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82.ベイル、コーバスに帰る

 クロを尋ねてから多分俺は2カ月以上は遊び歩いていた。竜共に人の常識を教えながら街の酒場で飲み歩き、持ち帰ったエールで竜共とどんちゃん騒ぎの天国のような日々だった。一応何度かクロも誘ったよ?けどあの引き籠りは誘っても来ねえんだもん。たまに赤竜のジジイを呼び出してエール買いに行かせてるぐらいだ。


 それでもジジイ達からすれば巣穴まで立ち入る許可を貰えたのはとんでもない事らしく、そういう風にした俺はマジでVIP待遇だったんだぜ。しかも集めた竜の素材や金も好きに使っていいって言われてたんだ。それなのに!それなのに!クロの馬鹿がいきなりキレて何もかも台無しにしやがったんだ!集めた素材も金も、みんなで建てた俺の家も何もかもブレスで消し飛ばしやがった。



・・・



キレたね。



 ああ、俺はキレたよ。クロと多分8年ぶりに殺し合いしたよ。結果、前の傷が完治してなかったクロの負け!俺の勝ち!で、このまま二度と逆らえないようにしてやろうと思ったんだけど、クロの奴サクラちゃんの姿のままだったから、一瞬躊躇ったんだ。で、その隙をついて竜共が俺に泣きついてきたから、俺も気分が萎えてクロの血を貰った所で島を後にしたって訳だ。あいつの目が覚めたら、それこそ今度はマジの殺し合いになる。しばらくはあの島に近付かねえでおこう。流石にクロも追っかけてはこねえだろ。


 で、コーバス近くの森に降り立ち、変身を解いて久しぶりのコーバスへの帰還だ。見るのも触るのも慣れた扉を開いて俺はコーバスの組合に入り、大声で叫ぶ。


「おーっす!ベイル様が戻って来たぜえ!お前ら頭を下げて出迎えろ!」


 そう言いながら組合に入った俺はすぐに固まった。


「ああ?誰?」、「あいつ何言ってんだ?」、「どこのゴミカスだよ」



・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・



 あれ?誰だこいつら?



 ちょっと待て、ちょっと待て。あれ?ここってコーバスだよな?



 頭に疑問を浮かべながら一度組合から出て看板を確認。


 おし!コーバスであってんな。そんでここも組合で間違ってねえ!

 って事でもう一度足を踏み入れると



 ・・・誰も知らねえ。



 知っている奴がいねえ。どういう事だ?


「また来たぞ」、「ああいうのどうにか出来ねえのか?」、「組合!ちゃんとしろよ!!」


 もう一度組合に入ってきた俺に、見た事無い連中も戸惑っているみたいだ。もしかしてこれってクロの島で浦島太郎的な現象が起きた?


「・・・べ、ベイルさん?」


 そうやって混乱している俺に聞き慣れた声が聞こえてきたので目を向けると・・・おお!リリーじゃねえか!


「よお!リリー久しぶりだな!なんかすっかり変わっちまったな。他の連中どうしたんだ?魔物にやられた?」

「・・・・皆さん借金返済に忙しく、組合に来るのは朝早くか夕方の依頼達成手続きの僅かな時間のみで、後は皆さま宿でお休みになっているのが現状です」


 何だよ。あいつらまだ借金返し終わってねえのか。キリキリ働けよ。


「そして色々噂を聞きつけて移籍してきたのがここに居らっしゃる方々です」


 ああー。こりゃあ、キングの時とよく似てるな。多分一番偉そうな奴がキングの卵だな。多分普通の人ならこの微妙な違いは分からねえよ、ただ、俺には分かる。今ここに居る連中が屑ばっかりだってな。けどこういうのは組合長が許さねえんじゃなかったか?


「組合長は王命で王都に呼ばれています。戻りは未定となっています」


 何だ?そりゃあ?組合長何か悪い事でもしたのか?


