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コミュ障、異世界転生で存在消失す ~透明人間はスローなライフも思いのままでした~  作者: 好きな言葉はタナボタ


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第18話 エリカの判断ミス

お世話になった(万引きした)商店街を通り過ぎてエリカは歩き続ける。 南門までの道順を知らないので適当に南のほうへ。


30分ほど歩いてエリカは町の南端にたどり着いた。 目の前には防壁がそびえ立っている。


「この防壁に沿って歩けば南門に着くはず。 西と東どっちに行こう?」


とりあえず東に進み始め、しばらく歩くと南門が見えてきた。 門のつくりはいつも通る西門にそっくりだが人通りが少なく警備兵が多い。 10人近くもいる。 それに、ときおり門を出入りしているのはハンターばかり?


「西門より危険ってわけか」


                  ◇❖◇❖◇


エリカは数人のハンターに混じって南門を通過し野外に出た。 風景は西門から出たときと大差ないが、整備された街道は無い。 自然道が南に向かって延びているだけである。


南門エリアの勝手がわからないエリカは、例によって他のパーティーに付いて行くことにした。 今回のターゲットは女性ばかりが3人のパーティー。 メンバーの名前はセリ、ナズナ、そしてスズナで、パーティー名は『ナナクサ』。 いずれも彼女たちの会話から推測した。


『ナナクサ』は、エリカが西門で冒険を共にしたパーティーと雰囲気が違った。 何気ない動作が鋭く、歩く速度も速い。 エリカが自分のペースで歩くと、すぐに彼女たちに引き離されてしまう。


早足としか思えないペースで歩きつつも、『ナナクサ』は楽しげに談笑している。 いわゆるガールズ・トークだが、トークに登場する人物を知らないエリカには大して面白くもない。 彼女は黙々と『ナナクサ』の後に付いて歩いた。


トークが中断したとき、セリが言う。


「さて、そろそろモンスターを探しましょうか」


「オッケー」とナズナが答え、何やら呪文を唱えだした。「ニョムニョムニョクマム...」


呪文を唱え終わったナズナの全身をほのかな光が包んだかと思うと、その光が霧散する。 ナズナはじっと目を閉じていたが、やがてあちこちを指差しては矢継ぎ早にモンスターの所在を伝え始める。


「あっちに大きなモンスター反応、そっちには手頃なモンスター反応、こっちは雑魚。 大きなモンスター反応は私たちの手に負えないわ。 素直に手頃なのにしておきましょ」


「了解。じゃあそっちに向かいましょう」


『ナナクサ』の3人が「そっち」に歩き始めたのでエリカも付いて行く。 歩きながらエリカはナズナが使った呪文について考える。


(さっきのはモンスターの所在を探知する魔法? あれがあれば、もっと効率的に狩りができる...)


                  ◇❖◇❖◇


自然道から外れてしばらく「そっち」に向かって歩いていると、セリが声を上げた。


「いたわ。あれね」


見れば遥か遠くに何かの生物がいるようだが、エリカの視力ではよく見えない。 本当にあれが見えているのなら、セリの視力は驚異的である。


ナズナがセリに尋ねる。


「モンスターの種類は? 私の勘だとオークなんだけど」


「正解。オークよ。3匹。 確かに手頃な相手ね」


「あのオークを狙ってるハンターが他にもいるかも。 急ごう!」


そう言ってセリが歩みを早め、残る2人もそれに続く。 それにエリカが続く。


近づくとエリカにもオークの姿がはっきりと見えた。 大きい。 体長が2m近くもあり、体つきも逞しい。 体重が200kgぐらいありそうだ。 ラットリングとは比べ物にならない迫力である。 そしてオークの容貌は醜悪だった。 ゴリラを邪悪にしたような顔つきだ。 知性を感じさせる眼差しは、悪意に満ちている。


オークは3匹とも槍や剣といった武器を手にしていたが、『ナナクサ』の接近に気付くと武器を地面に置いた。


(武器を置いた? どうするつもり?)


エリカの疑問に答えるかのように『ナナクサ』の誰かが警告する。


「石を投げてくるわよ、気を付けて!」


警告の通りだった。 3匹のオークは地面の石を拾うと『ナナクサ』めがけて投げつけてきた。 エリカの握りこぶしより2回りも大きい石が、猛スピードでエリカの耳のすぐ傍を通過したり足元の地面にドガッとめり込んだりする。


オークの足元には石がいくつも落ちているようで、「ブハーッ」とか「ブホッ」などという鳴き声とも言えない呼吸音を発しながらオークは石を投げ続けてくる。


『ナナクサ』の3人はオークが投げ付けてくる石をなんなくかわしながらオークとの距離を詰めてゆくが、エリカにそんな真似はできない。 首をすくめて投石に怯えながら『ナナクサ』に付いていく。


やがてエリカは名案を思いついた。


「いいこと思いついた!」


エリカはセリの真後ろを歩くことにした。 セリに盾になってもらう。 弱者の知恵である。


                  ◇❖◇❖◇


しかし、その行動は間違いだった。 オークが狙っているのはエリカではなく『ナナクサ』だから、『ナナクサ』から離れるのが正解だった。


エリカはセリを狙った投石に殺された。 セリが常人離れした反応速度で躱した投石が、セリの真後ろに隠れていたエリカの頭部を直撃したのだ。 頭蓋骨を粉砕されてエリカは即死した。

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