということは、こっちに来てからアリスちゃんは一度もお風呂に入ってない?』


『水に濡らしたタオルで体を拭くぐらいです』


『アリスちゃんがこっちに飛ばされてから何日になるのかしら?』


『もう何日にもなります』


                ◇❖◇❖◇❖◇


エリカとアリスはアリスの家を出て、チンチンとベルを鳴らして互いの居場所を確認しながら町を北上し始めた。 通行人はチンチン音に驚くものの、商店街のときと違って音の原因がファントムさんだと知らないため2人の後を付いて来ることはなかった。


南の商店街から宿屋街にある風呂屋までエリカの歩行速度なら30分もかからないが、アリスのペースに合わせると60分ほどもかかる。 夕暮れが迫りつつある中を、エリカとアリスはチンチンと歩き続けた。


エリカの家は宿屋街からそう遠くない場所にある。 エリカは少し寄り道をして自宅の場所をアリスに教えておくことにした。 この世界には電話に酷似する魔道具「テレホン」があるけれど、エリカもアリスも会話をできないから連絡を取るには直接会って筆談するしかない。


(少し寄り道になるけど、アリスちゃんに私の家を教えておきましょう)


エリカは自分の家までアリスを誘導して来ると、ナップサックから筆記用具を取り出した。


『ここが私の家よ。 何かあったときのために覚えておいて』


(うわー、エリカさんええ(良い)家に住んでる(んだね)ー。 ハンターって稼げるねん(んだ)なー)


                  ◇❖◇


エリカはアリスを風呂屋まで無事に送り届けた。 案の定アリスは風呂屋代を持ってきていなかったので、1千ゴールド硬貨を渡しておいた。


『ちゃんと代金を払って入るのよ?』


                ◇❖◇❖◇❖◇


風呂屋でアリスと別れたエリカは思う。


(私って面倒見がいいのかしら? 前世では人に頼られることが皆無だったから自分でも気付いてなかっただけで...... まあでも、アリスちゃんの世話を焼くのは、半分は自分の世間体のためだよね)


夕食を作るのが面倒だったので、エリカは夕食を北の商店街で買って帰ることにした。 今日の夕食はカツサンドとトマトサンドと牛乳だ。 デザートはオレンジとリンゴとチョコレート・ケーキ。

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