「それと、もう一つ・・・」

「リリーちゃーん!さっきから何を新入りと楽しそうに話をしてんだ?」


 リリーと話していると横から馬鹿が割り込んできやがった。カルガーぐらい仲がいいなら許してやるが、名前も知らねえ奴が割り込んでくるのは頂けねえな。


「おい!今の順番は俺だろうが!」


 そう言って話しかけてきた奴の頭を掴み床に叩きつける。



・・・・・?あれ?これで気を失ったのか?こいつ1級か?弱すぎなんだけど。


「はあー。これがコーバスですよねえ。少し安心しました。ベイルさんは変わってないですね」

「あったり前だろ!俺はいつでも元気一杯、各地の名産食い荒らしてきたベイル様だぜ」

「うーん。そう言う啖呵、やっぱりベイルさんだなあ」


 リリーの隣に座るカナが会話に混ざってきた。


「よお!カナ!久しぶり!なんかやつれてんぞ?腹でも壊したか?」

「そういうデリカシーの欠片も無い事聞いてくるのがコーバスの人ですよねえ」


 ああ?さっきからこいつら何言ってんだ?と思ったら見た事ねえ奴らがまた絡んできやがった。


「おい!お前さっきから馴れ馴れしいな?」

「ああ?何だ?てめえ?」


 振り返るとこっちを睨みつけて今にも殴り掛かってきそうなのが3人。後ろにニヤニヤしているのがいるから、こいつらトレオン達みたいな新入り調査隊だな。3級の俺にそう言うのは間に合っているんだよ!


「お前さっきからなに、リリーちゃんと仲良くしてんだ?慣れ慣れしいんだよ!」


 絡んできた連中の言葉に思わず笑いが出る。


「ハッ!おもしれえ!リリー『ちゃん』だあ?お前らリリーの事、何も知らねえな。こいつはこう見えても俺より年上でもうすぐ・・・・ガハッ!!!」


 受付に背中を預けて話していたら、いきなり受付の机に頭を叩きつけられた。


「ベイルさーん。職員の個人情報は許可なく広めるのは禁止です」


 一瞬気を失いそうな衝撃から、目を覚ますと、リリーが光の無い目で俺をのぞき込んでいた。


こ、怖ええええええ。


 思わず首をガクガク上下に振ると、首の締め付けが解除された。


「フフフ、今後はお気を付けください」

「アワワワワワワワ!!!」


 ニッコリと笑うリリーに俺は震えた悲鳴しか返せなかった。こうなりゃあやり直しだ!


「おい!てめえら!リリー『ちゃん』がどうしたあ?」

「ベイルさーん」

「・・・・お、おい!て、てめえら!リリー『様』がどうしたあ?」

「・・・・・え?・・いや・・・ええ?ここからやり直すのかよ。何か調子狂うなあ・・・ちょっと待っててくれ」


 そう言って戻っていった3人だったが、後ろの連中に何故かボコボコにされて、またこっちに向かってきた。


「て、てめえ・・・・あんまり・・イテテ・・・調子乗ってんじゃねえぞ!」

「気安くはなしかけ・・・痛えええ・・・・・てんじゃねえ!」

「・・・お前・・・殺す」


 ああ、こいつら雑魚を相手にしててもキリが無えな。


 そう思い、絡んできた3人は無視して、後ろでたむろしている奴の所にズカズカ歩いて行きボスと思われる奴の胸倉を掴む。これが一番手っ取り早い。


「おい!てめえがここのボスだろ?ムカつく顔してんな、殴りつけてやろうか?」



 言った瞬間頬に痛みが走った。よーし、この馬鹿手をだしやがったな。一応念の為もう一回来ねえかなあ。


「いきなりイチャモンつけてくるなよ」


その言葉と共に横の奴に蹴られた。よーし!てめえら覚悟しろよ!!


