95.旅立ち
翌日昼前に組合に行くと、相変わらずの塩対応の受付嬢に街の復興依頼を受ける手続きをしてもらい。真面目に働く。昨日の事があるからか男組合員の姿は組合にはほとんどなかった。
そうして依頼を終えて帰ってきた俺はいつもの面子でダラダラと過ごしていた。
「へえー。組合長が一番だったのかい」
「そうだぜ、モレリア。マジで言葉通りオーク並だ。凄かった、全員見ただけで負けを認めたんだからな」
「ふーん」
・・・・あれ?モレリアの奴リアクション悪くねえ?普段ならメッチャ食いついてくるのに・・・体調悪いんか?
その異変に俺以外にゲレロもトレオンも気付いた。
「あれ?それだけ?」
「お前いつもならもうちょっと反応するだろ?どうした?」
不思議そうに聞く二人にモレリアが妙に色気のある顔で答える。
「ああ、見たいものはもう見たからね。欲を言えばもっと見たかったけどシリトラに怒られたからこれ以上は望まないよ」
「・・・・・・・・・・・・・ああ、うん」
「・・・・・・・・・・・・良かったな」
モレリアのその言葉にトレオンもゲレロも何故か納得した顔だ。
え?何が?
「ちょっと待て!お前ら何が分かったんだ?俺全然分かんねえんだけど?」
「お前には教えねえよ!」
「自分で考えろ!」
「ウフフフ、これは僕の口から言えないかなあ」
ゲレロもトレオンも今の口ぶりから教えてくれなさそうだ。モレリアはくねくねして気持ち悪いから聞きたくねえ。どうせまともな答え返ってこなさそうだしな。
その後もダラダラとくだらねえ話をしていたら、不意に組合に大声が響いた。
「皆さん!注目して下さい!今から重大な発表があります!」
おお?何だ?・・・アーリット達?
組合長の発表の立ち位置に今日はアーリット達『全てに打ち勝つ』の連中が並んでいる。俺も組合員は長いがあそこに組合長以外が立って何か言うのは見た事ねえ。見れば周りの連中も何事かと黙って注目している。
そうしてある程度注目が集まった所でアーリット達が話し始めた。
「僕達!」
「私達は!」
「明日」
「王都に」
「「旅立ちます!」」
おいおいおい、何だこれ卒業式とかの呼びかけじゃねえか!!
「初めて受けた!」
「「無級依頼!!」」
「みんなで受けた!」
「「護衛依頼!!」」
「どれもコーバスで学んだ大事な思い出です」
「この思い出を忘れず!」
「僕達!」
「私達は!」
「旅立ちます!!」
もうね、アーリット達の訳分からない行動にベテランでさえ口がポカーンだ。俺?俺は何故か恥ずかしすぎて両手で顔抑えてる。
「私達が旅立っても」
「「「「「「皆様が元気に過ごしてくれる事を願います!」」」」」」
最後全員でそう締めて良く分かんねえイベントは終わった。
もうね、これ明らかに日本の卒業式の呼びかけ知っている奴がいるだろ!!
アーリット達の中に転生者はいねえ事は前に確認したんだけど、もしかしたら俺の転生者チェックを逃れた奴がいたのかもしれねえ・・・・いや、ねえな、俺の転生者チェックにみんな何言ってんだこいつ?って顔してたもんな。
そんな事を考えていたら、みんな今の出来事を話題にし始める。
「何かと思ったら移籍かよ」
「聞いて損した。そんなん勝手に行けよ」
「あのヘンな話し方何だよ」
みんなそう言うよな。普通移籍なんて、言っても受付嬢か親しい奴だけだ。普通は『あれ?あいつら最近見ねえなあ』、『ああ、あいつらなら移籍したらしいぜ』って感じで知るのが一般的だ。
「ほらあ!馬鹿アーリット!誰も感動なんてしないじゃない!」
「恥ずかしいよお」
「ザリアの言う通りちょっと恥ずかしいですね」
「そうっすか?自分こういうの好きっすけどね」
「みんな泣いて別れを惜しむって嘘だぜ」
アーリットが仲間から今のを責められているって事は、あいつが思いついたのか!・・・・いや、あいつ俺の転生者チェックに引っかからなかったぞ?前世って単語にも反応しなかったし。たまたま思いついたのか?まあ、アーリットならそう言う事もあるか?
