プロローグ
葵生です。
新作となります、よろしくお願いします。
「今夜は、あの暴君だと有名な、アリシア皇女殿下も出られるそうだ」
「まあ、あの? 散々なことをなさってきたそうですわね」
「本当に悪女と言う言葉がぴったりの方だそうですわ」
ひそひそ。ひそひそ。
煌びやかで華やかに、幻想的に作り上げられた夜会の世界。しかし、そこでは悪口、愚痴、根も葉もない噂が蔓延っていた。
「全く・・・くだらないわ。そんなことをしている暇があったら、政策の一つや二つ、考えれるのではないかしら?」
会場の扉の前で、可憐で良く通る声で吐き捨てる少女。
「まあまあ、抑えてくださいよ。また悪女と言われたら、貴女さらっと嫌味言っちゃうでしょ。僕は出来る限り黙っててほしいんです」
「当たり前でしょう?」
「マジでやめて」
はあ、と大きなため息をつき、キリキリと痛むらしいお腹を押さえている少女の従者。
彼は少女のパートナーも務めるため、華やかな格好をしている。
「良いんじゃありませんか? だって、殿下の嫌味って、スカッとするんですもの。聞いてる方は楽しいですわよ?」
「そーゆう問題じゃねえだろ!」
「言葉遣いが悪いわよ、ケヴィン」
横で少女と従者が話していたのをコロコロと笑いながら、良いだろうと言うのは少女専属の侍女だ。従者は、咎められたことを素直に謝罪した。
「すみません、殿下。つい」
「ところで、いつ入れるのよ、これ? 陛下がいらしてしまうわよ?」
「すぐ確認させます」
従者はそういうと、部下を走らせた。侍女は、少女の身だしなみを確認している。
「ほんと、殿下は素材が良すぎますからねー。ドレスなども本当ならばもう少し、華やかなものでも良かったんですが・・・」
「それは嫌よ。なんか、目立ちたい人みたいじゃない?」
「って仰るから・・・。まあ、良いですけどねー。とてもお綺麗ですよ、殿下」
「ありがとう」
侍女と少女が優雅に会話をしていると、従者が真面目な顔をして報告した。
「すみません、殿下。どうやら、アレが起きているようでして・・・」
従者の言葉に、少女は輝くような翡翠の瞳をきらり、と瞬かせると。
「よし、行くわよ!」
可憐な見た目の少女が、今夜もまた舞う。軽やかに、華やかに立ち回る彼女の物語をどうぞご覧あれ。
次に続きます。