 まずは俺を蹴りつけた奴を殴りつける。・・・油断し過ぎだ。そいつはモロに俺の拳を食らって殴り飛ばされる。


「て、てめえ!よくも!」

「ハハハハハ!新入り共。相手が優しい俺で良かったな。一つ目オーガがいたらお前ら死んでたぜ」


 言いながら、胸倉掴んでいるキングの卵に頭突きして、適当に放り投げて、残った連中と大乱闘の始まりだ!


「イテテテ。くっそー。流石にこれだけの数相手じゃ無傷とはいかねえか」


 組合にいた連中は全員床に転がし終わったけど、流石に数が多かった。キングの時程じゃないけど、殴られて顔がパンパンだぜ。宿で『クロの血入りポーション』でも飲もうかなあ。でもあれくそマズいからどうすっかなあって考えながら倒した奴の財布漁っていたら、カナが近づいて来た。隣には新人ちゃんも一緒だ。


「それでも勝ったんだからいいじゃないですか」

「うるせえ。本当はもうちょっと流れるような動きで格好良く勝つ予定だったんだよ」

「もうちょっと?滅茶苦茶泥仕合でしたけど?」


 カナの奴うるせえな。それで何しにきたんだ?暇なのか?


 不思議に思っていたら、カナの奴近くの椅子をポンポン叩いて座れと言ってくる。そして新人ちゃんは治療セットを抱えている。


「お?治療してくれるの?組合の喧嘩じゃ普通治療してくれねえのにどうした?俺に惚れたか?」

「はいはい、惚れました。惚れました。格好良かったですよ。いいから座って下さい」


 カナの奴、絶対そんな事思ってねえな。


「かあー。カナも可愛げが無くなったなあ。昔はこういえば顔を真っ赤にして否定してきてたってのによ」

「親戚のおじさんみたいな事言わないで下さい。それより大人しく座っていて下さい。ラルダ、始めていいよ」

「・・・お?カナじゃなくて新人ちゃんが治療してくれんの?」

「もう『新人ちゃん』じゃないですよ」


 そう言ってカナの指差す受付には、見た事無い若い子が他の受付嬢から何やら教えてもらっている姿が見える。


「え?新しい子入ったの?」

「そうですよ。だから『新人ちゃん』は今度からあの子に言ってあげて下さい。この子は『新人ちゃん』じゃなくてラルダ」

「ラルダです」


 そう言ってペコリと頭下げるラルダ。受付嬢なだけあって顔は整っているが、俺達が話しかけるとビクビクしながら対応していたから気は弱いと思っていた。この子はすぐやめるだろう、なんてゲレロ達と話していたけど、まだやめてねえって事は意外に根性はあるみたいだ。


「おお、そうか。宜しくな、ラルダ。知っているかもしれねえけど、俺はベイル。3級組合員だ」

「よろしくお願いします」


 そう言いながらも、しっかりと手を動かして俺を治療しているラルダ。何気に優秀そうだな。


「ようやく名前で呼んでもらえました。カナ先輩の言っていた通り、ちょっと感激しますね」

「でしょ?ベイルさん、ちょっと記憶力がアレだからね。これでラルダも一人前と胸を張っていいわ」


 記憶力がアレって何だよ。俺の記憶力は良い方だぞ。誰に、いつ、どれだけ殴られたか覚えてるもん。まあ、仕返ししたら忘れるけど。


 そんな事を話していたら治療は終わったみたいだ。俺はまーた顔中包帯巻かれてミイラ男だ。


「うーん。こことここがが少し緩いわね」


 俺の顔を見ながらカナが駄目だししていく。


「おお!カナ、後輩いびりか?」



・・・・・・



「・・・・ね、ラルダ。ベイルさんこういう残念な人なの、だから何言われても気にしたら駄目だからね」

「は、はい」


 おい!誰が残念な人だ!


 カナに文句言ってやろうと思ったら、ドカドカと見知った連中が組合に入ってきた。アウグの所の連中だ。


「戻ったぜ。・・・カナ、ラルダ、お前ら何してんの?」


 アウグ達がこっちに近付いて来て、カナに質問する。それ自体は別にいい。ただ、足元で寝っ転がっている連中を気にせず踏みつけているのはどうなんだ?こいつらの方が残念な人じゃねえ?