「あれ?エルたち、もう王都に行くのかな?もうちょっといるって話だったけど・・・」
「ああ!それ俺もザリアから聞いた!王都移籍は確定だけど、もうちょっと4級依頼こなした後だって」
「そう言えばカルガーも言ってたな」
何でこいつらそんな事知ってるんだ?俺聞いてねえぞ。まあ、聞いても『ふーん』で終わるけどな。
そうしていると、今度はアーリットだけが発表の立ち位置戻った。
「皆さん!先程も言いましたが明日僕達は王都に旅立ちます!今までお世話になりました!」
「だからもうそれは聞いたっての!何べん同じ事言うんだよ!」
「移籍したきゃ勝手に移籍しろよ!何でそこで発表すんだよ!構ってちゃんかよ」
「てめえらの移籍なんてどうでもいいんだよ」
まあ、全く興味ねえから連中からはボロクソに言われるわな。アーリットもこうなるって分かってて何でやるかねえ。
「いやあ、分かっていたけどみんな酷いなあ。最後だから今日は奢ろうと思っていたんだけどなあ」
その言葉にダラダラしていた連中が大きく椅子を鳴らして立ち上がる。
「ええええええ!マジで?アーリット達移籍すんのかよ!」
「チッ!寂しくなるな」
「もうちょっとここにいろよ。急すぎるだろ!」
「アーリットさん。行かないでくれええ」
「こういう時に真っ先に声をあげるのがベイルだよなあ」
「マジでこういう時の動き早えよな、こいつ」
ゲレロとトレオンは呆れている場合じゃねえぞ!てめえらも話に乗ってこい!
「みんなありがとう。それじゃあ、最後なんで今日は僕たちの奢りって事で、食べて飲んで楽しんで下さい」
「「「「「うおおおおおおお!!!!」」」」」
「本当、みんな調子いいわよねえ」
「エル、これが組合員っすよ」
アーリットの奢りに喜んでいたら、エルメトラ神とカルガー、エフィルがこちらにやってきた。
「トレオンさん、ザリアの所にちょっと行ってくれないっすか」
「ええー。面倒くせえな。ザリアがこっちに来ればいいじゃねえか」
「ベイルもゲレロもいるのにこっちに来れる訳ないじゃない」
エルメトラ神の言葉に色々言いたいが、何せ神の言葉だ、文句つける訳にはいかねえ。それにザリアがオークの件で俺とゲレロにビビり散らかしているのは聞いているからな。
「はあー、仕方ねえなあ」
そう言ってトレオンはかなり遠くにいるザリアの所まで歩いていった。
「師匠。お世話になりました」
「エルこそ元気でね。王都は中々面倒くさい場所だから気をつけて」
「クランですよね?他の人にも話を聞いたので大丈夫です。それに組合長からコーバスで鍛えられた私達なら大丈夫とお墨付きをもらいましたから」
「ああ、そうだねえ。よく考えれば、ここの連中の方が頭悪くて性質悪いから、王都の方がまだマシだね」
お?モレリア喧嘩売ってる?お前もその中の一人なんだけど?
「そう言えば、何で急に王都に行く事にしたんだい?」
「これ以上コーバスにいればアーリットとクイトが馬鹿になるからです。この間の酷い出来事の後、4人で話し合って決めました」
・・・・・・お、おう、なんか、ごめんよ。
■
「クワロには挨拶したのか?」
「さっきしてきたっす。ゲレロさん、お世話になりました」
「ガハハハッ!別に世話したなんて思ってねえから気にすんな。それよりも王都って事は実家関係は大丈夫なのか?」
「ドルの事っすか?親からの手紙だと大丈夫みたいっす」
「なら、いいか。まあ、何かあったら戻ってこい」
「はいっす。ありがとうございました」
ゲレロがカルガーにどつかれないなんて珍しいなあなんて思っていたら、今度は俺に話しかけてきた。
「ベイルさん。ジロウ達の事よろしくお願いするっす」
「ああ、今よりは遊びに行く回数増やしてやるよ」
「そうしてくれると助かるっす。あと、これからジロウ達は街道の見回りの仕事が始まるので、何かあればベイルさんにお願いするっす」
「何だそりゃ?」
初耳だぞ。
「ジロウとシロウ、サブロウとゴブ一に別れて街道の見回りっす。それで魔物や野盗がいればやつける仕事っす。これでコーバスまでの道はかなり安全になるっす」
「ふーん。良く分かんねえけど、分かった」
何かあればゴドリックや組合長から話があるだろ。ってあれ?タロウは?
「おい、カルガー。タロウはどうした?あいつだけ仕事しねえのか?」
「タロウは自分が貰ったっす。本当はみんな連れて行きたかったっすけど、流石に駄目っていわれたっす」
そりゃあ駄目だろう。だって多分あいつら一匹が竜ぐらい強いぞ。そんなん5匹も連れて歩いたら王都で絶対大騒動が起こるぞ。・・・・タロウだけでも十分起きそうだけどな。
「でもジロウ達をジャイアントレッドウルフに進化させたら、また考えるって言ってたっす。ゴブ一は、ほら、自分の言う事聞かないっすから何かあった時に困るっす」
ああ、そう言う事ね。進化の方法を知りたいからジロウ達は駄目って言われたのか。でも多分ジロウ達はレッドウルフじゃない方に進化してんだよなあ。
「後、タロウがまた進化したら詳しく教えて欲しいってのも譲ってもらう条件の一つっす」
「本当にゴドリックは魔物馬鹿だなあ。あいつの魔物にかける情熱は何なんだよ」
「そのおかげでタロウ達と出会えたっす」
まあ、確かにそうだな。
「それではベイルさん、お世話になりました」
そう言ってカルガーが深々と頭を下げた。
「そう言うのはいらねえよ。気楽に行け。気楽に。そっちの方が組合員らしいだろ」
「アハハ、言われてみれば、そうっすね」
■
「先生。最後に何か卑怯技を伝授して下さい」
そんで、犬馬鹿の次は面倒くせえ卑怯馬鹿だ。いきなり無理難題言って来やがるし、適当言って乗り切るしかねえな。
「あー。エフィル、俺から教えられる事は全部教えた」
「・・・え?オーク使った卑怯技は?」
だからアレは違えって説明しただろ。こいつ人の話聞かねえなあ。こうなりゃ適当だ。
「アレは女のお前じゃ使えねえ」
「な、何でですか!!!」
「そりゃあ、オークだからだ。女のお前が近くにいるだけで、大興奮してお前に襲い掛かってくる」
「そ、そんな・・・」
何がそんなにショックなのかエフィルは膝をついて、呆然としている。そんなにショック受ける?この話?
「王都には俺以上に卑怯技に詳しい奴らがたくさんいる」
知らんけど、まあ人多いから多分いるだろ。その言葉に顔を上げて目を輝かせるエフィル。今の俺の言葉にそんなに嬉しい要素あった?
「コーバスと王都じゃ出てくる魔物も違うから、俺の知らない卑怯技も知っている奴もいるだろう。そいつらからしっかり学んで来い!」
「はい!分かりました!先生の教えを広めつつしっかりと学んできます。ありがとうございました」
そう言うと、エフィルは走ってどこかに行ってしまった。
「え?ちょ、俺の教えは広めなくていいんだよー」
■
翌朝、まだ日が昇ったぐらいだと言うのに俺が泊っている部屋の扉が乱暴にノックされた。
「うるせえなあ。入ってまーす」
これでよし。そう言ってまた深い眠りにつく。
だが、何かガチャガチャ音がするなあって思っていたら、扉が開いてエフィルとカルガーが部屋に入ってきた。
「ああ?何だお前ら?夜這いか?悪いが寝取りと貧乳には興味ねえんだ」
そう言ってまた眠りにつこうとしたら、頭に物凄い衝撃が来た。その衝撃で目が覚めると、カルガーが盾を構えていた。多分盾でどつかれたんだろう。ゲレロの奴平気そうな顔してたけど、結構痛いぞこれ。あいつ痛覚ねえのかな?