「治療です。手続きしますか?」

「ああ、頼む。ってこのミイラ男は誰だよ」


 こいつらもう俺の顔忘れたのか?いや、今はミイラ男で顔が見えてねえから仕方ないか。


「ベイルだよ」

「・・・・・・・・誰だよ?」


 こ、こいつ、この顔・・・本当に覚えてねえ。俺の事忘れてやがる。


「お前ふざけんなよ!アウグ!俺だよベイルだよ!ベイル!ちょっとコーバス離れていただけでもう忘れたのか?お前の記憶力アレ過ぎんじゃねえ?」

「・・・ああ、そうだ。思い出した、思い出した。そうかベイルか。懐かしいな、何年振りだ?そんで悪いけど、お前ってどこのベイルだっけ?」

「どこのじゃねえよ!ここだよ!ここ!コーバスのベイルしかいねえよ!お前の知り合いにベイルってどんだけいるんだよ!あと、何年振りでもねえよ!多分三カ月も経ってねえ!お前全然思い出してねえじゃねえか!」


 他の連中も首を傾げてやがる。えー。マジで俺の事覚えてねえの?俺ってコーバスでそんなに影の薄い存在だったのかなあ。


不思議に思っているとカナが突然訳分かんない事を言い出した。


「ベイルさんの知っている組合員はもういないんですよ」


 え?カナの奴いきなり何言い出すの?


「みんな借金の事で頭が一杯で、それ以外考えられないんですよ」


 えーと、つまり心が死んでるって事か。


「それって依頼をこなす事しか出来ない生き物に成り下がったって事か?」

「そうです。組合でダラダラお酒を飲むことも、くだらない事で喧嘩する事も、誰にも迷惑かける事も無い、ただ日々依頼をこなす。そんな存在に成り下がっ・・・・あれ?これってすごく良い事じゃない?・・・・・・・成り上がってしまったんです!」


 おーい、カナ。職員にとっては良い事だろうけど、流石に心が死んでいるこいつらに悪いだろ。そう思っていると、ゾロゾロと見知った連中が依頼を終えて戻ってきやがった。だが、その足取りは重く、ゾンビみてえだ。

 いつもなら俺のミイラ男姿を見て揶揄ってくる奴ばっかりなんだけど、今は違う。俺を見ても興味を持たずに転がっている奴を踏みつけて受付に向かっていく。


 これってさっきカナが言っていた通り、こいつらの借金返済が終わるまでこの調子かよ。つまんねえなあ。しかもこいつらが真面目に働いているって事は依頼に行っても獲物狩れねえ可能性が高い。

 

 どうすっかなあ。またクロの所遊びに・・・いやあ、流石にまだクロの奴怒っているだろうから、あそこは無理だなあ。そうすると今度は適当に国内の地方都市でも回ってみるか?コーバスは気に入っているけど、流石にこれが続くと移籍も検討する必要があるしな。よし!適当にブラついて居心地のいい移籍先でも探すか!


 今日は宿に帰って明日から準備しようと思った所でモレリア達が戻って来た。相変わらずこいつらも目が死んで・・・あれ?シリトラとミーカだけは元気そうだな。もしかしてこいつら借金返し終わったのか?


「よお、戻ったぜ」


 ミイラ男の俺を胡散臭そうに見てくるシリトラとミーカに挨拶すると、二人とも目を丸くして驚く。


「えー。ベイルさん。戻って来たんですかー」


 お?何だ、ミーカ?俺が戻ってきちゃいけねえのか?


「べ、ベイルですか?本物?死んだという話も聞きましたけど、生きていますよね?」

「ばーか、俺が死ぬわけねえだろ、ちびっこ」

「その根拠のない無駄な自信。どうやら本物みたいですね。あと、ちびっこ言うな!とにかくベイル、早くモレリアを修理してあげてください」


 修理って何だよ?モレリアってロボか何か?