「いってええ!カルガーてめえ何しやがる!」
「あ、起きたっす。良かった、ベイルさん、行くっすよ」
「・・・・・?どこに?」
うん?今日何か予定あったか?
「見送りですよ」
エフィルが教えてくれるが、心当たりが全くない。そもそも見送る奴なんて誰もいねえぞ?
「もう、行きますよ、先生。間に合わなくなります」
そう言うとエフィルとカルガーは俺の腕を掴んでベッドから引きずり降ろす。そこからズリズリ引き摺られて部屋からも出される。
「え?ちょ、待てって、俺まだ靴も履いてねえ」
「大丈夫っす、外にタロウがいるっす」
「どこも大丈夫な要素無くねえ?」
そう言っても聞いて貰えず、外にいたタロウに乗せられると、そのままドナドナされる。俺は裸足で、上はシャツで下はパンツなんだけど・・・。
そうして連れてこられたの街の入口の門だった。そこには『ちょっと賢い』、『守り抜く』、『全力だす』、『快適な暮らし』の面々とティッチ達と組合長が待っていた。この街の4級パーティー全部いるとか豪華な顔ぶれだ。そこにティッチ達と組合長が加わってるから、かなりの戦力だぞ。何か緊急依頼か?
「ベイル、遅いぞ。しかもその恰好、もうちょっとまともな格好で来い!」
「うるせえな、寝起きでいきなりここまで連れてこられたんだ。仕方ねえだろ。それよりもティッチ、この集まりは何だ?」
俺が聞くとティッチが呆れたようで大きくため息を吐いた。
「はあー。お前ら4馬鹿は弟子の見送りもまともに出来ないのか」
弟子?弟子って誰だよ。俺は弟子なんかとった覚えはねえよ。エフィル?あいつは勝手に懐いてくるだけだ。っていうか良く見ればパンイチのゲレロに荷車に乗せられて布団にくるまって寝ているモレリアの姿が見える。ティッチもあいつらの方注意しろよ。
ここで俺はようやく思い出した。そう言えば今日アーリット達が王都に向かうんだった。別に見送りの約束してねえよな?
「しました!昨日先生はちゃんと見送りに来るって約束してくれました!でも多分約束しても来ないって言う卑怯技使うだろうと私は見抜いていました」
そう言ってデカい胸を張るエフィルだが、別にそれは卑怯技じゃなくてただ寝過ごしただけだ。この卑怯馬鹿は相変わらずだなあ。
取り敢えずカルガー達も頷いているから約束はしたっぽい。酒飲んでたから覚えてねえ。
「あん?それならトレオンはどうした?あいつザリアに色々教えてただろ?」
あいつだけ約束してないとかあるのかな?
「トレオンは門の外で野宿している。昨日有り金全部溶かしたそうだ」
ああ、そう。
そうしていると開いた門の向こうにジロウに乗ったゴドリックとシーワンが見えてきた。あいつらも見送りするのか。ああ、タロウがいるからか。ってあれ?シーワン旅装じゃね?
「シーワンも王都周辺の魔物の研究やタロウのお世話なんかで一緒に行くっす」
「ああ、そう。確かにコーバスじゃ出る魔物限られてるもんな」
「先生、それもありますけど、カルガーがゴドリックさんに頼み込んだんですよ。道中イチャつくのやめてね、カルガー」
「そんな事しないっすよ」
・・・ええ?カルガーってシーワンと付き合ってんのか?全然知らんかった。でもよく考えれば、ただの犬馬鹿にしてはカルガーちょっとゴドリックの家に遊びに行き過ぎだったよな。
・・・・・・・あ!
ふとある事に思い至ったが、流石にこれは口にしない方がいいって俺は思ったんだ。けど、同じ事を思ったゲレロはそうじゃなかったみたいだ。
「ああ!最近胸がデカくなったって自慢してたけど、シーワンが揉んで大きくしてくれたのか。こいつずっと悩んでたんだよ。ありがとうなシーワン」
多分ゲレロに悪気はねえんだろうな。けどデリカシーもないんだろう。顔を真っ赤にしたカルガーに盾でどつかれた。
「師匠、もう私達行きますよ。起きて下さい」
「うーん。もう行くのかい?なら、もっとエルの顔を見せてくれないかい」
「だったら目を開けて下さい。相変わらず師匠は朝に弱いですね」
「うーん、風俗遊びの癖がまだ治ってないんだよ。もうやめたけどね」
信じられねえかもしれねえが、モレリアの奴あれだけ大好きだった風俗遊びをやめたらしい。借金生活がかなり堪えたらしく、今は貯金が趣味とか言ってる。料理の趣味はどこ行った?
「はいはい、それは何度も聞きましたから」
そう言うとエルメトラ神は俺に顔を向ける。
「ベイル、師匠の事、お願いするわ」
「ええー。モレリアは俺の手に負えねえよ。エルが一緒に連れて行ってくれ」
「気安く呼ばないで」
「・・・・アッ、ハイ」
・・・・・あれー?エルメトラ神とは心の距離を大分詰められたと思ったけどなあ。まだ愛称呼び許してもらえないのか。でもまあ、その気位の高さも魅力だぜ。
「ティッチさん。お世話になりました」
「色々助かったぜ」
「お前達は教えがいがあった。私も教えていて楽しかったぞ」
良く知らねえがアーリットとクイトはティッチに何か教えてもらっていたみたいだ。
「「全力」の皆さんと「快適」の皆さんも色々ありがとうございました」
「ハハハ金は要らねえから護衛の基本教えろなんて初めてだったぜ」
「礼を言うのはこっちだ。お前らのおかげでかなり依頼楽になったからな」
そうして全員に挨拶を済ませると、アーリット達は王都に向けて旅立っていった。
「こうやって見送るなんて初めてだな」
アーリット達の姿が見えなくなったら組合長がボソリと呟いた。
「別に移籍何て珍しくないだろ?」
「逃げるような移籍じゃなくて、こんなちゃんとした見送りって事だ」
ゲレロの疑問に組合長が呆れたように答える。確かにこんな見送りは俺も初めてだ。
「普通はコーバスの雰囲気に慣れなくて逃げるように消えるんだよ。逆に慣れた連中はお前らみたいにダラダラと日々を過ごす駄目組合員でずっと居付くんだ。アーリット達みたいに向上心持って出ていく奴は俺もここに来て初めてなんだ」
へえー。・・・・って俺達駄目組合員って言った?
「駄目組合員とは酷いですね。私達は日々依頼をこなしていますよ」
「お前たち『ちょっと賢い』はな。けどシリトラ、微妙に調整してるだろ」
「う!・・・少しだけ・・・」
シリトラの所には問題児モレリアがいるからな。計画が狂う事があるんだろう。
「組合長、アーリット達は王都でもやっていけると思うか?」
「心配すんな。ティッチ。アーリット達はコーバスで無級からやってきたんだ。王都なんて余裕だ」
「組合長の言う通り、確かに王都は色々人のしがらみが面倒ですが、気にしなければ3級までは余裕であがれますからね」
マジで!?王都温すぎじゃね?普通無級で逃げ出すもんじゃねえの?3級まで余裕って依頼どうなってんの?
「みんな驚いているねえ。王都は基本2級からが外で採取依頼で本格的に魔物と戦うのが3級になってからなんだよ。しかも無級や1級はコーバスよりも報酬が高いんだ。これだけでこことのレベルの違いが分かるだろう」
モレリアの言葉にシリトラ以外はゴクリと喉を鳴らす。王都どんだけヌルゲーだよ!ってみんな思っただろう。
「人が多いからな、それだけ無級の依頼も多いが、それでも手が回らなくて1級も同じ依頼を受けているってのが現状だ。だからここでの1級相当依頼は2級が受ける・・・って具合に王都の実力は地方都市より一級下になる」
って事は王都の連中雑魚って事?
「ただし4級以上はそれなりの実力者だ。各地からの救援要請で竜や賞金首なんかを何度も相手してるような連中だ。そうは言ってもアーリット達が王都の4級に劣っているとは俺は思ってないから心配はしていない」
「そうですね。組合長の言う通り、ここで無級から上がってきた組合員なら大丈夫でしょう」
何か組合長もシリトラもいい感じでまとめようとしてんだけど、流石に朝が早すぎて眠い。何か他の連中も言っているが俺は無視して宿に戻って二度寝した。