 シリトラに言われて、パーティの一番後ろに立っているモレリアに声をかけようとした所で、俺は固まった。


 うお!モレリアの目、めっちゃ荒んでやがる。しかも目の隈もやべえ。これは話しかけちゃ駄目な奴だ。


 そう思って声をかけるのをやめたんだけど、シリトラが余計な事しやがる。


「モレリア!見て下さい。ベイルですよ、ベイル。モレリアのベイルが帰ってきましたよ。『よお、モレリア、今日も綺麗だな』」


 いや、シリトラさん、俺の手を持ってモレリアに振るのやめてもらっていいですか?あと、俺はモレリアのもんじゃねえよ!そんで最後のは何だ?俺のモノマネか?似てねえし、俺、そんな事言わねえから!久しぶりに会ったけど、シリトラ頭悪くなってねえ?


 そんなテンション高いシリトラとは対照に、荒んだ眼をして下を見ていたモレリアがゆっくりと顔をあげる。怖えええええ。


「・・・ベイル?」

「そう、今度こそ正真正銘のベイルです。『モレリア、お前に会いに帰ってきたぜ』」


 いや、だから似てねえし、そんな事言わねえから!


「どうせ偽物でしょ」


 な、何だ?モレリアのその投げやりな言い方?俺の偽物出回っているの?


「今度は本物です!ほら!ベイルも話しかけて下さい!」

「何なんだよ、ったくよお。・・・久しぶりだなモレリア、お前目が死んでんぞ」


 言われてモレリアに声をかけたら、シリトラにどつかれたんだけど・・・何でえ?


「ふーん。声は似ているね。でももういいよ、シリトラ。どうせこいつも偽物でしょ」

「偽物って何だよ!俺は本物だっての!」

「偽物はみんなそう言うよ。大体僕のベイルはそんな精子みたいに顔は白くないよ。僕の事馬鹿にし過ぎじゃない?」

「俺はお前のじゃねえよ!あと例え方がきったねえんだよ!白なら他にも例えようがあるだろ!」


 って、こいつ俺が包帯巻いているのも分かってねえの?


「うるさいなあ。まあいつもみたいに蹴り飛ばせばいいか」

「おいー!何物騒な事言ってんだよ。ふざけんな!」


 俺が叫んで止めようとするが、モレリアは気にすることなく近づいてきて、躊躇う事無く頭に蹴りを放ってくるので、腕を挙げて受ける。


「止めた?へえー。偽物にしてはやるじゃないか」

「偽物じゃねえって言ってんだろ」

 

 それでも俺の言う事をモレリアは信じてくれず次々と蹴りを放ってくるので、躱したり、ガードしたりして捌いていく。そうしていると、ようやくモレリアが動きを止めた。


「も、もしかして本物のベイルかい?」

「さっきからそう言ってんだろ!」

「何でもっと早く教えてくれないのさ」

「お前頭湧いてんのか?最初っから本物だって言ってただろ」

「えー。言ったかなあ?まあ、いいや、取り敢えずお帰り!」


 そう言うと何故かモレリアが抱き着いてきた。何で?


「・・・・・お、おう」


 戸惑ってそう返すしか出来ない。


 な、何だ?モレリアこんな事する奴じゃねえよな?意外に寂しがり屋なのか?いや、それにしてはおかしくねえ?・・・まさかと思うけどこいつ俺に惚れたとかじゃねえよな。


 と、油断した俺が悪かったのか、直後に腹に物凄い衝撃が走った。見ればモレリアの膝が俺に突き刺さっていた。


「が、ガハッ!・・・て、てめえ、油断・・・させて・・・卑怯・・・だ・・ぞ」

「僕に黙って行くからだよ。ちゃんと今度からは誘ってよ」


 薄れ行く意識の中、モレリアが何か言っているのだけは分かった。

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